ラクな事業は存在しない!

2022年3月8日 火曜日

早嶋です。

ラクな事業は存在しない。チャリンチャリンモデルは空想。隣の芝は青く見える。M&Aをして新規事業を買ったところで、その企業に圧倒的な経営力がなければ、買ったときが花で、後は企業価値がピークから下がるのみです。

過去の事業モデルで今収益を上げている企業は自分達で努力しても先が見えないということで、M&Aを含む資本政策を打ち出す場合があります。そして経営企画にM&Aの検討を指示するなどで、トップが動かずに部下任せの構図です。M&Aは買い手が自分たちで案件を探して、いきなり資本交渉をするのではなく、業務提携等で互いの実力や関係性を構築して徐々にマイノリティ出資をしながら資本関係を構築するセンシティブな一面もあります。

しかしはじめて取り組む企業は、そのような活動は意識もせずにブティックに相談したらなんとかなると思っています。そもそも年間に取引される件数はせいぜい4,000件です。そして企業の数は数百万。如何に案件が少ないかは数字を見れば明らかなのです。

そのため、M&Aで成功をしたいのであれば、お金にモノを言わせるのではなく知恵を使う必要があります。そして僕が最も大切だと思う部分は案件探しです。もし、ここを大手M&Aブティックに依頼した場合、もちろんM&Aそのもの、つまり企業を買収することは実現できるでしょうが、自社のそもそもの戦略の実現、引いては自社の将来の企業価値を高めることとイコールかと言えば疑問符がつくことでしょう。

M&Aのビジネスモデルは、買い手の数と良好な売り手の数に差があります。常に売り案件が不足しているのです。そこでM&Aを商売に考えるブティックは良質な案件探しが鍵になります。いい案件があれば、良い値段で売れるからです。M&Aブティックにレーマン方式で売買価格に応じた成功報酬を頂くので、不動産と同様に高く売れた方がブティックとしてもうるおいます。

そのためブティックは一生懸命に案件を探しているのです。本来M&Aなどのビジネスは資本政策で上場するなど意味が無いのですが。集めた資本を使って広告宣伝と営業マンを囲って、徹底的に案件を探すという、本来ではない活動に力をいれます。実際、本誌の読者でも度重なる有名M&Aブティックから「御社に興味のある会社がいます!」「積極的に業務資本提携を望んでいる企業がいます!」などとM&Aの宣伝がくることが多いのでは無いでしょうか。

買い手は常に、案件を求めているため、M&Aブティックは営業資金を投じても案件さえ獲得すると後でキャッシュが得られると思うのです。売り案件をグリップできたら、適当な企業を3社から4社ピックアップして、競わせます。ブティックは案件獲得に相当の費用をかけているので、アドバイザリー方式(片手)を取らず仲介方式(両手)を取りたがります。買い手からもM&Aの手数料を頂きたいのです。

世の中、欲しい人と提供したい人のバランスが崩れると、数が少ない方が強くなります。そのため案件ありきの取引は常に買い手は通常のバリューよりも高い値段で買う結果になります。そうしなければブティックから売り物件を買えないのです。

本来は、売り手が合理的な価格で買い手にオファーしたとしても、その合理的な価格は既に、マーケットが評価した価格よりも若干のプレミアムを売り手がのせています。買い手は、その金額よりも多くの価値を生み出すことができると判断した場合、交渉が成立します。そのため通常の合理的な取引だけ観察しても、買い手は買った時点では最も高い値段で買うことになるのです。

買い手はM&Aはゴールではなくスタートです。自社の戦略を埋めるために資本を投じて、時間を買うか、何らかの不足する資源を補います。それからこれまで自社で行っていた事業とマッチさせてシナジーを生みだします。そのため事前にそのシナジーを予測できそうにない買い手は、本来は高すぎて、その案件を買うべきではないのです。

ブティックの話に戻しましょう。ブティックが案件をソーシングして売り手を見つけた場合。合理的な価格に加えて、更に高いプレミアムが乗っかります。3社か4社が競うことでウィナーズカースになってしまいオークション効果で更に買い手が高い価格をつけることを知っているのです。

もちろん、それを覚悟の上で購入することは何ら問題ありません。その金額を考えても、自社で案件を探せないのであれば、合理的に金銭でバーターするのは良い選択肢です。しかし、メカニズムを知らずに後になってブティックに文句を言うのは筋違いでしょう。

もし、本当に文句があるのであれば、自社の戦略ギャップを埋めるための案件を明確にして、そのギャップを埋める候補の企業をリストアップして見てください。当たり前ですが、思った以上にそのような企業は少ないのです。本来、一緒になって事業を伸ばせる感覚があれば、そこは敵対せずに、有効的にその企業に接触して、自社の戦略はこうだ、ここが不足している。おたくの経験とノウハウが欲しい。そこで、この事業エリアで提携しないか?とも近ければ、これは通常の営業です。

そのような取り組みや発想をせずにM&Aと考えている企業は、今一度、成功している企業の取り組みを研究することをおすすめします。



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