買い手が積極的に買収を行うためのはじめの一歩①

2020年2月6日 木曜日

早嶋です。

買い手を探している企業、もしくは経営者から効率的にM&Aをすすめるためにはどうするとよいのか?という質問が増えています。

買収対象が薬局や商店やガソリンスタンドのように全国に数万の単位である場合は、場合によっては売り手を直接グリップしているアドバイザーがいる可能性はあります。それでもエリアや規模や他の条件が合うかどうかは結構難しいと思います。

それが製造業や特殊な業界であった場合は売り案件として表に出ないことが殆どですし、仮にあったとしたら、表に出る前にその筋の人達で交渉が進むものです。従ってそのような場合は買い手が積極的に仕掛けるしかありません。

その場合、まずは買い手企業が自社のM&Aの目的を明らかにすることです。つまり企業の戦略が先に有り、その戦略を満たすための手段としてM&Aがあると言う状態にします。例えば、ノウハウや技術や製造能力などのギャプがあるか、単に時間の成約があって達成できないかなどのギャップを明らかにします。

ギャップを明らかにすることで、実際にそのギャップを埋める可能性がある企業の実名をあげることができるようになります。製造や特殊な業界であればそもそも企業の数が数百とか多くても100も無いと考えられます。そしてそのギャップ埋めることができる企業をリストアップ(ロングリスト)しても、せいぜい数十程度しか無いのが実際です。

通常、ロングリストの段階では次のような項目があれば十分です。

企業名、資本金、売上高、経常利益、従業員数、本社所在地、工場所在地(ギャップを埋めるために必要な情報)、主要株主、上場/非上場、取引銀行、担当税理士(小さい規模であれば)、主要設備等(ギャップを埋めるために必要な情報)、得意技術(ギャップを埋めるために必要な情報)、関わりがあるか無いか、備考等、です。

大手企業であれば、上記のような情報は調査会社や社内の情報網から集めることができるでしょう。逆にこの程度の情報を集めることができなければ、そもそも対象企業の評価をすることが買い手としては出来ない状態ですのでM&Aはおすすめしません。

次に、そのロングリストをベースに、M&Aを行うチームや戦略ギャップを埋めるチームなどが手分けして、より細かい情報を集めます。そのときのポインは実際にM&Aが出来たとして自社のギャップを埋めることができるかです。まだこの段階では実際に経営者やオーナーとの議論を細かにしている状況では無いですが、それでもある程度ギャップが埋められない可能性が高いのか低いのか程度の整理は出来てきます。そのリストを整理します(ショートリスト)。通常ショートリストの状態で10も無いのが殆どです。

そしていよいよアプローチすることになりますが、
1)直球勝負でアプローチする、つまり資本提携をしたい話を全面に出しながらアプローチを行うか?
2)業務提携や業務委託を行いたいなどのレベル感からアプローチするかか?
などの2つの方向性があります。

そして、まだコンタクトが出来ていない場合は、メイン銀行からの紹介や担当税理士のネットワーク、あるいはその企業の経営者を知っているネットワークを探してアプローチするなど、ここは法人営業のあり方と基本は同じです。

交渉をする際に、M&Aに慣れている場合は、内部の専門部隊の社員を買収側の企業の名刺をもたせて交渉に関わらせます。なれていない場合はM&AになれたM&Aアドバイザーに一時的に社員やパートナーになってもらいアプローチをします。当然、このアプローチの段階ではこれが正攻法というのはなく、売り手候補との関係性や相手の経営状況などによって都度取り組み方がことなります。そこに対しては互いに真剣勝負ですのでケースバイケースで進めるしかありません。



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