クリエイティブ資本論①

2009年3月10日 火曜日

早嶋です。



都市の活性化や優秀な人材を取り入れようということで大規模商業施設を受け入れたり豪華なスポーツスタジアムを建設したり、市街地のモールに助成金を出したり、コールセンターを誘致したり。もともとその地域にあった古い歴史的な建物を建て壊して新しいけれども、どこにでもあるような市街地や商業施設を作る。



はたして上記のような都市作りは魅力的な人を集めることができるか?否。近年、注目されている理論にリチャード・フロリダ氏が提唱するクリエイティブ資本論というのがあります。



クリエイティブ資本論この理論の中心は、現在の世の中はクリエイティブクラスが大きく経済に影響を与えているというもの。そして彼・彼女らはある特定の地域に引き寄せられるという内容です。クリエイティブな人たちは仕事がある場所や上記のような箱物がある場所よりも、自身が住みたい場所に集まるといいます。



クリエイティブな仕事をする人の数は過去20年で特に増加しています。科学者、技術者、アーティスト、ミュージシャン、デザイナー、知識産業の職業人などです。クリエイティブは近年、究極の経済資源と捉えられます。クリエイティブクラスが生み出す新しい考えや物事を円滑に進めう方法は生産性の向上につながり、地域の生活水準を底上げすると考えられるからです。



ダニエル・ピンク氏のハイコンセプトでも紹介しましたが、農業の時代、工業の時代、そして情報化の時代によって革新的に飛躍した世の中の変化は、新しい資本によって飛躍的に変わりつつあります。それがクリエイティブ。「以前の変化は物理的に投入するものを土地・人員から原材料・労働力へと置き換えるものであったが、今度の変化は人の知性や知識、クリエイティビティといった無限の資源に基づいている」リチャード・フロリダ氏は言います。



クリエイティブな可能性はまだ開拓されたばかりで、実質的に無限な資源で、誰もが何らかの意味でクリエイティブであるはず。そして、各人がクリエイティビティを発揮する事で世界的に問題となりつつある格差を是正することもできると唱えます。



その一方で社会は一部のクリエイティブを認めるのみで、はるかに多くの一般の人々が持つクリエイティブな能力についてはその存在をほぼ無視している状況でもあります。



クリエイティブ資本論では、クリエイティブなエネルギーを活用すると同時に、それによって生じる社会不安や混乱を緩和するような、クリエイティブにふさわしい社会を広範囲に構築する方法を体系化しています。



そして本論のキーとなる考えが「場所の質」。最も成功している地域は、あらゆる種類の人を受け入れているという仮説です。多様な人種、多様な考えを持ち合わせる人々が住んでいる場所が偏見のない多様な文化を生み、クリエイティブな人々を引き寄せるのです。クリエイティブな人々が集まる地域は新しい資本と言う観点からも成長を続けます。



明日に続く。



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