M&Aを行う、これから行う実務担当者に向けてのメッセージ、その2

2021年4月26日 月曜日

早嶋です。

何度かに分けて、これから、或は既に企業のM&A担当者として実務を行っている、或はこれから行う担当者に向けてのメッセージです。協会の取組を紹介しながらも、考え方やとりみ方、そして騙されない考え方や失敗を防ぐ取り組みについて紹介しています。

M&Aアドバイザーで大手は、社員の平均年収で1500万とか2000万円オーバーの会社がざらです。多くの人は経済紙を見ると定期的に年収の高い会社ランキングで上位にM&Aアドバイザーの会社が登場するので、その名前は聞いたことがあるでしょう。

高額の金額を払える理由は、多くの企業がM&Aで成長したい、或は自社のPPMを変えたい中、そのようなアドバイザーの会社は売り物である企業の情報と案件を直接グリップしている、つまり持っているからでしょう。当然、売り物を持っていれば、買い手にアプローチして案件の成約数は増えますので、アドバイザリーとしての手数料収入が入ってくるというメカニズムです。

M&Aの場合は、売り手にとっては初めて或は、一生に一度あるか無いかの経験で売却を意思決定するでしょう。当然ノウハウは無いので、知人やコンサルに相談をするでしょう。しかし、あまりその手のネットワークを持っていなければ広告宣伝して露出している、そして一部上場している企業に問い合わせることでしょう。さらに、大きく露出している企業は日夜そのような可能性が高い企業にアプローチして、そのタイミングが来る前後で契約できる準備をしていることでしょう。大手アドバイザリーは常に案件、売り物を確保する努力を行っています。

一方、買い手にとっては一度M&Aを経験すると、その術を自前で行う場合と、資本を活用して行う場合を併用して進めるでしょうからノウハウや経験値を蓄積していることでしょう。そして慣れた企業は自社でM&Aの案件を探すでしょうが、実業がありますからそんなに活動できません。当然に、すぐに案件を探してくれる会社に依頼したくなるのも信条。

結果的に大手のM&Aアドバイザーの会社はますます忙しくなるのです。但し、ここには落とし穴もあるので要注意です。それはM&Aの希望に対して案件が圧倒的に少ないという理由です。

当然に、いけいけどんどんの会社は自社を売却する発想は無く、買い手に回りたいでしょう。一方で将来の出口戦略を考えていてはじめからハッピーリタイアメントを計画して、会社を育てて売却する経営者もまだ少ないと思います。どちらかといえば企業の売却理由は業績不振や後継者不足。たまに資本を大手に入れてもらい、大手のネットワークを活用して顧客や世の中のために更なる成長を手にしたい。なども考えれることは出来ますがやはり稀です。

となるとM&A アドバイザリーの会社は良い売り物を手にすれば事業は成功しますが、中々案件が無いという状況になります。売り物が少なくて、買い手が多ければ当然に売り物の価値は高まりますので、現在観察できるように市場価値が合理的についたとして大手は高く買わざる得ない状況になっているのです。

実際の数で考えてみましょう。例えば1年間にM&Aされた数は約4,000件程度です。そして実に50%はマイノリティー出資ですから、我々が想像する支配権を伴う移動のM&Aはその半数の2000件程度なのです。

その中で大手のM&Aアドバイザーの会社で、某者は年間に600件程度の成約をプレスリリースしています。但し、この会社は基本的に仲介形式が主なので、件数自体は300件程度です。となると他の案件は小さなブティックが取組んでいたとしてもそれでも合計2,000件程度しか成約が無いのです。日本には300万社の事業が存在するのにM&Aで毎年成約する件数はまさに誤差ですよね。

そう、そのくらい売り案件が少ないので、買い手企業に戦略が無くて、M&Aをすること自体が目的になれば、高掴みして、買った後に苦労する。というシナリオが見え隠れするのです。これはM&Aアドバイザーの会社が悪いのではなく、そのような状況を理解せずに行っている企業にも責任があると言えるです。



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