中堅社員がキモ

2016年8月31日 水曜日

早嶋です。

大手インフラの出資会社の中堅社員を見て、日本の多くの企業がそうであると感じた。この企業の売上を100とした場合、そのうちの80は大手インフラ企業から無条件で仕事が降りてきて、社員の多くは、その仕事を難なくこなすことでおまんまを食べることが出来ていた。

この企業のトップは、大手インフラ企業からの天下りで、この企業の生え抜きは過去、その企業のトップを務めることができていない。社長は大手インフラ企業では部長クラスか、稀に事業部クラスの責任者を行っていたが経営に明るい人材ではない。

歴代の社長は決まって大手インフラ企業からの仕事を減らして、独自のビジネスで稼ぐ仕組みを作ると意気込んでいる。が、10年近く同じことを別の社長に変わるたびに連呼している。つまり誰も実行に移していないのだ。

理由はいくつかある。1つは、変わらなくても大手インフラ企業から安定的な仕事が降りてきているので必要性を感じない。1つは、仮に変えたとしたら、自分が会社を辞める時期に最も業績が悪くなるかもしれない。そう考えると自分の代ではスローガン程度で他の世代が実現すれば良いと心の何処かで思っている。それが退職金を最大化出来ることだし、次の天下り先も豊かになるからだ。

別の理由も考えられる。そもそも自分がバリバリ仕事をしていた時代に新しい仕組みを作ったりビジネスを興す体験をしたことが無いので、やり方がさっぱりわからないということだ。従って、スローガンを掲げるだけで戦略は無く、それに準じた組織も10年、20年前の仕組みを概ね継承している。

仮に、その企業のポートフォリオを、50%を大手インフラ企業の仕組みから、50%を新しい商売で生み出すとしたら、現状の社員の80%の内、少なくとも30%は新しいビジネスにシフトする必要になる。その時の前提は、多くの場合、大手インフラ企業の業績も日本の経営環境の悪化に応じて悪くなっている。従って、これまで通り大手インフラ企業が仕事を出すかが不安定になってきている。

すると、考えられることは出資会社であっても仕事の依頼の仕方を変えてくることだ。これまでは無条件で投げていた仕事が、場合によっては競争をさせたりして仕事を投げられる可能性も出て来る。するとこれまで大手インフラ企業の仕事をこなしていた人材は、確実に仕事の負荷が高くなり、場合によっては仕事そのものをロスる可能性も出て来る。

従って半数の大手インフラ部隊は、これまでの仕事のこなし方に対してゼロベースで改善すべきところが多数出て来る。また、残りの新規部隊は、これまで体験したことの無い仕組みをゼロから創る必要性が出て来るのだ。どちらも過去からの流れをみると難しいという一言に尽きるのだ。

今の中堅社員。入社して5年から7年は辛うじてチャンスがあるかもしれない。が40代の選手は完全に思考が停止しているため、上記のような状況を理解しても行動として体が動かない。30代の若手も、なんとなく将来を見きって安定する思考に陥っているのでメスを入れるのに時間がかかるが、必要性を理解すると行動を取りやすい。

私の考えは、このような企業が本気でポートフォリオを変えたいのであれば大手インフラ企業対応の社員を年齢の高い人間の一般職に任せ、有能な40代の中堅社員とそれ以外の若手社員を新規ビジネスに回す。そして、そのチームの人事評価の仕組みは既存の仕組みと全く異なるモノをつくり、その成果の責任は社長自らが負うという仕組みを導入する。というものだ。加えて、アイデア実現の責任者にはよそからスタートアップを経験した人材を数人引っ張ってきて、各ポジションの悩み相談部隊として配置するのだ。

既存の既に成り立っている別の事業に資本を入れるという選択肢もあるが、資金の規模や状況から言えば、ある程度は自分たちで回す思想と取り組みを内製化しないと、買収した企業のマネジメントが対応できなくなる。

ということは中堅社員の30代の殆どが、その会社でこれまで誰も経験したことが無い仕事に取り組む必要が出て来るのだ。これは刺激的でエキサイティングな仕事だ。そうしないと将来の自分のクイッぷちが無くなるのだ。



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