行動観察

2020年1月7日 火曜日

原です。

グループインタビューやアンケートはよく活用される重要な手法なのですが、万能ではありません。そのため、司会者が正しい質問を行ってもニーズやノウハウ、課題の抽出には限界があります。そこで、限界を突破するために追加して有効な手法が「行動観察」です。

行動観察が有効な理由は2つあります。
1つ目は、「言語化されていないニーズやノウハウ、課題を抽出できることです。人間はほとんどの行動を無意識に行っています。ハーバード大学ビジネススクールのジェラルド・ザルトマン名誉教授の「心脳マーケティング(ダイヤモンド社/2005年)」によると、人間の行動のうち、自分で認識しているのは5%程度しかないと述べられています。
つまり、人間は自分自身の何気ない行動をすべて把握しているわけではないです。
さらに、自分のニーズを構造的に解釈して理解しているわけではないです。そのため、重要なニーズが存在していても、本人がそれを把握しているとは限らないです。行動観察では、人の行動をすべてつぶさに観察することにより、本人が認識していないニーズなどを知ることができます。
2つ目は、社会通念によるバイアスを排除できることです。アンケートやインタビューにおいては、社会的に「こうあるべきだ」と思われている方向に回答が影響されがちです。例えば、「日頃から料理をしていますか?」とアンケートやインタビューで聞くと、ほとんどの人は、「はい、料理をしています」と答えます。しかし、行動観察を行えば、日頃から料理をしているとは思えない事実が分かってきます。つまり、行動観察とは、社会通念に反する実態であっても把握でいるのです。

続いて、行動観察のステップについてです。行動観察のステップでは、現場に足を運んでそのフィールドでの人間の行動を詳細に観察し、実態を把握します。その場で気づいた事実について詳細なメモを作成します。
筆者は、グループインタビュー前には顧客モニターに商品の実体験を行って頂き、体験時のモニターの行動を観察します。気になった行動内容についてグループインタビューでヒアリングしながら深堀りしていきます。
例えば、司会者が「体験中、待っている間が退屈そうでしたね?」と質問すると、顧客モニターの方からは、「そういえば、あの時そう感じました。待ち時間がとても退屈でした。」などの本人が気づかなかった潜在的なニーズや課題を発見することができるのです。発見後は、グループインタビュー後のテキスト分析、分析結果後の改善策の提案というステップとなります。




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