雑談と組織の心理的安全性

2021年7月2日 金曜日

◇サイドチェンジを増やすには? 〜オフト監督の鋭い洞察〜

原田です。

昔、WEBの記事で読んだ話です。元サッカー日本代表監督ハンス・オフト監督の発言にインパクトを受けました。記憶はおぼろげですが、下記のような内容だったと思います。

ある日、二人のコーチがグランドで熱心に話し合っていました。試合で、左右のサイドバック間のサイドチェンジを増やすにはどうすればいいか?という話です。そこへ、オフト監督がやってきて答えます。

オフト監督の答えは「左右のサイドバックを仲がいい選手にする」でした。

◇仲がいい選手であれば

この記事を読んでとても関心しました。確かに、仲がいい選手であれば、日頃からよく話をします。コミュニケーションの量が多いです。サイドチェンジという課題が出されれば、二人で考え、自主練習もするでしょう。練習以外の時間も、ご飯を食べたり、テレビをみたりしながら、話題になるでしょう。そうなれば、いろいろなディティールが話しあわれ、試合で実行されることになるでしょう。

仲が良ければ、試合でも思い切ってパスを出すことができます。多少、強引なパスをしても、あいつだったら大丈夫だろうという安心感があります。失敗しても、ドンマイと言ってもらえます。気持ちもすぐに切り替わります。

これがあまり仲がよくなければ、あるいはベテランと新人であれば、なんでそんなパスするんだよ、とか言われる心配をすることになります。そうなれば無意識のうちにパスを出すことに躊躇します。これでは、いくら練習しても実戦ではなかなか実行できません。

試合でチャレンジの回数が増えれば、経験値も積み重なり、成功する確率が高くなります。パスの精度も上がります。より効果的なサイドチェンジができるようになります。

ここで重要なことは仲がいいというインフォーマルな関係があることで情報の交換量が増えることです。そして、気心が知れているので、実戦で思い切ったパスを出せる、つまりチャレンジが増えることです。

◇Googleの提唱する心理的安全性

皆さまご存知のGoogleは、様々なプロジェクトをチーム単位で実行しています。世界中から頭の良い人たちが集まったGoogleのなかでも、すば抜けて生産性の高いチームがあります。

では、そのチームに共通する特徴は何か?その研究成果を、Googleは自社サイト「re:work」で発表しています。

https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/

Googleの結論は、下記の5つです。
①心理的安全性
 頼りなさ、恥ずかしさを感じることなくリスクをとれる。

②信頼性
 クオリティーの高い仕事のため、お互いを頼りにできる。
 
③構造と明瞭さ
 チームの、ゴール、役割、実施計画が明確である。

④仕事の意味
 チームの一人一人が、個人的に重要なことに取り組んでいる。

⑤仕事のインパクト
我々がやるべき仕事だと確信をもって取り組んでいる。

生産性の高いチームのメンバーは、この5つの特徴を持っています。そして、この5つのなかで、心理的安全性が全てのベースになっているということです。

◇どう実行すればいいか

心理的安全性が大事なのはわかります。では、どうやって実行すれば良いのでしょうか?この短い説明文だけではわかりません。他に記事を読んでも、抽象的な概念の説明だけで腑に落ちません。そう思っていたら、経済産業省の職員が、メルカリに出向し、体験した話の記事をWEBで読みました。この文章で、その要約を書きますが、とても良い記事なので、きちんと読んでみられることをお勧めします。

 

https://www.businessinsider.jp/post-195307

 

以下、要約です。

メルカリでは、チームのメンバーは、毎週一回は30分の1対1のミーティングを上司と行います。30分、1対1で何を話すのでしょうか?

そこで話されていることは、他愛もない話です。多分、この前新しくできたラーメン屋さんが美味しかったとか、この間観た映画が面白かったとか、本当に他愛もない話だと思います。

この他愛もない話をすることで、部下と上司の心理的な距離感が縮まります。お互い仕事の立場を離れ、一人の人間として接することができます。相手の人間像が広がりを持って見えるということです。そして、部下の上司に相談する心理的ハードルが下がります。心理的ハードルが下がれば、部下からの情報がいち早く上司へ入ります。アイデアが共有され、トラブルが防がれます。不完全な形でも情報は伝わります。組織の生産性が向上します。

「早くて柔らかい組織」が実現されるということです。

もちろんこの他にも、心理的安全性を担保するだけでなく、チームの生産性を上げるために、様々な工夫をされていると思います。当たり前ですが、心理的安全性だけではダメです。ただのぬるま湯になってしまいます。チームの目標と、他の4つの特徴が必要です。
 
この記事を読んだ時、それまでよくわからなかった心理的安全性の概念が、自分なりに理解できました。同時に記憶の片隅にあった、オフト監督のサイドバックの話を思い出しました。

◇雑談は重要
コロナ禍のなか、リモートワークや、オンラインミーティングが当たり前のことになってきました。しかし、このオンライン上で、ちょっとした「アイデア」や、現場での「気づき」などの情報が交わされるでしょうか?また、後に大きなトラブルになるような、ちょっとした「出来事」の報告があるでしょうか?流行りの「DX化」が解決してくれるのでしょうか?

組織の生産性を上げる要因は、人間の感情です。組織の風土です。一見無駄に思える雑談の時間は大切です。リアルで接する機会が減るからこそ、また新たなチャンスが生まれる時代だからこそ、なんでもないような雑談の時間を作ること、そして組織の心理的安全性を作ることが重要になっていきます。

以上、最後までご精読ありがとうございました。



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