日本の中小企業の後継者問題の実情

2011年7月20日 水曜日

日本の中小企業の経営者の平均年令は60歳と言われます。そして、中小企業の高齢化も今後日本の経済を活性化するために一つのネックとなります。商工会議所や国、市等、そして専門の事業承継部隊でお話される事業承継のポイントは次の通りです。

■事業承継の背景
1)経営者の高齢化、かつそこに後継者がいないところが多い、会社に魅力が無い、廃業しようとしても借金が残る、そこで後継者問題を考える。というスパイラルになっています。一昔前のように、親族が必ず次ぐという現実が亡くなっているのも事実。この背景は、中小企業のご子息はある程度の英才教育を受けているため、既に自分出ビジネスを始めているか、大きな資本の会社に就職するというのもあります。小さい頃から、親子でビジネスの話をして、いつか継いでもらうからな!なんて親子の会話はありそうで少ないのです。

2)金融機関にとって、中小企業は地域にとって重要なお客様。地域の貢献のために、厳しくても金融をつけるのが現状。銀行としてもノルマがあるのも事実。従って、上記のような会社も、金融機関にとっては大切。企業の存続が絶対条件なのでとてもとても無視することはできない。

さて、このような背景ですが、もう少し中小企業の特徴を整理してみます。

■中小企業の特徴
大企業は所有と経営が分離されていて、組織がきっちりしています。一方、中小企業は所有と経営が一致していて、家業の延長という感じが多いです。社長としては、創業者意識が強く、ワンマンでわがままな経営者が多いです。しかしバイタリティがあり、社員を強引にグイグイ引っ張る力はあります。しかし所謂、リーダーシップではない統率力でしょう。

また、成功すると本業を軽視する傾向になります。いろんな同業者団体の活動、他の団体の役員などに手をだし、講演活動等も忙しくなります。また、経理や管理はすこぶる弱い傾向があります。税理士の記帳代行をベースとした管理関係が殆ど、というのが背景でしょう。死ぬまでに会社が全ての社長さん、というのも少なく有りません。

組織の特徴です。中小企業の典型は文鎮型。トップダウンで間に入る人は少ないです。特に3Kと言われてきた業種はこの傾向が強くなります。従業員の人数にして20人まではだいたいこの程度が典型です。そして、スタッフの高齢化がはじまります。また、人材の定着率が悪いのも特徴です。古参の社員が数名いて、若い人がコロコロ変わる。

しかし過去は、高度成長とともに一儲けしている企業が多いので、その頃に蓄積した資産をそこそこ持っています。ただ、現状は担保余力が無い資産として、近年のキャッシュフロー重視で融資が受けにくい状態です。

で、そのような中小企業の経営者にいつ、事業承継の話をするのか?経営者からすると「仕事はやめん!追い出すのか?」という感じになるでしょう。「まだまだ死なない、俺を殺す気か?」という感情になっているのです。

しかし、経営者が元気なときは良いですが、近年問題になっているのが、急に体調を崩したり、何かがあったりとかした場合です。当然、事業承継は意識していますが全く準備していないので、最悪会社を潰してしまう結末に陥ります。

事業継承は経営者の意識がまずは大切です。60になったら引退して、次の世代に継承する!というような年齢を決めてしっかりとそのことを周知することが大切です。すると、後5年のうちに何をしなければならないか?と、具体的に承継の準備を取り組むことが出来るようになります。



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