DXって何だろう?

2022年3月7日 月曜日

◇DXって何だろう [gritの動画案内]

原田です。

Youtubeへアニメーション動画「DXって何だろう?」をアップしました。ぜひご覧ください。
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◇DXの本質的な意味

ビジネスの世界では、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が一世を風靡しています。しかし、このDXという言葉は、多くの人に本質的な意味が理解がされていないと思います。何しろビジネス誌上には、「営業DX」、「財務DX」、「物流DX」、「人事DX」などなど、様々なDXがあります。とある記事では、ただの「ペーパーレス化」が、「DX化」という言葉になっていました。DXという言葉はかなり混乱状態だと思います。

確かにDXという言葉は多様な視点で説明できます。このブログではDXの概念を企業経営の戦略的視点から説明します。それが本来の定義だと思います。

DXの本質的な意味は、企業がデジタル技術の進展に伴う様々な環境変化に対応するため、(図1)の通り、その全体的な構造を文字通り【旧来型】から【DX型】へ「トランスフォーム(変革)」することです。この本質的な意味を経済産業省の定義に基づき説明します。

(図1)旧来型からDX型へのトランスフォーム(変革)



◇経済産業省の定義

経済産業省の定義は下記の通りです。文章だけ読むのは難しいので、まずはざっと目をお通しください。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

この記事では上記の定義を以下の2つのパーツに分けて説明します。
①デジタル技術と製品の本質の変化
②バリューチェーンの変革

また、話をわかりやすくするために、架空のスピーカーメーカーの事例を用います。この架空事例企業をもとに、【旧来型】から【DX型】へのトランスフォームを説明します。
旧来型のスピーカーメーカーにとって、そのビジネスは(図2)の通りです。顧客のニーズは性能の良いスピーカーが欲しいという単純なものでした。より良い製品を作り、よりたくさん販売するというバリューチェーンを構築していました。企業は製品の対価として代金受けとる売り切り型のビジネスモデルでした。こうした旧来型のビジネスがどう変革するのか。①、②の中身を説明します。以上、最後までご一読ください。

(図2)スピーカーメーカー:旧来型のビジネス



◇①デジタル技術と製品の本質の変化

現代はほとんどの人がスマートフォンを所有する情報化社会です。製品の多くも(図2)の通りプログラムを内蔵し、スマホと連動して動くようになりました。

(図3)製品の本質の変化と顧客ニーズ


スピーカーもスマホと連動し、スマホで再生する音楽をスピーカにつなげて楽しめるようになりました。そうすると顧客のニーズも変わります。ここでは、顧客ニーズが「スマホで再生する音楽を自動で自分好みにアレンジするスピーカーにつなげて楽しみたい」というニーズに変わったとします。

そして、現在のメガテクノロジーはクラウド、AI、5Gのトライアングルと、ブロックチェーンです。このテクノロジーの進化と普及は、(図4の通り)ビジネスへ大きな影響を与えました。

(図4)メガテクノロジーの関わり

スピーカーが常時ネットワークに接続し、そのデータをクラウドへ送信します。クラウドはこのデータをリアルタイムで大量に処理できます。更にはAIで高度なデータ解析を行うことができます。

こうしたデータをもとに企業は、セービスを設計し、運用します。結果としてスマホのアプリや製品内蔵のプログラムを通じて、顧客へ最適なサービスが提供できるようになります。

このようにデジタル技術の進化は、製品の本質を変えていきます。ハードとソフトが一体化し、トータルで顧客に対してソリューションを提供するようになります。



◇②バリューチェーンの変革

企業は、企業は単なる製品の販売でなく、ソリューションの提供が必要になります。そのため、そのビジネスモデルを、従来の製品の売り切り型からサブスクリプション型をメインとする形へ変えていきます。

あわせてバリューチェーン全体の変革も必要になります。自社の業務の内容やプロセスを見直す必要があります。当然、人材育成、研究開発、経営資源の調達なども変更が必要です。更には自社だけでなく、製品の製造を委託したり、アプリの運用を委託したりといった外部企業も含めたバリューチェーン全体の見直しが必要です。場合によっては、人材のヘッドハンティングや、企業のM&Aも必要になります。文化や風土の刷新も必要になります。

(図5)バリューチェーン全体の変革


こうして企業は顧客へ独自性の高い価値を提供できるようになります。自社が保有するデータに基づくモノなので他社が模倣しにくく、そのコストも低いです。結果として競争優位を確保できます。このようにデータ、デジタル技術を使って、顧客ニーズへ対応し、製品のあり方を変えると共に、自社のビジネスモデル、全体的なバリューチェーンを変えることで競争優位を確保することがDXです。


◇まとめ

最後にDXの定義を振り返ります。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」です。

ここに書いてある定義の通りですが、この文章を読んだだけでDXの本質を理解できる人は少ないと思います。実際のビジネスの現場でもDX化という掛け声はかかりますが、具体的にどういうことなのかきちんと説明できる人は少ないです。DXのように極めて抽象的な概念はその内容が明確に共有されていないと、その実現はかなり難しいです。複雑な時代だからこそ、現状とビジョンをわかりやすく描き、メンバーで共有することが重要です。



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