店舗ビジネスの今後を考察する

2020年10月10日 土曜日

早嶋です。

店舗事業の根本的な考え方がcovit19によって大きく変わります。キーワードは、
 1)集団 VS 個人
 2)都市部・オフィス街 VS 住宅地
 3)イートイン VS テイクアウト
 4)大量生産大量消費 VS 少量生産即消費
 5)モノ VS コト
 6)オンラインとオフライン
です。

飲食店
昨対比率でピーク時は売上が9割くらい蒸発して今でも7割程度まで戻している店舗が大方のようです。そして売上を戻している傾向の店舗にはいくつか共通の特徴を観察できます。

・デリバリ対応をしている、テイクアウトのメニューを研究し柔軟に変えている
・昼のメニューを工夫している
・都市部やオフィス街よりは住宅街に隣接している
・大規模のファミリー向けや宴会用途ではなく小規模にフォーカスしている
・値段の安さではなくしっかりと価値を提供している

飲食の市場規模が従来27兆円程度あったのが今年は20兆円程度になると各種データでは言われます。一方で中食の市場規模が若干上昇しています。人間の胃袋のサイズはコビット前後で変化して無いのであれば、外食が中食にシフトしていると考えるのが自然です。

今、調子が良い店舗に行くと、昼から電話やWebでの注文が引切無しで、ウーバーや自分から商品を取りに来る顧客で賑わいを見せています。

店舗によっては、料理の注文を事前に取り完全予約制にして提供するスタイルに変えたため、夜の営業が無くても一定の売上を確保することができた店舗もあります。このスタイルの場合、前日の予約があるので、その量に応じて材料を仕入れるため食品の仕入れにロスが無くなり、夜の遅い営業も不要になったたて社員の仕事時間も適切に管理できるようになったとプラスの影響を受けています。

いち早くテイクアウトやウーバーに対応する店舗は、従来のメニューを提供することから徐々に近隣の顧客の要望を考えながらテイクアウト専用のメニュー、容器など工夫を凝らしています。そのような店舗は一過性ではなく、継続的に顧客も定着して新たな売上の柱にしています。

マクドナルドを中心とするファーストフードのナショナルブランドも好調です。こちらの層は健康に注意するということをしながら食に対してはかなり適当というと申し訳ないですが関心が薄い層でしょう。しかし確実に一定以上の層がいるため、店舗事業全体では無視できないターゲット層です。このそうに対してはファーストフードとしてチキンとバーガーは強いですね。

ガソリンスタンド
もともと衰退業界で94年末に6万強あった店舗が18年度末には3万店にまで半減しています。直近数年でも年間に2%程度のガソリンの需要が落ち込んでいることを考えるともともとが狂しい事業であると言えます。その理由は人口減少に加えて、民間自動車の燃費の向上もあるでしょう。

緊急事態宣言では、去年の同時期と比較してガソリンの需要は3割落ちています。ガソリンスタンドの事業は大きく3つの系統に分かれると思います。1)元売り系列が行っている店舗。2)地元の名士が資金力とネットワークを活用して代々行い、複数の事業の一部としてガソリンスタンドを展開している店舗。3)3ちゃんで家族経営で1店から数店舗運営している専業店舗です。

現在残っている店舗の多くはピーク時と比べて半分になっても生存している店舗ですから立地条件等は一定の強みを持っている店舗です。それでも従来のやり方だけでは今後の回復は見込めません。ただ近年の元売りの統合により競争激化の環境が減り、マクロ的な理由で燃料価格がある程度安定したこともあり1リットルあたりの販売での粗利が10円台から20円近くまで戻っているので数量が減っても粗利はギリギリ確保しやすい状況のようです。

そうは言っても、今後の工夫が必要な業態であることは間違いありません。このまま非接触が継続することを考えれば、企業や住宅地からの立地条件が良く、車を停車するスペースがある。この立地条件と敷地は工夫次第では新たな事業が可能です。車販を行う企業は、ガソリンスタンドの敷地内に車をリアルに展示して広告塔のようにしてWebショップに誘引するなど工夫をこらしています。

今後はますますガソリンスタンドへの規制も緩和され店舗に常駐しなければならない人間も減らすことができるようになるでしょう。しかし、ガソリンスタンドを経営している層は、FC形式でノウハウは元売りから買って始めた層が多いため、自分たちから進んで事業を工夫する、開発するのは得意では無いため飲食店のようなイノベーションは当分は起きにくいと思います。

フィットネス
大型店舗や施設を自由に使って複数の方々が同時に運動できるような施設では従来を100とした場合、2月末頃から比較してようやく7割程度戻ってきた状態です。しかし2月末頃の状態と比べて在籍会員に対する休会中の数が依然として4割程度あり、そのうちの4割程度は時間の問題で退会すると予測されています。これまでボリュームゾーンであった中高年の女性層が集団でのエクササイズや蜜を気にして足が遠のいているのです。

一方、小規模店舗やパーソナルトレーニングを提供している業態の店舗では現在では現在では9割り程度まで売上が戻っており、退会も少ない状況です。ただしイベントや新規集客はまだ手法を確立できていないので手探り状態は続いています。

複数のクライアントがフィットネス(パーソナル対応中心)を様々なエリアで展開しています。その状況を整理すると、都市部やオフィス近くのこれまで良しとされていたパーソナルトレーニングの店舗は既存の戻りがまだ悪く、新規の会員が極端に減っている状況です。一方で、住宅エリアの店舗では退会も少なく、むしろ男性の40代の新規が増えています。

オフィス近くでの利用の半数以上は近場で仕事をしていたOLの利用で、残りは経営者や個人事業主だったからです。OLの利用はテレワークの影響や自動化の取り組みによって需要が無くなり、結果的にオフィス近くの業績が戻りにくくなっていると思います。

住宅地近くではOLの利用よりも40代以上の若さの衰えを回復したい女性層が3割、60以上のシニア層が3割、経営者や個人の層が3割であるため、どの層も店舗までのアクセスに制限は無く緊急事態宣言以降も順調に回復を見せているようです。また大手や個人にかかわらず、いち早くオンラインでのレッスンや情報提供を行っている店舗は顧客の離脱が少なく、逆に店舗の縛りがなくなり広範囲での集客に成功している店舗も数多く観察できます。

クリニック
コロナ期間はオフィス街中心で自費を中心に展開しているクリニックが目立っていましたが、徐々に郊外型や住宅地隣接のクリニックが1人勝ちの構図になっています。

自費の場合は客単価が高額なため次の予約があればそのためにクリニックに行き治療を受けていました。そこで既存の顧客はオフィス近くの立地にコロナのときでも行っていたため見た目上の売り上げが落ちなかったたのです。しかし、当然に新規の問い合わせが激減し緊急事態宣言が終了してもオフィスの需要そのものが低迷してきたため、ジリ貧になっているというわけです。今でもオフィスに人が戻っていないエリアが多数あり、結果的に事業の根本が変わってしまっています。

一方、郊外型や住宅地で展開しているクリニックは一時期の落ち込みは有りましたが、現在ではほぼ客足が戻っています。そればかりか、これまでオフィス街で所要を済ませたかった層が利用する機会を失いました。理由は、職場の出勤がなくなる、あるいは少なくなり在宅ワークが中心になったため、住宅街のクリニックは新たな新規開拓の獲得チャンスにるという構図が起きているのです。

総括
現在、各国でワクチンの開発が急がれています。ニュースでは今年の12月頃にはワクチンが完成して順次キーパーソンや重要な方々から配布されることが報じられています。一方で、実際には現在でもスーパーコンピューターでcovit19のゲノム解析が行われています。そしてその解析目処が立つのが12月頃とも言われています。

前者のワクチンが対処療法的だとしたら後者のワクチンはしっかりとしたデータに基づいたワクチンんになります。そしてそのワクチンの開発は来年か本格的に始められ治験を含めて効能の確認までの完成への取り組みが来年の12月頃になると予想されています。そうするとワクチンの普及に1年かかる前提では、まだ2年間ほどは、今の状況と大きく変化しないと考えるのが自然でしょう。というのが私個人の見解です。

ということを前提に捉えると、コロナ前になかった非接触のあたり前は完全にブームになると考えることができます。そのため、集団にサービスを提供していた店舗は今後も経営が苦しくなるでしょう。都市部や人口密集地、オフィス街をターゲットにしていた店舗系の事業も立地戦略を見直すことになるでしょう。イートインを前提に提供している飲食は、流行がテイクアウトやデリバリになるでしょう。

従来は、集団に対して機会ロスを防ぐために大量に準備して提供していました。そのために食品であれば何かしらの添加物を入れて、足を長くする工夫がされていたと思います。しかし、ここは近年のIT化によってデータを統合することでリアルタイムに需要を予測できるようになります。となると少量で消費のタイミングに応じた提供を考えることが今後のトレンドになるのです。

昔、コンピューターのデルが消費者の要求に応じてPCを組み立てて出荷した事業モデルが、あらゆる業界に於いてデファクトになるのではないでしょうか。特に食品に於いては、免疫力を高める風潮や、そもそも健康や命を正面から捉える強烈なコロナ期間を過ごしたことで、消費者のニーズがかつてよりも高まっています。

更に、悪い情報はすぐに拡散するために、拝金主義的に製造していた手法はすぐに風評被害にさらされる結果になると思います。そのため製造業の生産に対しての方針も大きく変える転機になっていると思います。

そのように考えると、冒頭に示した対立は去年と真逆に進んでいくのでは無いでしょうか。

1)集団 VS 個人
2)都市部・オフィス街 VS 住宅地
3)イートイン VS テイクアウト
4)大量生産大量消費 VS 少量生産即消費
5)モノ VS コト
6)オンラインとオフライン




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