富士山・山開きと機会コスト

2007年6月25日 月曜日

早嶋です。



富士山の雪解けが例年より遅れているという報道がありました。例年だと、7月1日に山開きがあり、毎年、これにあわせて富士山祭りの一貫として「富士山お山開き」等のイベントが開催されます。



山梨、静岡の両県の調査では、8合目(約3200m)以上の雪が多く、例年のように、軽装備の格好では、山頂まで行けないとの判断です。富士山の頂上までルートは大きく4つあります。「吉田口」「富士宮口」「御殿場口」「須走口」です。今回は、4つのコースどれもが山頂まで行けないとあり、このような事態は97年以来だそうです。



甲府地方気象台は、残雪が多い理由として、「換気の影響で5月上旬から中旬の富士山頂の気温は例年より2から3度低かった。下旬にも雪が降り、雪解けが進まなかったのではないか」と分析しています。



大学生の頃、富士山8合目の山小屋(白雲荘:3200m付近)で泊り込みで番頭やガイドの仕事をしていました。仕事内容は、山小屋の夜間の管理や、宿泊客のガイド(5合目から頂上までの案内)などです。



多くの富士登山客は、日の出前に山頂を目指し、頂上からのご来光を拝むのが一般的です。そのため、大きく2通りの登山方法があります。



1つは、前日の夜9時頃に5合目(ここまではバス等を利用)を出発し、7~8時間かけて山頂を目指し、ご来光を拝むパターンです。比較的体力のある方や経験がある方は、このように夜中に一気に上ります。登山時間の7~8時間は個人差があり、なれた人であれば4~5時間もあれば頂上に着きます。



もう一つのパターンが、お昼頃に5合目を出発して、山中の山小屋で休憩や仮眠を取り、早朝に山頂を目指すパターンです。私の仕事は、主に団体客を5合目まで迎えに行き、山小屋まで案内し、その後、頂上までガイドする仕事でした。団体客や、体力に自身がない方は、こちらのパターンで富士登山を楽しむようです。



富士山にはじめて登る方は、びっくりすると思いますが、ピーク時は、朝の1時頃より、8号目の小屋の前から、頂上まで行列が出来るほどの登山客でにぎわうのです。



今回の富士登山の山開きが遅れるというニュースは、登山愛好家にとって残念という報道になっていましたが、もっと深刻なのは、富士山で山小屋やお土産屋さんを経営している関係者ではないでしょうか。



と言うのは、富士山の山小屋の稼ぎ時は、6月下旬から9月上旬の90日程度しかないからです。私が働いていた山小屋では、このシーズンに2億から3億円の売上を上げていました。山開きが1日遅れるたびに、1日あたり200万円から300万円の機会コストの損失となるのです。



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