心の安全の確保

2020年10月20日 火曜日

早嶋です。

会社は誰のものか?という話題は、株主がオーナーシップを持つという当時の議論から、一連のコロナの影響の中、利益の源泉である従業員やパートナーを蔑ろにして会社を守ろうとしている企業は考えを改めるきっかけになったと思います。経営は常にバランスを考え、今と先、企業を取り巻く利害関係の全体とバランスを捉えていかなければ未来はそう明るくありません。

近江商人の三方良しは、さすがの格言で、企業も顧客も地域も、皆がハッピーになる、今でいうSDGsの取り組み、企業側からの視点ではESG経営を行っている、そのような視点を貫き経営している企業は、今の所まっとうな利益を長期的に生み続けることができている、そしてこのさきもその可能性が高いと思います。投資家や市場が、三方良しを標榜しそして実践している企業に投資したいのも結果的には長期的な配当とキャピタルゲインを得れるとの判断でしょう。

緊急事態宣言が出される前に、企業の判断で従業員の通勤や感染などを一番に考えたところは、短期的な企業の損益よりも長期的な企業の取り組みを重視しているように感じました。いち早く安全対策を施し、国が指針を出す前から経営者が先頭にたち状況を判断しつつ意思決定を続けていく。最も大事にしたことは従業員の心の不安と物理的な安全です。緊急事態宣言後、店舗をしばらく休止する判断を取りつつも顧客に適宜連絡を取りながら、顧客の事業活動を気にしつつ従業員のケアも行う。

事業モデルや事業環境の影響もありますが、経営者の判断や脂質の部分でも白黒明暗がついています。資金が厳しくなったから、従業員の努力に報いず、すべてをカット。そのような方針の企業は優秀な方々が逃げ出し、結果的にもともと冗長性があり、いまでも低迷はしていない企業に優秀な人材が集まっています。

目先の利益を追求した社会は、売上と利益のバランスを極限まで追求され、ある意味余力がありません。この売上と利益の余力のバランスは会計指標では安全指標などで図られますが、数値に加えて、経営者の思想と実行力にも宿る大切な考えです。

将来のことを考えながら適切に会社に資金を残しつつも、事業の投資と株主への還元のバランスを続ける。そのような企業は常に会社の方向性やポリシーを明確にしながら、市場とコミュニケーションを取っています。物理的な安全性に加えて心の安全性の確保は今後は無視できない要素の一つです。



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