長崎のお盆

2009年8月16日 日曜日

先週は、福岡、大分、東京、山梨、そして長崎とずいぶんと移動が多い週でした。時期はお盆。各地での風習の違いを体験しました。



お盆の行事は地域によって様々な風習の違いがあり、長崎のお盆の時期は精霊流しを始め、実に特徴的な行事であることを感じました。そもそもお盆は年に1回里帰りされるご先祖様を家族みんなでお出迎えし、生前のご恩を感謝するイベントです。そのため、日本全国が一斉に帰省するため毎年ラッシュが発生しますね。



長崎ではお昼のお墓参りもありますが、お盆の時期は夜のお墓参りが主流です。墓前では花火やら爆竹、都会ではロケット花火と呼ばれる矢火矢(ヤビヤ)を鳴らし賑やかに騒ぎます。線香は竹線香を使い、中国色が随所に見られます。先に書いた精霊流しは大量の爆音と花火とともに個人を送る伝統行事です。



長崎のお盆は華僑の影響を多く受けています。爆竹や花火を鳴らす風習も華僑の方が亡くなられた際のしきたりです。他説有りますが、出棺する際に爆竹を鳴らす意味は、魔界との関係を音によって断絶する意味、爆音によって喝を入れ、この世との未練を断たせる、などの意味があります。



華僑の方はその後、夜通しで麻雀をされるようです。そして、卓を囲んでいる方や楽しんでいる方が多ければ多いほど、故人が得を積んでいた証として素晴らしい事だとされています。長崎では麻雀の風習は残らなかったものの、その儀式は引き継いでいます。ジャン卓を囲む代わりにダイニングテーブルを囲んで親族一同が集まって食事をするのです。



盆菓子と竹線香他の地域と比較すると盆菓子もまた、長崎の他では珍しいもののようです。盆菓子はお盆の13日から16日まで仏壇にお供えされる砂糖菓子です。京都でもお盆の時期に飾り菓子が作られるようですが、その細工は繊細で見せる事が目的と小さい頃ききました。一方、長崎の盆菓子はお供えする事が目的なので頑丈につくられています。



他県の仏事でも落雁をお供えすると思いますが、長崎の盆菓子はうるち米を粉にしたものに大量に砂糖を加えて型打ちして作られます。盆菓子をこっそり食べて、まずい!と思ったときに学びました。



お盆の期間に夜に墓参りを行うのも長崎の習慣です。昔は墓前で宴会を行っていたという話も聞いたことがあります。現在はさすがに見かけませんが、それでもお盆の時期は親戚縁者、集いの場に変わりがないようです。



宴会の名残でしょうか、墓では木組みの提灯かけに家紋の入った提灯に火をともして、火が消えるまで親戚縁者が故人の話をしたり、近況を語り合います。そして、そのわきで小さい子供が爆竹や花火を行うというのが当たり前の風景です。



墓に集まって?語り合う?不思議に思われた方も多いと思います。他県の墓の立て方と全く異なるというのが理由です。多くのお墓は塀で囲まれ、小さいながらに門があります。また、お墓の中にベンチや腰掛けがあるお墓も珍しくありません。大勢が長居できる工夫なのかも知れません。



お墓についてはもう2つ違いがあります。1つは、墓石に彫られている文字が金色に塗られている事。○○家や南妙法蓮華経などの文字が金色に塗られています。中国の風習でしょう。それから2つ目はお墓につちがみ様を祭っている事。他ではどじん(土神)様と呼ぶようですが、土地を神様から借りているということで土地の神様を祭っているのです。これも古い唐人屋敷の中には必ず土神様が祭っているところから来たのかもしれません。















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