身代金の力学

2015年1月20日 火曜日

一般的に人質事件の力学ってどのようになるだろうか。政府や警察組織は必ずテロリストに屈するなというメッセージを出しているが、何を持って屈することになるのかテーマが曖昧だ。

例えば今回の身代金の金額は2億ドルということなのだが、この価格はどうなのかと思う。200億円以上、1人あたり100億円以上。そこで、国連の安全保障理事会が出す報告書を読んでみた。イスラム国が最近1年間で得た身代金の収入が総額で3500万から4000万ドルというのがあった。つまり40から50億。これからすると今回の要求は1年間の収入の4倍から5倍だから高すぎると判断できる。

もう一つこのような報告書があるということは、誘拐をベースに資金を得るということがイスラム国の資金調達の方法としてある程度確立しているということだ。しかも、年間に40億から50億円ものお金を支払っている個人や組織が存在していると言うことだ。報告書では、アフリカや中南米のことにもふれ、身代金目的の誘拐自体がビジネスとして成り立っていることがわかる。

彼らは身代金をベースにした資金調達を当たり前と考えているとすると、彼らに取っては合理的な稼ぎ方になる。しかし、その値段の提示の仕方を考えると非合理としか言いようがない。なぜならば、およそ過去の身代金の金額の相場が一人あたり100万ドルであり、今回はこの相場の100倍もの価格を要求しているからだ。

仮に、彼らの中で合理的な進め方をするのであれば、この誘拐の動きは秘密裏に動くはずだ。なぜならば公に公開した状況で解放のために身代金を払えば、以後、日本の国の政府は人質に対して身代金を払うということを宣伝することになる。従って、政府がそのようなことをするはずが無いということで、ビジネス目的であれば、秘密裏に行うことが合理的と言ってよい。

となると今回は、ビジネスとして金銭を得ることを目的にしていると考えると合点が合わないのだ。考えられるとしたら日本に対しての警告、あるいは今後の活動を日本にも向けよという仲前のメッセージになる。合理的な相場の100倍もの資金を要求することで、メディアは騒ぐ。騒げば世界中に拡散している仲間に強いメッセージをだすことが可能になる。

となるとこのような報道は規制をかけて、メディアに対して一切報道しないことが抑制になるのかも知れない。



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