個人情報とコモディティ

2018年4月26日 木曜日

早嶋です。

最近のテレビは教養番組が増えている。従ってほぼ毎日のように林さんと池上さんが地上波を独占する。おそらく情報バラエティ番組が飽和し、視聴者が飽きたのが背景だろう。

テレビの視聴者は、時代とともに高齢化している。若い層はテレビを見ないでスマフォで済ます。従って当時若い層にうけたお笑い番組も視聴率が取れなくなり、その世代の人間は徐々に情報バラエティに興味がシフトしていった。当然テレビ局も迎合する。

各テレビ局のディレクターも所詮はサラリーマン。視聴率が取れなければ、たとえ自分が作りたい番組があっても会社から見放される。結果、どこの番組も代わり映えがない、同じような番組を作って大量生産する。

そして今の視聴者は50代、60代が主流。次の興味は再び教養番組なんかをみて賢くなろうと思っている。従って何処にでも池上さんと林さんが出てくるのだろう。

テレビの場合は、ある一定の期間があり、その期間の間に当然正しい、間違いの判断がある程度できると思う。しかし、SNSの場合はそうはいかない。若者を中心にSNSで情報を得ることがポピュラーになった今、ニュースはタイムラインの一瞬が勝負だ。

各種メディアはネット上での反応、クリック数が増えるテーマを追い求めるため、ニュースの切り口を即座に決めて、反応が高いニュースを連続で流し続ける。結果、複雑な問題であっても内容を吟味する余裕もなく、また当然本質的な問を追求することもなく、結果的に一方後の偏った考え方が一気に社会全体に広がるという副作用を生んでしまった。

FBのマーク・ザッカーバーグ氏が4月に米国議会で5時間証言したのを受けて各種メディアはIT大手5社(FB、Amazon、アップル、ネットフリックス、グーグル)のFAANGはおしまいよ!的な見出しが続出した。

しかし、この大手5社が成長が鈍化することなど無いだろう。確かにEUが5月から施行する一般データ保護規則は個人情報保護の問題に深く突っ込んだ取り組みだ。が、それは重箱の隅だ。技術的な問題、独占禁止法、新たな税制度の設計、自由民主主義の不信感など上げればきりがない。

今回の用にFAANGを釣り上げようとしても、今後もデータは大量に膨らみ、それらを活用する動きは誰も止めることはできない。直ぐ先には個人情報の集積がコモディティ化するからだ。その証拠はIT業界に関係なくあらゆる業界が顧客接点を理解するための個人情報を貪欲に収集している。

世間でバズワードとなったAIがこれらを解析するが、機械学習をするためのデータが無いと始まらない。当然、どのデータが多いほどAIのアルゴリズムは精度が向上する。データは現在の石油。個人情報の立場を過度に取れば、経済的な競争力を失うリスクがあることを同時に考慮しなければならない。

まぁ、そのバランスは常に議論されるものでどこに正解があるかはわからない。デジタル化が始まった表面的な問題がやっと露呈した今回の事件。正解が分かるには時間と経験が必要だろう。



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