新規事業の旅53 新規事業のベストミックス

2023年7月12日 水曜日

早嶋です。

新規事業をM&Aで始める取組は上手く行きにくい。

M&Aは売り手に取っては、成長が望めないことを理解して出口の一つとして売却する。そのため、買い手が新規事業目的で買収しても、成長は考えにくい。ましてや、買い手はその分野のノウハウも無いため、かろうじて維持するのが関の山だ。

買い手がM&Aで成功するパターンは、同業者の買収だ。成長フェーズの場合は、買い手のシェアや資源を獲得でき、成熟期や衰退期の場合は、規模の経済で効率を上げることができる。仮に買収価格が高い場合は、同業の事業なので買い手はシナジーを予測が出いれば買いだ。売り手の事業が赤字であっても、事前のDDでシナジーによって収益が改善する場合はなおさらかいだ。1円譲渡+負債の引き継ぎ等で手出し無く事業の規模が大きくなる。

買い手が新規事業を買収する場合は、最近だとIT関連、バイオ関連、自動制御関連、環境関連だろう。でも少し考えると分かる通り、そのような成長市場の事業を売り手がそもそも売却するだろうか。基本否だ。そのため、買収することが出来ないか、出来たとしても超高値になるだろう。また、仮に買収出来たとしても、買い手でマネジメントするノウハウが無いだろうから、その事業に資本を入れた瞬間が株価が最高値で、それから価値が下がる可能性が大いに考えられる。

もし、それでも新規をM&Aで行いたいのであれば、マイノリティ出資や提携から始めるのが良い。買い手に取ってノウハウが無くても、買い手は営業力があったり、既存の顧客に提案してテストマーケティングができるなど、資本提携先に対してもメリットがでる場合がある。そもそもイケイケのベンチャーは常に資金難に苦しむ。そのためプロダクトを作り込むことに多くの資金と時間と人材を費やすため、総じてマーケティングや営業が弱い。また、その後のカスタマーサクセスなどに資源を費やすことも無いだろう。

そこに対して、出資とともにマイノリティの株式を引き受け、同時にその営業やフォローの面で協力関係を結ぶのだ。資本が大きく、規模が大きい買い手は、ゼロイチは苦手でも、すでにある事業を成長させることはこれまでも行っているので得意分野だ。また、組織のガバナンスや顧客の管理などベンチャーが苦手とする分野も保管できる場合が多い。

このようにM&Aは一つの選択肢で、ゼロイチ、提携、出資、M&Aを総合的に捉えて新規事業を実現することが現実的な解になる。

(過去の記事)
過去の「新規事業の旅」はこちらをクリックして参照ください。

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