戦略オプションとしてのM&A

2012年8月31日 金曜日

早嶋です。


経済が成熟していくと更に成長を求めるためのオプションとして、1)既存市場のシェアを取る、2)新規市場のシェアを取る、の2つの方法が考えられます。

前者は市場を純粋に取り合う形の戦いです。従って、首位の企業が2位以下の企業のシェアを奪ったり、互いが接近戦をしながらシェアを確保することになります。成熟した市場の特徴として1位の企業はコストローダーシップ戦略を取り、市場全体にリーチしています。一方、2以下の企業は1位と立ち位置を変え、差別化戦略を取ります。そして、大企業で1位から5位程度までの企業で殆どのシェアが取られてしまします。そして、その顔ぶれもおおよそ落ち着きます。

市場が成長していた時のように、2位以下の企業が首位の企業の模倣を行うと2番煎じと解釈され、ますます厳しい状況に成るでしょう。これは首位の売上を促進すうお手伝いとなり全くの逆効果であることが分かります。そんな時、行われる定石は、自分達よりも下位の企業のシェアを獲得することです。この方法も、1)競争する方法と2)仲良くなる方法があります。

どちらの方法にもM&Aは1つの選択肢として採択されます。1)は敵対買収で2)は友好的買収です。どちらの方法も、2位以下の企業が1つになることで規模が大きくなるため、もともとの地位よりも高い割合になるでしょう。シェアが純粋に足し算でふえるからです。

自分達が属している業界が既に伸びることが無、今後はシュリンクしか無い。と分かった場合、今度はコレまでの技術が応用できる別の市場、新しい市場を求めることでしょう。この時も、1)ゼロから始める。2)既にあるビジネスに紙本を入れて参画する、という2つのやり方があります。

ゼロからスタートする場合、必ずそのビジネスが成り立つ保証は薄く、既にそのビジネスでも首位のプレーヤーや2位以下のプレーヤーがひしめき合っているので頭で描くようにビジネスが成り立ちません。一方、2)の既にあるビジネスに資本を入れてM&Aして行くやり方も考えられます。この場合は、書いて手にとっては、リスクが読めて、ゼロから立ち上げるよりも時間がかからないことがメリットです。

上記のようにM&Aは成熟社会に置いて戦略オプションの1つとして選択される可能性が高くなる手法です。しかも近年は企業規模が小さい企業でも選択され、実際に行使されています。M&Aのメリットは、時間を買うこと。ビジネスに絶対はありません。仮に、優れた資源を有していてもゼロからビジネスを立ち上げ、収支を上げることは非常に難しいことです。M&Aを行う前に、買収側は売却側に依頼をかけ、コレまでのビジネスの内容やこれからのビジネスの概要を確認することがでます。

既存の顧客や、従業員も既にいる、何よりも収支バランスが完璧に分かり、多くのビジネスが黒字を上げています。となれば、ゼロからリスクを取って店舗展開するよりもリスクを抑えることができます。何よりもM&Aした直後からそのビジネスが成り立ちます。

一方、売却側にとっても、市場が厳しい状況に大手の資本を入れて頂くことによって経営が安定します。また部品や原材料の調達などは規模の経済が働くことになり、コストメリットも享受できます。また、後継者が不在である企業にとっては、ビジネスが存続することにも意味付けができます。

M&A。印象が先行して中身が理解されていない。大企業の中でも今ひとつ理解されていない方が多い。きっと中小企業にとっては相当ネガティブなイメージでしょうが、実際はオプションの1つですので様々に活用できるのです。



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