大企業病

2010年5月6日 木曜日

JALを少数精鋭にしたところで、コストダウンできたとしても将来性があるのだろうか?LCC(ローコストキャリア)と呼ばれる航空会社がJALの半分の価格で飛行機を飛ばして利益を出している現実を見れば明らか。JALが赤でLCCは黒。

大企業病だ。

大前さんの表現を借りれば、大企業は人間と同じで年を取れば垢やコレステロールがたまるのだ。小売業では、古い会社は販売管理費は26%程度です。ここからコストダウンを図ったところで5%ダウンがマックスで21%~22%が限界値です。対して、アメリカのウォルマートがシアーズを見事に潰した時の販売管理費は13%。これでは勝負にならないでしょう。

古い体質の企業や組織に垢やコレステロールがたまる理由は次の通りです。パーキンソンの法則というものがあります。「仕事量は与えられた時間を使いきるまで膨張する」という法則です。また、彼は間接業務は本来の目的と関係なく人の数に比例して増える事も指摘しています。

ベンチャーのような企業、新しい会社、人数が少ない中小企業は人手が少ない。そのため必要最低限のことしかしない、あるいはできない。特に起業したての頃は一人で二役も三役もこなすことは当たり前です。しかし、会社が大きくなると一人ではこなすことが難しくなるから仕事が細分化されます。仕事を細分化してルーチン化する事で仕組みとして定着します。こちらの方が効率的で確実です。仕組みとして仕事が定着すると、新しい人やこれまで体験した事のない人でも、その仕事はできるようになります。しかし、組織の肥大化に応じて機能が細分化する事で、それぞれの管理業務が発生して、それらを連結する間接業務が発生します。

これが大企業病の症状のシナリオです。このような会社はコストダウンしたところで、1人でマルチタスクをこなせる人材がそもそもいないので、そのままの仕組みでは仕事がうまく回らないのは当たり前です。しかし、多くの大企業は仕事の定義、役割の見直しをかえないまま各部門の人員を均一的に削減するので、現場の仕事は倍も三倍も忙しくなります。こんなしわ寄せが来たところで生産性は構造的にあがるはずがないから社員にとっても良い迷惑でしょう。


早嶋聡史





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