新規事業の旅 その2 既存と新規は別の生き物

2022年6月3日 金曜日

早嶋です。

伝統的な企業の最初のステップは、組織づくりです。前述した通り、既存事業のエース級課長と部長とスタッフが1、2名の小さな組織です。そして、課長とスタッフが手当たり次第ケースを調べて、自社の新規事業の取り組みについてブレストし初めます。が、そもそもの新規事業の方針や戦略があいまいです。最低でも、どの程度の売上ギャップを埋めるのか、どのようなノウハウを獲得するのが目的なのか、どの様なエリアで事業を行うのが良いのかなどを経営陣と詰めていないため、報告を上げるために物議を醸します。

やがて、他の企業の様に、新規事業の目的がぼんやり見えてきます。多くは、例えば現在の計画で300億の事業を500億に持っていく。この状態で400億までは既存の事業で行く見込みなので、残りの100億を新規事業で創ります!的な内容です。

で、その100億に関しての制約条件がキチンと議論されているところが少ないのですが、PLだけは何故か出来上がり。数年後にそのギャップがうまる計画になっているのです。。

あるときは、全社員でアイデア大会をする時もあります。また、あるときは、社員を活用して新規事業のチームを複数創り、そこで100億のギャップを埋める取り組みを行う企業もあります。しかし、どの企業も既存の取り組みをしながら、新規の事業を取り組ませるので結果的に上手くいきません。

理由は明確で、
・既存の事業は、既に明確なノルマがあり未達だと評価に反映する
・新規の取り組みは、成果がでるのに時間がかかる割には評価に反映しない
です。

つまり、既存の仕事をしながら新規を行うという行為は全く組織人に取ってナンセンスなのです。

また、あるときは、新規の事業が芳しくないということで、トップを交代します。部長や課長です。しかし、実際彼ら彼女らの取り組みが数年効いている場合もあります。で、新たにやってきた担当課長や部長の時に、偶然にも芽が出はじめるのです。こうなると後にやってきたマネジメントは評価され、土台を創ったマネジメントや社員は評価されないのです。

この繰り返しを行うと、誰も積極的に動きませんし、もし動けるのであれば他社に転職するか、その道を自分で切り開くかをするのです。

新規事業は、遅効的で、実際に成立するか極めて不安定です。そのため、ベンチャーが新規に取り組む際は、その企業の株式をストック・オプションという形で立ち上げメンバとシェアして、将来の成功があった場合に、立ち上げのインセンティブを得られる様にしています。そうすることで、例え途中でその仕事から離れても、将来のストックオプションの事を考えると新規の事業が成功するように互いにフォローするのです。

既存事業の様に、単年度で計画的に成果が上がったら評価をするという仕組み自体が合わないのです。



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