早嶋です。
企業があらゆるデータを蓄積して、ひっきりなしにデータマイニングを行った結果、顧客より顧客の情報を知っている状況がやってくるかも知れません。
例えば、コンビにのPOSシステムは売れ筋商品と死に筋商品を分別するために構築されました。しかし、もしある商品Aと良く合わせ買いされる商品Bを特定してPSOから店員さんに情報提供が瞬時に出来たら。レジで店員さんが商品Aのバーコードをスキャンした瞬間に「商品Bをすすめましょう!80%の確率で購入するでしょう!」って。ごく近い将来、実現するかもしれません。
実際、データマイニングにおける意思決定は至るところで現実となっています。例えば、レンタカー会社や保険会社。クレジットカードの返済実績の低い人にはサービスを拒否します。理由は、返済実績の低い人と事故率には高い相関性があるからです。
例えば、フライトがキャンセルされるとある航空会社では、別の便の空席を提供する場合、常連客を無視して、データマイニングで他社に乗り換えそうだ!という顧客にすすんで席を提供します。
店員さんがすすめてくれる。なんて気の利いた一言だろう。でもその言葉の裏には完璧にデータマイニングされた完璧な計算結果が導いた一言かもしれません。
2008年6月 のアーカイブ
自分より自分を知っている
統計とデータマイニング
早嶋です。
ブログ「ムーアの法則」で書きましたが半導体の性能向上とともに、情報の保存が安価になっています。データマイニングと言う言葉が世の中に浸透してきて当たり前の言葉になっているのもムーアの法則に関係があります。
データマイニングで行われる処理自体は従来から行われている統計処理と変わりませんが、そこで扱う情報が質と量の両面において変化してきました。従来、高コストであった情報が水や空気のように安価に記録することができるようになったからです。
統計自体は、情報の記録がまだまだ高コストだった頃に確率された学問です。ですので、出来る限り小さな情報をもとに世の中の姿を知るための努力がなされています。一方、データマイニングは膨大なデータから何か役に立ちそうな法則や関連性を探します。
この技術はマーケティングに留まらず社会の様々な局面で利用されているでしょう。ネットでの検索もデータマイニングのお陰ですし、アマゾンでお勧めの図書を推薦してくれるのもデータマイングのお陰です。
ただ、データマイニングの手法を調べたり、勉強したりするときっと疑問を持つとおもいます。これまで行われてきた統計処理と何が違うのか?と。この疑問は当然だと思います。それは、データマイニングという特別な分析手法が存在するわけではないからです。データマイニングは膨大なデータから何かの規則性や法則を見つけ出す行為を示す言葉です。
実際、データマイニングは「回帰分析」「決定木分析」「クラスタ分析」「ニューラルネットワーク」などの手法を組み合わせて情報の分析を行います。冒頭にも書いたように、データマイニングは手法の目新しさではなく、分析する情報の量と質に違いがあるのです。
従来、何かを調べよう!と思ったとき、先ず調べる対象に関係する情報の収集から始まりました。しかし、この手法では最初に収集したデータ以上のことに関して分析することが出来ません。分析をする人がその道に長けていたり、データのサンプリング技術が素晴らしかったりすると、ある程度のストレッチが出来ますが、やはり分析するデータによって成果が限定されるでしょう。
そんな中で自体を変えたのがムーアの法則です。正確には情報技術の進歩によって情報の管理コストや蓄積コストが低くなったことです。すなわち、何かの目的のために情報を蓄積するのではなく、とりあえず様々な情報を蓄積する発想が芽生えたのです。
企業を始め様々な組織では、いつ役にたつか分からないけど、とりあえずデータを取っておくという発想が至るところにあると思います。そして、この傾向がドンドン進めば、必要な情報は既にどこかに収められており、それを取り出す方法も標準化が進められる可能性が高くなります。こうなれば、一見関係の無いデータ同士を分析して過去の経験や法則を超えた新たな規則や法則が顕在化していくかもしれません。
優れた経営者は、このようなことを勘や経験で意識的、無意識的に悟っていたかもしれません。しかし、データマイングの発展によって、これまで経験や勘に頼っていた種々のスキルが誰でも活用できるようになるかもしれません。データマイニング、このような点で革新的な行為だと思います。
色の所有
早嶋です。
本日、午後より某企業の幹部職研修でした。本日のテーマは前半がマネジメントとリーダシップ、後半が幹部職としてのコミュニケーションでした。参加者の方々、お疲れ様でした。
ブランディングにおいて顧客が抱く色の所有権を獲得することは非常に重要です。例えば、赤から連想するブランドを想像してみてください。
コカ・コーラ、ボーダフォン、マクドナルド、バドワイザー。皆さんはどのようなブランドを想像しましたか?コーポレートカラーから自社のイメージを連想していただければ、企業にとって喜ばしいことだと思います。
赤の所有権に対してコカ・コーラはヨーロッパ市場で負けたといわれています。5感を使ったマーケティングで著名なブランドセンスの調査結果です。英国で行われた調査で、赤を連想するブランドとしてボーダフォンが30%、次いでコカ・コーラが22%でした。
そのため、コカ・コーラは英国においては変色のロゴを使ったマーケティングキャンペーンを行っていました。本来は赤と白のロゴを、コカ・コーラがスポンサーとなっているフットボールチームのチームカラーを反映して、例えば青と緑の組み合わせのように異なる色に変えているのです。
赤の所有に関しては、企業ではありませんがスイスも当てはまりますね。ご存知の通り、スイスは高品質の時計、ナイフ、チーズ、チョコレート、銀行などの製品やサービスを提供する国として有名です。その中でスイスは自らのブランドを構築するために色の効果を利用しています。スイス・メイドの製品、サービスは自然と高品質のイメージがあり、それを支えているのが赤と白です。赤と白はスイスを同意に象徴したものになっており、国家的なマーチャンダイジングの実例でしょう。
色の所有とブランド。色には価値がありブランディングをすすめる上で重要な要素です。色からブランドのイメージが始まれば確実にその企業に利益を与えてくれるでしょう。
非営利組織の成果
早嶋です。
本日は、ドラッカー学会の九州支部の勉強会でした。最近のテーマは、「非営利組織の経営」です。会員の方には多くの非営利組織の方々が参加されているため、実際の経験や情報を交換でき大変勉強になります。以下、ドラッカーの著書、「非営利組織の経営」で本日議論が行われた引用部です。
—-以下、全て引用—–
非営利組織といえども、成果を上げるためにはプランが必要である。プランはミッションからスタートする。ミッションからスタートしなければいかなる成果もあげられない。ミッションが、あがるべき成果を規定する。
関係者全員の視点を長期の目標に合わせないかぎり、指示も信頼も敬意も得られない。
非営利組織たるものは、貢献という見地から自らの目標を設定しなければならない。そして、常にそれらの目標をより高次元のものにしていかなければならない。さもなければ、得られる成果は急速に小さくなっていく。
非営利組織は内部志向になりがちである。あまり大儀にコミットし、正しいことを行っていると信じるがゆえに、組織自体を目的と錯覚する。それでは単なる官僚主義である。「ミッションに貢献するか」を考えずに、「内規に合っているか」を考える。結果、成果は損なわれビジョンも献身も見失われる。
すべてを成果からスタートし、インサイド・アウトでなくアウトサイド・インで考えなければならない。
重要なことは、組織構造を階層ではなく、情報とコミュニケーションを中心に組み立てることである。非営利組織では組織内の全員が情報に関わる責任を果たさなければならない。
権限の委譲を意味あるものにするには簡単なルールが必要である。委譲した権限の内容、目標、期限を明確にしなければならない。委譲した者と委譲された者の間に期待と責任についての理解がなければならない。
中央の組織で働く者は、「自分たちの仕事は全体のための基準を設定しつつ、支部に奉仕することである。彼らが実際の仕事をする。自分たちは彼らのボスなのではない、彼らの拠り所である」といえなければならない。他方、支部に働く者は、「われわれが組織を代表する。われわれが何をいかに行うかは、全体の行動として見られる」といえなければならない。
非営利組織に働く者、特にその幹部は、頻繁に外へ出なければならない。組織の内部に成果はない。そこにはコストしかない。ところが人は容易に内部に投入し、外部の実現から遊離する。したがって非営利組織が成果をあげるには、組織の人間が外へ出る機会を何度でも持たせなければならない。
最期に、人を長期にわたってスタッフ部門に配置してはならない。現場とローテーションさせなければならない。数年ごとに将校を部隊に戻すことは、昔からの軍の知恵である。
意志決定にはリスクが伴う。優れた意思決定には時間と思考が必要とされる。だからこそ余計な決定はしてはならない。
重要な意思決定はリスクを伴う。当然意見の対立があるはずである。最初から全員が賛成ということは、誰も何も考えてきていないことを意味する。何についての意思決定であるかを知るためにも、反対意見が必要である。全員一致で決めたのでは、問題の本質ではなくうわべの現象で決めたことになる。まさに、建設的な反対意見がもとめられている。
意見の違いがあるときには誰が正しいかを考えてはならないとした。何が正しいかさえ考えてはならないとした。全員の答えが正しいと考えるべきである。ただし、違う問題に対してである。全員が違う現実を見ている。
決定はいつでも撤回できるようにしておかなければならない。そのためには、二つのことが必要になる。第一に代替案を用意しておくことである。第二に撤回の責任者を決めておくことである。こうして、責任追及に時間をとられないようにしておかなければならない。
非営利組織の最大の弱みは、自らの無謬性への確信が強いことにある。企業では間違いはいくらでもあることを知っている。ところが、非営利組織ではなぜか間違いが許されない。
未来先行型バズ
早嶋です。
もし、タイムマシンに乗って3ヵ月後の未来を垣間見ることが出来たとしたら?皆さんはどのような行動を取りますか?きっと、その体験を多くの人に話したくなってしょうがないと思います。
これってバズを誘発するためのヒントではないでしょうか?世の中には未来を先取りして一部の人に公開するプロモーション手法が多々あります。
例えば、映画の先行上映。普段より早く見られるとあって、会場は盛り上がります。そして、そこで見た内容を多くの人は別の人に話をしたくてしょうがなくなるでしょう。プレミアム試写会で芸能人や著名人に先行的に封を切らせるのもバズの誘発が目的でしょう。
例えば、新酒の試飲会。やはり、その業界で発言力のある人や時の人が参加して、雑誌で話をしたり、ブログに評価を載せたりしています。これも、現敵的に未来を先取りしたバズを狙ったプロモーションですね。
バズを効果的に誘発したいと考えたら、自分が人に話をしたくなるような状況を考えて、その状況を意図的に作る方法をあれやこれやブレストすると良いかも知れませんね。
200年住宅
早嶋です。
福田さんの重要政策の1つに200年住宅があります。こちらは、H19年5月に自民党政務調査会の住宅土地調査会長としてまとめた「200年住宅ビジョン」が根底にあり、そのまま法案化されるようです。
200年住宅のビジョンはスクラップ&ビルドのフロー型からストック型への転換を目指す意味では異論は無いと思います。しかし、真剣に考えているのであれば、141億円もの予算をかけずに実現可能ではないかと思います。そのためには、いくつかのことを考えなければならないと思いますが。
例えば、中古住宅市場の活性化。これに関しても、これから建て替える住宅の中古市場を考えるのではなく、今建っている中古市場を考えないといけないと思います。実際、日本での中古住宅には殆ど価値が付きません。少し考えたらおかしな話だと思います。適正な基準で評価をすると市場として十分に成り立つのでは無いでしょうか?
例えば、建築条件付宅地などの仕組みも見直す、或いは撤廃すべきだと思います。不動産流通の活性化を妨げているようにも思えます。消費者から見ると、不動産業者が不正に利益を上げてるんじゃないの?って疑いたくなります。
例えば、相続税の税制問題。いくら住宅履歴書を作ったり、建物の耐久性を向上させたとしても、200年住宅を実現するためには、相続の問題は避けられないと思います。日本での相続税は10%から50%までの超過累進税です。これは、相続財産が多くなれば税率が高くなる仕組みです。しかし、世界標準から見れば相続税は無くなる方向にあります。
200年住宅の発想。住宅を社会インフラ化することができたら、新しく住宅を建築するコストを違う消費に回すことが出来ます。現在の住宅の寿命30年で3000万円とすると、200年住宅では7回分の新築コストをペイできるようになります。ざっくり2億円。
素晴らしい構想ですが、とても真剣に考えている政策の中身ではないように思えます。
ドメイン
早嶋です。
本日は、東京でビジックを使った問題解決手法について講演をしてきて、先ほど福岡に戻りました。参加者の方々、お疲れ様でした。
ブログ「花王の事業ドメイン」でも触れましたが、事業の活動領域や存在領域のことを事業ドメインと言ったり単にドメインと呼んだりします。
このドメインですが、最初にその概念を指摘したのはマーケティングの大御所、セレドア・レビット教授だといわれます。レビット教授は製品やサービスそのものではなく、それらが提供する機能に着目してドメインを定義することを説いています。
その後、ドメインの考え方は経済学者であるデレク・エイベルによって洗練されます。エイベル氏は、ドメインを3つの軸、すなわち技術、顧客、機能で定義することを提唱しました。これは、ドラッカーの「誰に対して、どのような技術を用いて、何を提供するのか?」に相当するWho、How、Whatに応えることに相当します。そして特に上述の技術に関しては、テクノロジーと捉えるのではなく、他社にまねが出来ない自社が得意とするモノと言い換えて説明されています。
近年は、この他社にまねが出来ない自社が得意とするモノはコア・コンピタンスと呼ばれていますね。コア・コンピタンスの定義は、「顧客に特定の利益をもたらす一連のスキルや技術」です。
さぁ、皆さんの事業のドメインはどのように定義していますか?
ポイント制度
早嶋です。
航空会社や小売業が販売額や利用頻度に応じて顧客に特典を与えるポイント制度、近年、使途が広がり、擬似通貨としての機能を果たすようになってきています。大手家電量販店などを見ると、ポイントに応じて割引が利いたり、そのまま品物が購入できたりします。このポイント制度、何も考えずに導入していくのは時として危険ではないかと考えます。
そもそも、ポイント制はアメリカン航空が81年にはじめたFFP(フリークエント・フライヤー・プログラム)が発展したものだと考えられます。FFPが導入された背景は、航空業界の特性が考えられます。航空会社の基本的なサービスである空港間の輸送は差別化が難しく、競争市場になるにつれて価格格差が無くなってきました。
そこで、顧客に再び利用して頂くように飛行マイルに応じたマイルがたまるFFPが開始されたのです。多くの航空会社はたまったマイレージとその航空会社の無料搭乗券を交換しています。そして、この交換はコスト構造を考えるとWin-Winの関係になっています。
例えば、A氏がJALのマイルをためて福岡-ホノルルの往復搭乗券を手に入れたとします。これに関してA氏が得られる金銭的メリットは、エコノミークラスで10万円程度です。では、JALはどの程度の費用が増加するでしょうか?A氏が追加搭乗したときに増加する2回分の機内食の費用程度でしょう。もしかすると、通常は多めにつんでいるため実際の増分は無いかも知れません。
JALにとっては空席を空(から)で運ぶよりもA氏に搭乗してもらったほうがCS向上につながるかもしれません。飛行機の運航コストはほとんどが固定費であるため、A氏が搭乗したからと言って燃料費も代わらないでしょう。
つまり、航空会社におけるFFPは次の3つの条件を備えているため上手く機能していると考えられます。
1)競合企業が提供する製品・サービスに格差が少ない
2)企業が提供する費用より、顧客が得るベネフィットのほうが大きく見える
3)固定比率が高い
では、冒頭で危惧した流通業、特に大手量販店でのポイント制度についてコスト面を見てみましょう。流通業では、10%のポイントが付くと顧客が得をする金額は、商品の10%です。しかし、流通業側が拠出するコストは利益に直接影響します。FFPで見たコスト構造と全く異なることが分かります。
航空業界は固定費の割合が高いため、FFPは利益の圧迫要因にはなりませんでしたが、流通業では変動費の割合が大きいため、ポイント制による収益圧迫の可能性は高いはずです。
では、なぜ流通業でポイント制を導入しているのか?おそらく、他の競合他社が始めているから!という答えが返ってくるのではないでしょうか。もう1つは、交渉の幅を持たせるため。流通業では商品の金額を一度下げて、再ぶ元の金額に戻すのはとても難しいです。そのため、付与するポイントの率を変化して調整するのです。実際に量販店では、季節や商品によってポイントの付与率を変動しているところが多いです。
顧客のリピートを狙う!という答えも返ってくるでしょう。しかし、量販店にフォーカスして考えると、ポイント制はそこまでの効果を持たないのではないでしょうか?
実際、ポイント制によって顧客は企業に囲い込まれた!なんて思っていないでしょう。顧客は複数のポイントカードを持っていることが通常でしょう。ヤマダ電機やヨドバシカメラ、ビックカメラと言うように。仮に、ポイントによってロイヤリティーが一時的に増したとしても、たまったポイントを清算した瞬間にいっきにスイッチングコストが低下するでしょう。
今後、ポイント制がEdyのように企業の枠を超えて擬似通貨として交換されるようになればポイント制は企業の収益から必ずしもプラスとはならないでしょう。従来のようにポイントを使わないで死蔵する例も減るでしょうし、ポイントをためなくとも利用できるようになるからです。
ポイント制度を導入する場合、企業の旨みなどをもう少し考えた方がよさそうですね。
デジタル化のベネフィット
早嶋です。
ブログ「ノイズキャンセリングヘッドホン」では、従来のアナログの技術をデジタルで実現したSONYの製品について記しました。通常、アナログがデジタルになると、単に情報が0と1で処理されるという技術的な変化に加えて企業の競争にも様々な変化をもたらします。
例えば、0と1で様々な情報を処理できるようになると製品の境目がなくなります。ブラザー工業のミシンはデジタル化させることによって、PCで取り込んだ画像を指定の色で刺繍できる機能を開発してミシン業界にイノベーションを持ち込みました。これによって、周辺機器を提供する企業は必ずしもミシン業界に属していた企業である必要がなくなりました。
つまり、デジタル化によって、全く異なる業界がミシン分野に参入してくる可能性が考えられるのです。例えば、ミシンのデジタル化によってパソコンという汎用機器との接続が常になり、より高度な機能が実現できるようになりました。また、そのインターフェースの部分をメーカーが積極的に公開することで、デジタルミシンのソフト提供屋さんがサードベンダーとして誕生する可能性も考えられます。
電話がデジタル化されたことによって、i-modeが生まれ、これによってケータイ用のコンテンツを提供する派生企業が複数誕生したようにデジタル化によって業界の枠が取り壊されるのです。
ただし、デジタル化したからと言って直に普及するのか?といえばクエスチョンマークです。それはデジタル化が企業側の視点であって、顧客からすると、そのデジタル化によって明らかなベネフィットが得られていることが重要になるからです。
昨日のSONYのノイズキャンセリングヘッドホンは、デジタル化になったからといって、従来のアナログの機能との向上の違いが見えにくいです。
例えば、複写機などは、アナログからデジタルに変わったとき、コピーするという機能に関しては何らベネフィットに変化はありませんでした。しかし、デジタル化されたことにより、プリンターやスキャナー、ファックスなどの機能が複合され、家庭や小事業所には、1台あれば様々な使用方法を享受でき、かつスペースもぐっと小さくなりユーザーのベネフィットは確実に向上しました。
例えば、携帯電話がアナログからデジタルに変わったとき、通話の質に関して大きな変化はありませんでした。しかし、先に記したi-modeの誕生や電子マネー機能、ネットの接続機能などが充実してきてケータイ=便利な携帯情報端末となりユーザーのベネフィットは確実に向上しました。
技術志向が強い会社は「デジタル化になった!」という技術の変化のみに着目して、デジタルがすごい!などといった訴求がされ始めます。実際、SONYのMDR-NC500Dの訴求もそう感じます。もっと普及するのであれば、デジタル化によって、従来無かったどのようなベネフィットが向上するのかをきちんと訴求しないとBOSEの市場に食い込むことは難しいのではないでしょうか?
ノイズキャンセリングヘッドホン
早嶋です。
本日、東京から福岡に戻るとき、羽田空港のマーケットプレイス2FでSONYのノイズキャンセリングヘッドホンのプロモーションが行われていました。こちらの商品、MDR-NC500Dは周囲の雑音や騒音を99%低減するノイズキャンセリング機能を持ったヘッドホンです。
ノイズキャンセリング機能のヘッドホンといえば真っ先にBOSEのQuiet Comfortシリーズを思い出すでしょうが、SONYはBOSEとの違いをデジタル処理を施すヘッドホンと言うことでその差異性をアピールしていました。
さて、ノイズキャンセラ機能のヘッドホン。ファーストムーバーであるBOSEは、1978年以来、騒音低減に関する研究を積み重ね、快適な静けさのためにさまざまな独自技術を生み出し、航空機のパイロットやF1のクルーたちから絶大な支持を集めています。BOSEのQuiet Comfortシリーズはまさにその集大成といえる商品です。
そんなセカンドムーバーであるSONYのヘッドホン、BOSEのヘッドホンと比較したとき、ノイズキャンセリング処理技術がデジタルであること以外、装着した感じ、実際にノイズキャンセリング機能をONにした感じ、共に素人には違いが分かりませんでした。価格は、SONYが49,350円に対して、BOSEのQuietComfort2は41,790円。
果たしてSONYの市場の巻き返しは出来るのでしょうか?
(写真は、本日配布されていたプロモーションツール。羽田空港にあわせて、飛行機のチケットを模しています。心をくすぐりますね!)
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