生産性を上げる

2008年12月27日 土曜日

早嶋です。



午前中、クライアントとの打ち合わせを行い、午後は今年最後のドラッカー学会でした。最近のテーマはプロフェッショナルの条件で、今回はPart2の働くことの意味が変わった、についてでした。



1章:生産性をいかにして高めるか



冒頭、肉体労働の生産革命における生産性の向上について紹介があり、それと比較して知的労働者の生産性は全く向上していない議論があります。いかなる場合も「より賢く働くこと」が生産性向上の主役と言っています。



『肉体労働に関しては、より賢く働くことが生産性を向上させるうえで重要な鍵である。だが知的労働者に関しては、それが唯一の鍵である。』



生産性上述に関して、フレディリック・テーラーの科学的管理法と重ねながら、知的労働者が生産性を向上するために問うべきことは、『何が目的か。何を実現しようとしているか。なぜそれを行うか』である、と指摘します。この背景は、知的労働者の生産性を著しく低下しているのが、行う必要がない仕事やその人が行うべきでない仕事が原因だからです。解決策としては、仕事の棚卸をして、上記の質問を問いかけて仕事を整理することです。



ここに関しては、具体的な例がいくつか載っています。例えば、病院の看護人は、大半の仕事を患者の世話や患者の満足とは関係のないことに時間を使っています。例えば、大学教員は、授業、学生指導、研究よりも委員会の類に多くの時間を費やしています。例えば、デパートの販売員は客と話をしてサービスを提供する時間よりも、書類の山に埋もれる時間が多いです。例えば、営業所の所長は、客と接して情報を収集整理するよりも、報告書の類に目を通す時間に追われています。



ドラッカー曰く、知的労働者の仕事は、充実するどころか不毛化しているのです。そして、知的労働者の生産性を向上するステップとして、まずは属している知的労働の種類がどのようなものかを把握することです。その後、何に取り組むべきかを明らかにする。つまり、「何を分析すべきか」「何を改善すべきか」「何を変えるべきか」を決めるのです。



ドラッカーは知的労働を3つに分けています。



1)仕事の成果に質が求められる知的労働。これは、研究などが該当します。どれだけの研究量をこなしたとことで、研究の質が低ければ、成果は認められません。他に、戦略策定や医師の診断、放送や雑誌の編集等が該当するでしょう。



2)仕事の成果に質と量が求められる知的労働。先ほど出たデパートの販売員は、顧客満足にかかわる質的な仕事と、伝票整理という量的な仕事が存在します。建築のデザインもデザインという質が存在しますが、数をこなさなければならないという量も存在します。他に、医療技師、工場技術者、証券会社、銀行の支店、リポーター、看護人、など広域な知的労働者が該当します。



3)仕事の成果の大部分が肉体労働と同種の知的労働(作業的な知的労働)。ここは、仕事の質を前提条件であり制約条件としています。仕事の質が成果ではなく、条件であるということです。仕事の質が仕事の流れに組み込まれれば、あとは量で定義さます。ホテルのベットメイキングは、そのプロセスを定めておけば、1つのベットを何分で整える事ができるかが測定できます。



自分が行っている知的労働が上記の3つのうち、どれに当てはまるのか?が明らかになったら、次にそひ知的労働の仕事のプロセスを分析します。つまり、「目的の定義」「目的への集中」「仕事の分類」を行うのです。



1)仕事の成果に質が求められる知的労働。ドラッカーは、この手の知的労働については明確にどのように分析すると良いのかが明らかになっていないといいます。しかし、「何が役に立つのか?」を明確にしなければならないといいます。



2)仕事の成果に質と量が求められる知的労働。この手の知的労働については、「何が役に立つか」を問うと同時に、仕事のプロセスを1つ1つ分析することが必要です。



3)作業的な知的労働。仕事の質の水準を定め、それを仕事のプロセスに取り組むことが重要になります。



知的労働の種類を見極め、それに応じた分析する。作業を分解し、分析し、組み立て直すことによって生産性の向上が実現できます。ただし、生産性の分析と組み立ては、3年から5年おきに繰り返す必要があります。また、仕事や組織が大きく変更したときも叱りです。



加えて、ドラッカーは3つのことを指摘しています。



1)知的労働については、働く人たちとのパートナーシップは唯一も方法であって、他の方法は存在しない。これは、知的労働者自身がパートナーとなって生産性の向上に取り組む必要性をいっています。この背景は、これまで知的労働者は専門家の知恵のみを尊重するという当時の考えに従ったことがあります。しかし、実際は現場の働く人は、馬鹿でもなく、未熟でもなく、適応能力に欠けているということもない。彼らは、自らの仕事、その理論とリズム、道具、仕事の質について多くを知っています。つまり、これが今日理論として受け入れられている働く人たち自身の仕事についての知識が生産性、品質、成果を向上させる原点になるのです。



2)生産性の向上は継続的な学習が不可欠であること。仕事を改善するだけでは十分ではない。学習に終わることは無いのです。



『訓練の最大の成果は、新しいことを学びとることにあるのではなく、すでにうまく行っていることを、さらにうまく行えるようにすることである』



3)知的労働者は自らが教えるときにもっともよく学ぶという事実がある。これに関し、花形セールスマンの生産性をさらに向上する例を示しています。つまり、花形セールスマンに講師となって、なぜ、生産性が向上しているのかを他の社員に講師として話をさせるのです。人に教えるときに、自分がこれまで行っていることを整理し、体系化し、それを他者に伝えるように噛み砕きます。この時点でさらに別の角度からこれまでの行動を考えるきっかけになるので、生産性がさらに向上されたり、改善されたりする、はうなずけます。



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