販促プログラムの落とし穴

2006年2月10日 金曜日

早嶋です。



売り上げ=客数×客単価

上記の式より、”売り上げ増加”を行うには、?客数を増加するか、?客単価を増加するかと2つの方法が考えられます。?客数を増加するには、1)新規顧客を増やす、2)既存顧客を維持する、3)リピート顧客を増やす、が考えられます。



では、実際に新規顧客を獲得するには?多くの企業は、新規顧客を獲得するときに、値引きやお試しクーポンといった”おまけ”を使うことがあります。最近、この販促プログラムによって獲得した顧客との企業に対するロイヤリティを分析した論文を読みました。その内容によれば、新規顧客を獲得するために有効と思われている販促戦略が逆効果を招いている、ということです。



この調査方法は、とある銀行の新規顧客に対してアンケート調査を行い、口座開設の理由を分析します。そして、1年後、その顧客がどうなっていたかを更に、調査します。



結果、新規顧客の70%が口座開設の時に銀行からの”おまけ”が理由で口座を開設してる。この顧客を「Firm-determined customer(FDC)」とし、自らの意思で口座を開設した顧客を「self-determined customer(SDC)」とします。1年後、SDCの顧客はFDCに比べて2倍以上の利益を銀行にもたらし、離反した割合は、FDCに比べて8割も低いという結果が得られたそうです。このような調査をいくつかの業界で行った結果、同様にSDCはFDCと比較して、企業にとって大きな利益をもたらしてくれる事が明確になりました。



この結果から考えられることは、強引でインセンティブに頼ったマーケティング戦略では、一時の効果は得られるが、企業との長期的な関係には向いていない。考えれば、当たり前なのかも知れないが、これを科学的に調査しているところに非常に興味をもちました。企業として重要なことは、戦略を目的によって使い分け、長期的なリレーションを構築するほうがライフサイクルではやはり企業に大きな利益をもたらすということ。顧客を生涯価値で考える事の重要性を改めて感じました。



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