ROA

2010年5月23日 日曜日

ROAはReturn on Assetの略称で、利益を総資産で割り算出する。総資産利益率とも称される。

 ROA(総資産利益率) = (利益) / (総資産)

分母:総資産には、常にバランスシート(B/S)の資産合計額が用いられる。
分子:利益には様々な利益が用いられる。

ROAはB/S上の全ての資産に対する収益性を判断する指標である。業界特徴として有形固定資産、あるいは売上債権や棚卸資産といった運転資本を多く持つことを前提とする業界では目標に掲げる意義が大きい。つまり、バランスシートが膨らむことを前手とする業界、或いは余剰資産が大きいと思われる企業には有効である。

ROAはB/Sの資産サイドに注目するため、資本が株主資本中心か、有利子負債が多いのかなどの資本構成の違いは分母に影響を与えない。従って、分子にも有利子負債の影響を排除することが望ましい。そこで分子には、有利子負債の結果として発生する支払利息を足し戻す支払利息控除前経常利益を用いる。

 ROA(総資産利益率) = (支払利息控除前経常利益) / (総資産)

ROAを財務指標にする場合、個々の財務活動を把握するために、デュポンシステムを用いてブレークダウンする。

 ROA = (利益/売上高) × (売上高/総資産) 
    = (売上高利益率) × (総資産回転率)

これよりROAを高めるためには、1)売上高に対する収益性を高める高い収益性の実現、2)少ない資産で大きな売上高を実現する高い資産効率性の実現、求める必要があることが言える。

ROA向上を掲げることで、売上高の成長、売上原価と販売管理費の抑制、実効税率の低減、棚卸資産の抑制、設備投資と利益貢献のバランス、自己株式取得や増配と言った株主還元策の活用など、あらゆる企業活動を総合して達成を目指すものであるため、目標とすべき財務指標としての意義は高い。

早嶋聡史





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