早嶋です。
今日は、朝から新規ビジネスの相談、午後に継続案件の打合せと相談、夕方にコンサル手法の相談と3社来社があり打合せ三昧でした。朝の打合せが終わって少し資料整理を終えた後、13時20分。昼食をとろうと思い外にでました。
普段時間があれば食べる選択肢はいくつもありますが、14時の来客を考えるとせいぜい20分しかありません。選択肢は限られました。そこで、近くのうどんを想起し会社を出たとたん数件電話。結局13時45分になってしまい、来客の準備等を考えると食べない選択肢を選びました。
時間に余裕があれば選択肢は複数、余裕が無ければ選択肢はゼロに近づきます。当然、何事も常に選択できる状態の方が、ものごとを優位に進めますよね。優位に進められるということは、選択肢が多いほうが価値があるとも考えられます。
成熟した昨今、多くの企業はこれまでに培って来た既存のビジネスモデルで収益を上げてきましたが、そろそろ限界を感じてきています。そこで当然のように新規のビジネスを開発しています。例えば、ある企業は世の中に公表していない画期的なビジネスモデルのアイデアを持っていました。
もし、そのビジネスモデルを実用することができたら180億の利益を生み、失敗だと10億の損失を生むことを予測しています。但し、それを実現するためには合計100億の投資が必要で、初期投資が10億、1年後以降に90億の追加投資が必要だと予測しています。もちろん100億投資しても確実に成功するとは限りません。新規チームは成功と失敗の確率を五分五分と見ています。因みに、このビジネスにおいて、競合は1年後に参入します。
さて、みなさんはこのビジネス案件に投資しますか?
・・・・・・・・
期待値を普通に計算すると△15億になります(※1、※2)。期待値がマイナスですから投資をしないという意思決定は合理的ですよね。しかし、次のように考えるとどうでしょう。最初の投資を10億して、1年間様子を見ます。そして1年後の進捗や競合の動きを見て残りの90億の追加投資をするか否かを判断するのです。もし、1年後のリスクが大きければ90億の追加投資を中止します。この場合、1年後の投資の期待値は40億(※3)です。つまり、意思決定を後にずらすことでチャンスを見出すことができます。
いわゆるリアルオプションの発想で、10億の初期投資は1年後に180億円の収益を生み出すための選択権の購入費用と考えることができます。不確実性が高い市場の場合、現時点で意思決定を行うのではなく、回答を先延ばしにして、選択件を購入するにとどめて置けば、最小の損出で最大の利益を手にする権利を得ることができるということです。
2007年以降、テクノロジーの進化が急に加速してビジネスのライフサイクルがどんどん短くなっています。そして投資規模のグローバル・ビジネスの影響で大きくなっています。そのような中で上記のような選択権を持つという発想、つまりリアルオプションの発想は非常に有効なのです。
事業実践塾では、上記のような概念をもっと実務寄りにして議論し、既存のビジネスと新規のビジネスの考え方を分けて考えます。なんか興味があるぞ!という方は、次回の説明会に是非参加ください。
※1 (180億−100億)×50% + (−10億−100億)×50%=−15億
※2 話を単純化するために時間の価値を考慮しない
※3 (180億−90億)×50% + (−10億)×50% =40億
2017年4月 のアーカイブ
ランチの選択とリアルオプション
思いつきと渋滞
早嶋です。
上司から、「この資料を整理してまとめといて」と。部下は、思いつくままこの資料をこの手法で整理しようとやる気満々で工数をかけて3日後提出する。上司から、「よくできているね、でも社内会議用なのでこれだけで良かったのに」と、一言。なんだか虚しさを感じる。
誰にでも、似たような経験をしたことがあると思います。我々は何かを指示されたり、考える際に先ずは思いつくという習性があると思います。そして、それが思いつきがどうかを意識すること無く、無意識に掘り下げて、そして行動に移しています。
上記の場合、上司の指示に対して、資料の完成イメージの一部や大枠を思いつき、無意識に掘り下げました。そして実際に作業をしながら、更に、そのイメージを基に資料を整理していきます。しかし、これは非常に効率が悪いですよね。何故ならば、その思いつきが当たっていることは、この場合上司の期待と一致している可能性は、極めて少ないからです。
では、どのような打ち手があるでしょうか。実際は案外と単純で簡単です。相手の目的や相手のゴールイメージを共有すれば良いのです。もし聞きにくい上司だったら、「この資料の目的はこれこれで、こんな整理の仕方で良いですか?」と。或いは、一度指示を受けて5分程度で、目的と大枠の完成イメージを整理して上司に確認すれば、その時点で上司の目的やゴールを確認することができます。後は、提出期限とにらめっこして計画通り進めると良いのです。
何かに対して思いつきで進めていると意識する。そのために常に目的を考える。作業や行動を行う場合は、どの程度行う必要があるか?を常に把握して、その分量の行動や作成をすることで無駄を排除できる可能性が高まります。
来週はGW。恒例の渋滞予測が発表されています。トンネルの入口やちょっとしたカーブや上り坂。渋滞は自然に発生します。運転手は、そのような地形の変更に対して無意識に対応します。車のスピードが少しだけ遅れると、後続車の反応の連鎖がはじまります。車間が詰まっていれば次々とブレーキの連鎖が発生します。結果、10台くらい後の車は完全に停止するまで速度が落ちます。渋滞の数珠が長くなっていくのです。
渋滞を極力発生させないために、車間をつめるのではなく、車間をあけることが重要と言われています。40メートル前後が目安となり、上記のような現象に対してのブレーキの連鎖が発生し易くなるそうです。車間は事故だけでなく、渋滞を緩和にもつながるのです。
しかし、上司の指示に思いつきで反応するのと同じ。なんとなく車間をつめたほうが、少しでも早く進むと思いがち。結局は近視眼的になり効率を悪くしているのです。
まぁ、当たり前過ぎて、そうか。と流す程度のことですが、そのちょっとした意識を徹底して目的を考える人とそうでない人では、おそらく生産性は全く異なるのだろうと思います。
組織全体の活性化の一つのやり方:ストレスチェックを活用する
安藤です!
メンタルヘルス対策の1次予防として、ストレスチェックが義務化されました。特に集団チェックは職場でのコミュニケーション、職場風土などの問題が明確にでてきます。
長時間労働には、職場風土の問題は大きく関わっています。ワーカホリズム(仕事中毒とか仕事依存)は、仕事にたくさんのエネルギーを注いでいますが、その動機づけは大きく違います。ワーカホリックな人たちは、仕事をしないいと不安で罪悪感やストレスを感じ、そのことを打ち消すのが目的となって、仕事をする傾向があります。その傾向のある方は、ストレスも大で心身症ほかなにかしらの症状がでてきます。その反面、仕事を楽しんでエネルギーを注いでいる方もいます。
バーンアウトという言葉をお聞きになったことがございますか?
燃え尽き症候群のことです。仕事は嫌だと思い、抑うつ的な状態になる可能性が高くなります。『自分がやらなければならない仕事を自分なりにやりがいのある仕事に変えていく』視点が最近研究されています。
従来の一次予防対策のセルフケアは、自分のストレスにできるだけ早く気づいてそのストレスの対処能力アップさせるということが大きな目的です。そのほか、セルフケアーには、仕事を自分なりに楽しんで、やりがいを見つけるジョブ・クラフティングが最近注目されています。
ジョブ・クラフティングとは、「個々人が仕事や人間関係の境界に関して行う物理的・心理劇・認知的な変化のこと」です。
健康で活き活き働くことは、個人の活性化と組織の活性化に関連していきます。
廃炉の方向性を明確にしなければいけないと思う
早嶋です。
原子力委員会が5基の原子炉の廃炉を許可しました。一連の震災後定めた新基準のもと今回が初めての認定です。同委員会の未通してでは今後、毎年1、2基の程度で廃炉の決定がでるといいます。
新基準では、
◯原子力の運転期間は40年
◯安全審査基準をクリアできれば、1回に限り20年年長可
という内容です。
現在、35年以上の選手が国内に7基、内3期は年長が認められています。廃炉に対しての方向性は、放射性物質による汚染が少ない設備や部品は、除染を施し解体して再利用。高濃度の汚染物質の取扱は具体的な方法や処分地は未定のまま。
いずれにせよ廃炉は数年で終わる作業ではなく、1基につき20から30年くらいのスパンが必要になります。廃炉に対しては、日本国内で技術を集約研究して取り組む。その経験や知見を今後の原子力の安全性に活用するとともに、世界中の廃炉に対してのノウハウを提供する。
そう考えると、1つの企業が行うべき仕事ではないと思います。国、自治体、電力会社、メーカーがバラバラに集まって行うのではなく、1つの組織の基、携わる社員の長期教育を据えたところから最低でも30年程度のロングスパンで考えて取り組む話になるからです。
因みに福島第一原子力発電所の事故では、当初の想定額を大幅に上回る費用が計上されています。廃炉事業で数十年スパンの実績がある外国企業も手を上げましたが、現状の仕組みでは原発関連施設の大半を設計建設した国内企業が請け負うため透明な競争がされていないという面も指摘されていました。
日本はこれまで商業用の原子力施設を廃炉にした経験が無いため、進め方自体もかなり曖昧になっています。国内外のノウハウを取り入れながら真剣に考えていかなければならないのに、なんとなくこの扱いもフワフワしているようにしか見て取れません。
経営人材の不足
早嶋です。
2007年にスマートデバイスが世の中に出て、全ての仕組みをスマフォセントリックにすることで、大小の資本のギャップが埋まり、国内や何処かの地域で成功したらそのモデルを一気に他の地域、極端な場合は全世界で展開できるビジネスモデルが出現してきました。
少数精鋭が多くの意思決定を行い、単純な仕組みはシステムやAIが行う。細かなデータ取得は人に変ってIoTによって行われ、煩雑な意思決定はビックデータによってはやりAIが補佐する。
というようなシナリオになれば、世の中人手がいらなくなる。という予測もありましたが、実際の世界はそんなに簡単にシステム化や機会化に進むこと無く、やはり人が行わなければならない仕事は一定量必要です。
一方で、少子高齢化が急速に進み、効率化を実現すべく、作業の標準化や機械化をすすめていますが、企業の投資が追いついていません。特にサービス産業や建設業や製造業の現場と言われる領域では顕著です。加えて、意思決定や重要な案件のマネジメントを担う人材も不足しています。
経済産業省が企業の経営人材育成の状況についてレポートをまとめています。サンプル数は102社ですが、重要な予測を示唆する内容です。将来の経営の担い手やマネジメント人材が不足するという懸念を示しているのです。
大企業を中心に次世代リーダー育成は活性ですが、選抜しても限られたメンバしかいなく、実際にトレーニングを積んでも然るべき人材が不足している企業が目立ちます。上場企業4,000社の多くは将来の経営人材を意識して30代後半から50代前半に対して経営者のトレーニングを繰り返し行なっていますが、今回のレポートでは、その人材に対しても不足している。との企業の傾向が見て取れます。
本日の日経にも同調査についての記事がありました。ーー日経抜粋ーーー
調査によると、幹部候補の社員にあえて厳しい課題に取り組むような人事配置をする企業は56%に達した。育成責任者から一定期間後に助言や評価を伝えるのは3割程度にとどまり、候補の社員との意思疎通に課題が残った。
企業が経営人材の育成過程で重視する経験は「既存事業部門の責任者」が65%、「海外関連会社」が47%だったのに対して、業界団体や他の民間企業など社外への出向は10%にとどまった。
ーーー抜粋終了ーーー
上記を読むと、そうは言っても本格的にトレーニングを行っている企業は全体の3割以下であることがわかります。また、経営の育成においても既存事業の責任者クラスを意識している限り、成熟したビジネスサイクルではそもそも次のビジネスを育てていかなければ、根本的な解決にはならないのではと疑問を持ちます。
いずれにせよ、現場に加えて、マネジメント層に対しての人材不足から、経営者のトレーニングや彼ら彼女らに対しての助言を生業とする仕事は今後も一定以上のニーズはあると考えます。
季節のご挨拶
安藤です!
季節のごあいさつ 初夏
みなさま、新年度がスタートしてはや一か月が過ぎ、もうゴールデンウィークも目の前ですが、年度前に描いた通りに進んでいますでしょうか。先日、久山町から山に入った処に食事に行きました、新緑が目に鮮やかで川の水も澄んで魚が泳ぎ、のどかな風景でした。
道のわきには八重桜の濃いピンクに混じって、アヤメやフジ、それにムラサキツユクサの紫が目に付き始め、季節が春から初夏に変わりつつあることを教えます。
先ごろ米国タイム社が「世界で最も影響力のある100人」2017年度版を発表しましたが、なんと日本人でただ一人選ばれたのは東京都知事の先駆者部門の小池百合子さんでした。また同誌は小池都知事を「世界の女性の手本」と表現し、高く評価していました。
私は永年に亘って女性の活躍推進に取り組んできました、それだけに今回小池都知事がこのように選ばれたことは、同じ日本人女性として心から嬉しく、誇りに思います。
目を転じて国内では必ずしも同じように評価されてはいないと感じます。女性であるからと言いうだけで認めようとしない風潮はまだまだ根深いようです、私は女性活躍推進に関わる研修で、様々な企業に伺っていますが、そこでもそれを感じることがあります。
これからの日本では「誰が正しいか」ではなく、「何が正しいか」と合理的に考える事がますます重要になってくる、それが女性活躍に繋がる第一歩だと思います。
私は今年に入って今月までに東京でワーク・ライフバランスコンサルタントの養成講座を受講し、ワーク・ライフバランスコンサルタント(働き方見直し)の資格を得ました。ここで学んだことを研修内容にも活かし、更に皆様の役にたてるよう努力してまいります。
≪講座のご案内≫
テーマ:あなた自身のメンタルヘルス
5月19日(金曜日): 19時から21時
場所:福岡市中央区赤坂1-13-10赤坂有楽ビル3F
詳細はこちら → http://www.biznavi.co.jp/news/news_training/1382
Tel. 092-761-6130
安藤美智子
HP:http://www.biznavi.co.jp/
メールアドレス:michiko@biznavi.co.jp
公募型の企画を決める人選って大丈夫か
早嶋です。
大企業に勤めていた時の当時の事業部長の言葉を思い出した。忘年会の場所や新社屋の壁の色のように、誰でも意見が出来る単純なものほど発言者が多く意思決定に時間を要す。しかし事業の方向性を決める非常に重要な意思決定程、意見が少なく案外と決定するまでの時間がかからないと。
本日、弊社では久々に公募型の大きなプロジェクトでコンペに参加しました。内容は、県内の商工者に対してマーケティングの支援を行うことです。企画の目玉は、事業者と消費者が提供する商材のギャップを如何に埋め、消費者に購買されやすい商品をつくるノウハウを弊社が提供するかです。そのためのグループインタビューのノウハウ、その内容を分析するノウハウ、それらをフィードバックするノウハウ。そして、実際にテストマーケティングするノウハウを解説させて頂きました。
10分のプレゼンに対して20分の質疑応答。プレゼンを聞いている方々は県の関係者とそれぞれの専門の方々とか。極めて高度な質疑を予測していたが、プレゼンの骨子の最も重要なダイナミックな内容には一切誰も触れず。確認しなくても良いような杓子定規な質問ばかりが飛び交う。
ひょっとして、弊社のプレゼン内容が全く伝わらなかったのか?いや。対象の方々の程度を考慮して徹底的に咀嚼した内容に組み立てたので、むしろツッコミどころ満載の内容になっていたと思う。理解できないことはない。そのような資料であったし、プレゼンの練習も重ねてきた。では、それを前提に何故に本質的な議論をされなかったのか。
ひょっとして、出来レースになっている。まぁ、それは考えにくい。参加者の方々がやっぱり中身を理解できなくて、何か質問しなければならないと思っている。その可能性を否めない質疑内容だったと思う。終いには、質問をする方々同士、つまり審査委員同士で、企画の基本となる前提の確認を行い、用語の説明を行う始末。大丈夫かと思った。
正直、プレゼンする側の要求を求める以上に、プレゼンを判断する側のレベルを実務の分かる標準レベルにして頂きたい。決して高い望みはしない。基本的なプレゼンの要求事項の確認をする。商工者の商売を確認する。その上で企画内容の評価やプレゼンの質疑を行って欲しい。
建築とマーケティングの融合
早嶋です。
先日、公共の建物、特に学校や病院等の建築や構造デザインを研究している大学の先生と90分程意見交換をさせて頂きました。公共の建物は、不特定多数の方々が利用し、個々人のニーズも異なる。更に、建築のデザインや予算等を決定する意思決定者は自治体であることが多く、大いに政治力が働く領域でもあるようです。更に、研究の対象となる建築物のサンプルが多くても100程度と少なく、そこから欲しい情報を局地的に読み取る必要があるという制約条件を持っています。
研究の手法として、不特定多数の利用者の欲求を言語化する主な調査方法は、人々の行動観察に代表する手法です。該当する施設や相当する施設に研究員が座り、そこに行き交う人々の行動から様々な仮説を立てるのです。
また、最終的な予算やデザインの決定を行う場合、予めステークホルダーの思惑や意思決定権限の強さなどを分析します。初めの行動観察から導いたデザインや設計が必ずしも採用されるわけではなく、意思決定者の権限や彼ら彼女らの直感的な思いから決定に至るケースが多いからです。
更に、サンプル数が少ない制約条件に対しては、限られたサンプル数の中から目的を達成するであろう少数の建物を選び抜き、様々な仮説を立てる細密調査が基本になります。そこから研究データを取得し、対象となるデザインや図面を決定します。いわゆる少数点形・少数細密調査というわけです。
公共の建築を研究している学者さんは案外と多く、でも図面やデザインを引くことよりも、上記のような対応に対して日々仮説を立てて基礎となるデータや仮説を立てているのです。
この話を聞いて、この研究って、1)大企業のマスマーケティング、2)大企業の新規ビジネスの企画に活用できると感じました。
大企業のマスマーケティングは、基本的な属性には分けますが、かなりざっくりとしているためここのニーズを細かく分類することは難しいです。現在では様々なデータをビックデータ化して2時情報の分析から様々な仮説を立てています。しかし、そこには1次データが不足しているため、行動観察の手法から導き出される推論とビックデータの推論を組みわせることでより仮説の精度が高まるのではと考えました。
次に大企業の新規ビジネスの企画です。新しいビジネスを行う際、まだ試していないビジネスという特徴からサンプル数どころか市場が存在しません。そのような環境から代替する指標を複数ひねり出して仮説をだして小さな実験を繰り返します。この手法はまさに少数点形・少数細密調査のノウハウが使えるのではと思います。
上記仮説を試すべく、ある企業の商品開発で共同研究を行い、異業種の組み合わせで仮説通りの成果が出すことができるか実験したいと思います。
転勤は時代錯誤?
早嶋です。
リクルートワークス研究所の調査結果によると年間に転勤を言い渡される人は約40万人いるとのこと。中小企業庁の調査から、日本全体の従業者数は4013万人いることより約1%、100人に1人の確率で毎年転勤を言い渡されているということが言えます。
転勤は明らかに日本固有の文化です。過去からの終身雇用を前提に転勤命令は社員に取って絶対で断れないルールになっています。
そもそも、転勤の理由は、1)社員の調整、2)人材育成、3)マンネリ防止、4)顧客との癒着防止などがあると思います。しかし、そもそも破綻しているように感じます。現在は、ITと交通機関が普及しているので、人を1年単位で転勤させる意味が薄れていると思います。
地方での役割が必要であれば、そもそも地域採用を前提にするべきだと思います。人材育成のツールも転勤を美としていた当時よりも遥かに充実しています。そもそもマンネリ防止のために、わざわざ希望しない社員を単身でどこかに1年以上の期間で移動させること自体が時代錯誤です。顧客との癒着に対しても、怪しいのであれば該当社員を長期休暇させるだけで不正はすぐに見つかります。
独立行政法人労働政策研究研修機構の調べでは、専業主婦世帯は調査を開始した1980年代から減少しており、共働き世帯は逆に増加しています。1995年前後で共働き世帯が専業主婦世帯を逆転して、現在では共働き世帯が1129万世帯、専業主婦世帯が664万世帯です。全世帯数の62%が共働きであることを考えると、夫の仕事の都合で妻も移動するという考えは破綻していますね。もちろんそこに単身しなさいという考えも時代錯誤です。
ハードブレグジット
早嶋です。
今朝の日経に英国のメイ首相の緊急声明に関する記事がありました。
ーー日本経済新聞2017年4月19日朝刊抜粋ーー
英国のメイ首相は18日、緊急声明を発表し、下院を解散して6月8日に総選挙を実施する意向を明らかにした。メイ氏は欧州連合(EU)との離脱交渉を巡り「現政府を支持するか民意を問い、より安定した政権をつくる」と強調。EU単一市場から完全撤退するといった「強硬離脱(ハードブレグジット)」方針への支持を訴えた。
ーー抜粋終了ーー
声明では、18日の閣議で2020年予定だった総選挙を前倒しし、19日にメイ首相は承認を求めます。最大野党の労働党のコービン党首も総選挙を歓迎する考えを表明しています。おそらく議会は賛成多数で承認するでしょう。
声明では英国政府の離脱戦略を強調していましたが、いくつか疑問があります。そもそも離脱したい背景は、これ以上移民や難民を受入たくないというのが本音でしょう。欧州ではシリアやイラク、北アフリカから難民を受入れる問題があります。
英国は社会保障の手厚さから難民にとって人気です。正式な手続きを踏めれば難民と認められ、福祉手当(金銭)と無料で医療施設が利用でき、住居が与えられます。当然、難民間では英国は最高だとなり戦時国のみならず、中国からの難民も年々増加しています。
EU加盟国は難民受入を拒否できない法律があり、移民に関しても特別な理由がない限り否めません。従って、英国が移民や難民の受入を拒否、或いは制限するためにはEUの離脱が必要になるのです。
国民はEU離脱に賛成しています。理由は、このまま受入を続けていけば、国民の税負担が更に重たくなるからです。難民の衣食住の費用負担は当然税金です。財政が弱含む英国にとって自国の税金を難民や移民の受け入れ費用に充てることそのものに国民の不満が高まっているのです。これは当然理解できることです。
また、難民の受入は仕事の取り合い、治安の悪化を招くと国民は考えています。英国からすると税金も取られ、仕事も取られ、治安も悪化する。まさに、たまらないという発想なのです。
では、実際に英国がEUから離脱したらどうなるのか。メイ首相が離脱戦略を明確に持っているという点について疑問なのが、仮に離脱したらどうなるのか?というシミュレーションが明らかに不足しているという点です。
仮に離脱が決定したら最も大きな影響は、欧州の中枢マーケットとしての地位陥落です。ロンドンが金融市場から見放されます。現在、世界の3大マーケットはニューヨーク、上海、ロンドンです。この3つの市場が地理的に分散されているため24時間連続的な取引が可能です。
そしてロンドンに拠点を置いている金融機関は英国がEUに加盟しているため、他の27カ国にも個別に許認可を得ずとも自由にビジネスが行なえます。しかしEU離脱後、他のEUの国々との取引がこれまで通り自由にできなくなる可能性があります。
これは金融に関する縛りだけではありません。商業、労働法、医療、環境やエネルギー、製造物への責任体制、通信、航空法や宇宙開発、ビジネスで紛争が起きた際の取り決め、会社法、公共セクターに対しての入札、税法、ITの発展によるデータ保護の取り決め、サイバーセキュリティーに対してのルール、企業間の競争に関しての取り決め、地底財産など凡そ20,000程度のルールや決まりごとを全てオールリセットして決めなければならないのです。
離脱すると確かに、国民の税はこれまで通りで良いでしょうが、その母体となる英国の基盤自体が脆弱になることが予測されます。結果、英国がEUを離脱すると英国の信用力は低下するでしょう。信用力の低下は英国の通過であるポンドの価値下落につながります。今日現在で139円ですが2015年8月の190円台をピークにどんどん下がっています。結果、英国は他の国と取引をする時の購買力が弱くなることから英国の景気悪化につながるのです。
現在、日本企業で英国に進出している企業は900社弱あるようです。EUではドイツに次いで2位の企業数です。また、日本の対英国直接投資は1.7兆円で米国に次ぐ世界2位の金額規模です。つまりイギリスの景気悪化は我が国日本にも何らかの影響があるといえるでしょう。
英国の国民に取って、今回の状況はどちらを選んでもいばらの道で、にっちもさっちもいかないということだと思います。
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