原です。
リーダーシップには、ビジョン型、情熱型、コーチング型など多様なタイプがあります。今回は、共感型のリーダーシップについてです。
ハーバード・ビジネスレビュー(2001年3月号)では、部下のやる気を引き出す資質の共通事項として、「自らの弱点を認める、直感を信じる、厳しい思いやり、他人との違いを隠さない」の4つの資質をリーダーが備えていることを記載しています。
1つ目の資質「自らの弱点を認める」は、何かしら弱点を見せることで、近づきやすい人間的な印象を与えることです。
例えば有名な話を引用すると、松下電器産業(現パナソニック)の松下幸之助氏は、「私は、体も弱く学問・知識をもっていなかったから」と周りに伝え、何をするにも皆に相談し、皆の知恵を集めながら経営を継続していきました。
2つ目の資質「直感を信じる」は、世の中の変化の兆しに敏感で「いつ、どのように行動するのか」適切に判断できることです。
例えば、私は大阪商人の元で働きながら夜間の大学に通いました。
大阪商人の社長は、大手流通業会社を退職してから、CVS(コンビニエンスストア)の将来性を感じてコンビニの多店舗展開を行い、CVSの普及から深夜のCVS店舗のお掃除サービス会社を設立し、若者のパン食が増加傾向となればパン屋を開業し、携帯が開発されたら一早く携帯の代理店を展開していくなどを数年で複数のビジネスを事業展開していきました。このような中、「資金があるから可能なのだ」と陰口を言う社員もいましたが、私としては、変化の兆しを掴む直感力とスピード感のある行動力の差が一般の人とは大きく違うと尊敬していました。
3つ目の資質「厳しい思いやり」は、部下の成長のためなら、時には冷酷になることです。
例えば、私は大学卒業後に赴任した職場では、労働保険年度更新事務手続きが最初の担当業務でした。
直属の上司は、私の親ぐらいの女性ベテラン社員でした。
4月1日に入社して直ぐに、労働保険年度更新事務手続きを1人で担当させられました。過去の資料と専門書を読み質問を行いながら、4月1日から約1ヶ月間は残業と休み無しが続きました。
無事に手続きを終えた後に、そのベテラン女性上司が言われたのは、「獅子の子落とし」という諺でした。
「獅子の子落とし」とは、厳しい試練を与え、器量を見極めようとしたということです。
最初は、新人いじめかと思いましたが、この仕事を乗り越えた後、この上司は「私に対する高評価な意見」を職場関係者などの周りに広め、その後も仕事を次々と任せてくれましたし、多様なジャンルの学びを私は受けました。
4つ目の資質「他人との違いを隠さない」は、自分らしさを上手く活かすことです。
例えば、私の母校でもある近畿大学の近大マグロの話です。
和歌山県の近大水産研究所は戦後まもない昭和49年、食料難の時代に食糧増産のため「広大な海を耕す」ことを目的に設立されました。そして、当初から新しい実験場の立上げを任せられたのが熊井教授です。クロマグロの養殖など絶対に無理だと地元漁師から奇人扱いされ、更には学界内からも冷ややかな声を浴びせられました。それでも、「魚のことは魚に学べ。相手は生き物であり、人間の思い込みや決めつけは通用しない。魚に教えてもらえ。」の実践主義の姿勢を貫き、苦闘30年以上をかけて世界の偉業であるクロマグロの完全養殖を達成していきました。
以上ですが、日々のコミュニケーションでは、部下の感情を直感的に感じ取り、相手にモチベーションを持たせるように共感型のリーダーシップを行動で示すことが必要です。
2019年4月2日 のアーカイブ
共感のリーダーシップ
パワハラとモチベーション
安藤です。
厚生労働省の労働政策審議会分科会は14日、パワハラやセクハラなど職場におけるハラスメント(嫌がらせ)の防止に向けた対策の報告書を了承しました。企業にパワハラ防止の取り組みを法律で義務付けるほか、セクハラ対策も強化。来年の通常国会に関連法案を提出し、平成32(2020)年から施行する見込みです。
パワハラは近年、相談が急増し、死者も出るなど問題化。厚労省は、働き方改革の一環で成立した労働施策総合推進法(旧雇用対策法)の中に、パワハラを「許されない行為」と位置付けた上で、企業側にパワハラ防止のための雇用管理上の措置を義務付けるとしています。
パワハラについて、上司と部下との認識の違い、離職への影響について、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会では下記の通り報告しています。
■【「怒った(怒られた)こと」とパワハラの関係性について】
怒られた部下が上司に対して「パワハラだと感じる」のは53.8%。
一方、怒った側が「パワハラだと感じている」のはわずか16.7。3倍以上の認識のズレがあります。
■【怒った(怒られた)後の上司と部下の関係性について】
怒られた部下の多くは、その後「業務に支障をきたす」が、怒った側の上司の58.7%は、「特になんとも思っていない」!
■【怒った(怒られた)後の感情の継続期間について】
怒った後の感情の継続期間に明確な差!
怒られた部下の、5人に1人が1年以上引きずるっている!さらに、関係が回復したのは僅か7.6%! 76.9%は昔の関係に戻っていない。
■【怒られ方と離職者について】
怒り方で離職・異動が防げる!?
離職者のうち、57%が上司の怒り方次第で「離職を防げた」と回答。
離職防止だけでなく、“アンガーマネジメント” を学ぶことで、離職を妨げそしてどう生産性に繋げるのか。また、日頃の部下との関係の築き方が基本です。また、なぜ、モチベーションが低下しているのか現状分析も重要です。
『人材開発、人材育成に活かす外部キャリアコンサルタントによる企業内キャリアコンサルティング、組織にキャリアコンサルタントを育成したいなどのご相談がありましたら、弊社にご相談くださいませ。
バイト・パートの賃金上昇が生み出す結果
早嶋です。
ーー 日本経済新聞 記事抜粋 ーー
オリエンタルランドは1日、2018年度の東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)の入場者数が4年ぶりに過去最高になったと発表した。前年度比8%増の3255万人だった。新エリアの開業などを控え、入場者数は増加を続ける見込み。19年度からアルバイトに業績連動の賞与を支給するなど、人手不足を受けて人材への投資を拡大する。
ーー 2019/4/2 ーー
オリエンタルランドが、業績連動型の賃金をバイトやパートにも適用します。このニュースをきっかけに、パート・アルバイトを含む従業員への働き方に対しての考え方が変化していくと思います。
仕事に関しては、医療や企画などのように、専門的な技能を持つ仕事や、構想力や企画力を駆使してアタマを使う仕事などのような付加価値型の仕事と、ある程度慣れると誰でも一定レベルの作業が行えるような作業型の仕事に大きく分類できます。
付加価値型の仕事は、コンピューターやロボットやAIなど(以下、機械)に置き換えることがなかなか難しく、今後もヒトの手で取り組むことが主流になるでしょう。加えて、ヒトを介在することで、対象である顧客に対してより高い価値を提供できるサービス業などもヒトの手での取り組みが重要になっていきます。
一方、作業型の仕事は、ヒトが行うことでストレスが溜まり、作業効率が悪いため徐々に機械に置き換わっていくでしょう。ただし、この作業が全て置き換わるのではなく、全体の6割から7割り程度の標準的な作業は機械が担い、残りの例外的な処理はこれで通りヒトの手で行うようになるでしょう。
作業型の仕事の多くは2:6:2の法則に従います、例外処理を含む標準的な仕事が2割、標準的な仕事が6割、その他の仕事が2割です。機械は繰り返しの作業などが最も得意なので、この6割が機械に置き換わる対象です。一方、例外処理の2割の仕事は、しばらくはヒトの手で行う選択をしたほうが効率良いのです。したがって、機械とヒトが協業する世界が今後当たり前の景色になっていくでしょう。
現在、多くの業種業界において人手不足が深刻な社会問題になっています。オリエンタルランドの仕事のように、これまで多くのキャスト(オリエンタルランドで仕事に従事する方の呼称)が仕事をしたいと思っていた仕事でも状況は同じです。これまでは特段時給が高くなくても人が集まっていました。しかし、昨今の人で不足により、働きたい人の母数が減っており、オリエンタルランドのような企業でも人を集めるのに工夫が必要になってきたのです。
作業型の仕事ではもっと深刻です。成長期は働きたい人の母数が多かったので、それでも十分に人手が集まっていました。しかし少子高齢化になるにつれて、働く母数が減少するに連れて、人手を確保することが厳しくなります。そのために企業は人件費を上げることで人の確保を行っていました。
しかし人件費にも上限があります。そもそも作業型の仕事は利益率が付加価値の仕事と比較して低く、人件費に転換する原資が少ないのです。それでも人手を確保しなければならない。そのような状況が続くと、企業の選択肢はどちらかになります。廃業含め仕事の規模を縮小する方向か、人手の仕組みそのものを機械化する、あるいは省力化する、あるいは事業モデルそのものを見直すことです。
地方でほそぼそと事業を営む零細企業は、経営者自身やその家族の労働力を充てにして作業型の仕事を継続してきました。しかし、高齢化に伴い、いよいよ仕事を続けることが難しくなります。小さな企業も同様で、これまでなんとか確保できていたパート・アルバイトが集まらなくなり、事業自体が成り立たなくなります。だからと言って、事業モデルを根本から変化するための資本も時間も余裕もアイデアもありません。選択肢は縮小か撤退になります。
一方、業界の中で規模が大きい、ある程度の地位を占める企業は、人件費を増やしてでも人手を確保して事業を継続、拡大する動きを見せていました。しかしある一定レベルの人件費が高騰すると根本的に事業モデルを変える方向に舵を切り始めます。そして今はまさにその過渡期と言えると思います。
ーー 日本経済新聞 記事抜粋 ーー
ローソンは利用客が自ら精算する「セルフレジ」を導入する。4月から始め、10月の消費増税までに全1万4000店で利用できるようにする。店内にあるレジの一部で利用客が専用端末を使って商品のバーコードを読み取り、精算する。24時間営業を見直す声が加盟店から上がるなど人手不足が深刻さを増すなか、店舗運営を省力化して生産性を高める。
ーー 2019/4/1 ーー
例えば、ローソンは全店舗においてセルフレジの導入を今年の10月から開始します。加盟店の切実な問題を規模の経済によって解決するのです。セルフレジの導入と聞くと、従業員のレジ打ちが無くなるイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。セルフレジの対象は簡単な作業のもので、セキュリティや金銭管理を簡単にするために電子マネーやクレジット支払いに限定します。やや複雑な処理などはこれまで通り従業員が行うのです。
ローソンの計画では、それでも1日の平均的な業務の内役3割の仕事、時間にして5時間程度の時間を削減できると目論んでいます。機械とヒトの手を融合した取り組みが始まるのです。
付加価値型の仕事は今後、ますますヒトの教育に投資を増やす方向性に進むでしょう。オリエンタルランドのようにヒトに付随する仕事で、人間が出す付加価値を商品の一部として捉えている企業は、よりヒトの手に価値を見出すようになるでしょう。一方で、大衆向け、一般向けの広く普及する商品に対しては、標準的な仕事は機械がこなし、例外的な処理をヒトがサポートするという仕組みが定着していくでしょう。この取組によって、人で不足を解消して、働いているヒトもより楽に豊かな時間を過ごせるようになるのです。
結果的に規模が大きい組織に務めている従業員は大量の事務ワークや、繰り返しの仕事、誰でもできるけど人が不足しているから自分が行わないと行けない仕事などから開放されるようになります。本来価値を生み出しにくい、しかしそのためには必ず取り組まなければならない作業はすべて機械が行うようになります。ヒトは、機械ができない標準的な仕事のなかでも例外の取り組みや、創造的な時間に仕事を費やせるようになるのです。
ここ数年は過渡期で、考え方によっては機械に仕事を奪われると恐怖心を抱くヒトも居るでしょう。しかし、実際はまだまだ人間しか行えないことはたくさんあり、むしろその部分で活躍できる時代がやってくるのです。作業は時間で管理されるようになり、ヒトしか行えない仕事は結果や質で評価をされるようになる。そのような変化がここ数年で一気にやってくることと思います。
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