子会社や孫会社のガバナンス

2017年4月12日 水曜日

早嶋です。

東芝は2016年4月から12月期の決算に関して、監査法人の適正意見が表明されないままの発表となった。今回の判断は、これ以上の先延ばしは信頼を決定的に損ねるとの判断だったであろうが、先延ばしにしても今発表しても、全問の虎後門の狼といった感じだろう。

そもそもの根本は、「グループ全体経営のマネジメントが不十分でガバナンスが取れていない」ということだと思う。特に、M&Aで傘下に収めた原子力の会社ウエスチングハウス。この会社の責任者が巨額の損失を回避するために従業員に過剰な圧力をかけたり決算をごまかしたりしていることが大きな要因と指摘されている。

東芝からすると子会社の子会社、つまり孫会社が与えた損失が、ある日親会社の決算に影響を与えたということで、自社の粉飾に加えてダブルパンチだったとも推測できる。

上場企業およそ3560社は、自社戦略を成長戦略にしなければ株価が下がることから、毎年成長の方向性を示さざるを得ない。国内は成熟、成長市場は海外。となると成熟市場においては同業者をM&Aしてシェアを買う。成長市場に対してノウハウがない場合は時間とリソースを買収する目的でM&Aを行う。今後の上場企業にとってポイントになるのがノウハウや時間やリソースを買う目的の後者のM&Aだ。

この場合の目的は、そもそも自社ではその領域の仕事を出来ないから資本を投下して時間を買うということ。しかし、近年の大型買収や中型の買収を見ていて、経営者を自社から送り込むものの、その領域に明るい経営者が不足していて買収先の企業を十分にマネジメント出来ていないという問題が散見される。考えてみれば当然で、ノウハウが無いから他に資本を入れるわけであって、その企業をマネジメントできる器の経営陣が始めからいないのだ。

今回の東芝の件は行き過ぎとしても、他の業界でもグループ経営の財務における、信頼を落とす可能性のリスクは多々潜んでいると思う。東京商工リサーチの2016年の発表コメントでは、会計処理が不適切と示した上場企業は57社で過去最高。上場企業3560社を分母とすると1.6%もの企業が不適切な処理をしていたことになる。実に200社の中から3社の割合だ。しかもその4割が子会社や孫会社に関連するものだった。明らかに多い。

買収先の子会社で不正な会計処理が発覚して15年3月期の決算発表を延期したLIXILグループ。オリンパスの粉飾事件を受けて監査がより厳しくなったということも考えられるが、実力を超える企業を買収してその会社のマネジメントが出来ていない。或いは戦略が無いまま、金融筋からM&Aの誘いを受けて不十分な買収前調査のままリスク面の洗い出しが甘かった。ということも考えられる。

何れにせよこの一連の東芝の報道はある程度の規模のM&Aを過去から行っている企業にとっては対岸の出来事ではないだろう。M&Aは手段だが、今回のようなリスクがあることを考えながら、やはりは人。マネジメント層の教育や意識が一層必要になることは間違いないと思う。



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