離職コスト

2006年11月11日 土曜日

早嶋です。



「生産工場を中国に移して、人件費を抑えよう」。一昔前までは、このような事が当たり前のように大企業で言われていたかもしれません。



しかし、最近は、中国の労働力は本当に安いのか?というアンチテーゼが投げかけられることもしばしばあります。実際のところ、どうなのか、離職率に注目して考えて見ます。



中国では単純労働者が有り余っているのは事実です。統計データによれば、ここ20年間で1億4000万人が国有企業から民間企業に転じるか、都会で一儲けしよう、ということで田舎を後にする人がたたないようです。



この労働者の平均的な自給は、わずかに75セント。更に、中国の労働市場である7億5000万人の20%を占める出稼ぎ労働者の一般的な月給は、130ドルに満たないそうです。



収入だけを考えると、安価な人件費です。しかし、そこに落とし穴があります。例えば、自給が5セント高い仕事があれば、この層の労働者にはとても魅力的な話になります。これが、中国の労働者の離職率が極めて高い理由のようです。



上述した単純労働者の離職率は30%から40%の間を推移しています。この数字は、先進国の製造業に従事する年間離職率の約5%と比較すると、いかに高い数字かが分かります。



以前、中国に仕事で行ったとき、当時、仕事をともにした仲間のその殆どは、違う企業で勤めています。彼らのようなホワイトカラーと言われる層の間でも、高い離職率が見られます。



現地の社員が高い給料を求めて辞めていくということは、企業にとってはコストがかさむ要因になります。つまり、高い人事管理費、研修費、欠品率の上昇、競争力が低下する可能性、不安定な企業風土・・・。



「生産工場を中国に移して、人件費を抑えよう」。という考え方には、純粋に人件費のみを比較すると問題ありません。しかし、中国の特別な事情を考えれば、中国での事業コストの中に、社員の離職にかかわるコストをただしく計算することが重要です。



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