ポテチショックにみるカルビーの強さ

2017年4月13日 木曜日

早嶋です。

全国のスーパーやコンビニからポテチがなくなる、或いは品薄になっています。いわゆるポテトショック。そしてネット時代の反映を受けて早速、一部のポテチ銘柄がオークションサイトで数万円近くの出品もで始めました。4月10日にカルビーと湖池屋のポテチが品薄になることが報道されているので、やはり最近の投機筋の動きはすごいなと思うばかりです。

さて、国内の製菓メーカーの売上高を調べてみました。1位は山崎製パンで3700億。ヤマザキビスケットや不二家、東ハトなどをもつ企業です。2位はカルビーで2400億。スナック菓子最王手です。3位が江崎グリコで2000億。チョコレートなスナック菓子、アイスなどを製造販売しています。4位は森永製菓の1800億、5位は明治HDで1600億。

報道で気になったのはカルビーと湖池屋の社名が並んでいたことです。上記の国内の製菓メーカーの上位ランキングにはでてこない湖池屋がなんでだろうと調べてみました。

するとスナック菓子というジャンルでくくって見たところ1位がカルビー、2位が湖池屋だったのです。なるほど、今回はポテチだったので合点がいきました。湖池屋の商品ポートフォリオは1)ポテトスナック、2)コーンスナック、3)タブレット製菓で売上比率にするとポテトとコーンで99%の売上比率です。

全日本菓子協会の菓子統計をみると、スナックの国内市場規模は1980年から1990年にかけて上昇、2005年ころまで減少、そして現在まで再び上昇しています。1980年の規模は2800億円程度で1990年が4000億円、そして3500億前後まで下がったあと、2015年で4200億円程度まで上がっています。同統計にはチョコ、ビスケット、米菓子がありましたがこの菓子小売市場は緩やかなものもありますが成長していることを知りました。

富士経済の食品マーケティング便覧2017年によれば、スナック菓子メーカーのシェア100(規模3188億円)とした時、カルビーは50%、湖池屋が12%、山崎製パンが僅差の11%、おやつカンパニーが6%、日本ケロッグが4%、森永製菓、明治、ハウス食品がおよそ2%です。

カルビーの主力商品はポテトチップス、かっぱえびせん。湖池屋の主力はカラムーチョ、スコーン、ドンタコス。山崎製パンの主力はチップスター、キャラメルコーン。おやつカンパニーはベビースター。ということで各社報道はポテチに限ってはカルビーと湖池屋を引き合いに出したのですね。

ちなみに富士経済の食品マーケティング便覧でポテトチップスのシェアを見てみました。全体を100(売上規模1102億円、2015年)としたときカルビーは71%、湖池屋22%、他7%とカルビーが圧倒的に強い領域がポテトチップスなのですね。

2社のポテチを調べて見ました。1962年に湖池屋がポテトチップスを発売。その8年後の1975年にカルビーもポテトチップスを発売しています。湖池屋がポテトチップスについては元祖のようです。湖池屋はその後ポップコーン、カラムーチョ、スコーン、ポリンキー、ドンタコスを1985年頃から1995年頃に発売してスナック菓子の統合企業になり売上を200億規模に成長させています。2000年初頭に海外展開をはじめ2004年のJASDAQ上場の頃に300億円の規模の会社になっています。

一方のカルビーは1975年にポテトチップスを発売する頃の規模は200億後半。1990年台には1000億規模、2010年頃に1500億、現在は2500億の企業規模になり企業としての格差は拡がっています。元祖湖池屋がポテチの市場を創造してカルビーとともに市場を拡げ、現在はカルビーがその市場を牽引している絵図なのです。

因みにポテトチップスのシェアを調べてみると1990年はカルビーが7割、湖池屋が1割、2割は複数社のの頃。それが2015年にはカルビーは7割、湖池屋が2割になっているので湖池屋が挽回に向かっていることはわかります。それでも7:2の力の差。恐るべきカルビーというのがポテチ業界の事情なのです。

少し海外に目を向けます。カルビーの2015年のアニュアルレポートにカルビーはジャパンフレトリーを完全子会社化して、ペプシコに20%の出資をしている記述がありました。ペプシコは米国のスナック市場の5割を牛耳る会社でその日本の会社をカルビーが傘下においている。つまり、カルビーはポテチに対して国内最強、海外(米国)でも最強のペプシコと手を組んでいる。日米のトップ同士がガッチリとポテチを牛耳っているのです。これでは湖池屋は2割のシェアを更に伸ばすことはかなりハードルが高いと言えそうですね。



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