後継者問題は起こるべくして起こる

2021年8月2日 月曜日

早嶋です。

経営者と従業員という2つのククリに分けて後継者問題を考えます。かなり限定した領域を絞ったお話です。

経営者は全ての事象を自分毎として受け入れる人達です。何かあれば率先して動き、自分で判断をし、行動に責任を持ちます。そして従業員はその逆で、全てを組織のせいにして他人事として捉え、できればサボりたい、帰りたい、遊びたいです。自分から夢中に成ることはありません。

中小零細企業の典型でFC事業の後継者問題で、次のような構図をたまにみかけます。例えばガソリンスタンドです。店主は70代以上の高齢で、息子はいなく、代わりに娘夫婦がスタンドで事業を手伝っています。将来的に後継者は婿になるのですが、これが全くやる気なし。本人に話を聞くと、娘さんとたまたま結婚して、家業を手伝ってほしいとのことで、会社を辞めてガソリンスタンドの仕事をはじめています。当時こそはやるきまんまんで色々と研究をして経営者(義理の父)に提言するも100%拒否され続けてきました。今はそこそこ収入はあるので、なんとなく過ごしている状況です。しかし気がつけば婿殿も40代から50代で、典型的なFC事業であるガソリンスタンドの商売は右肩さがり。しかし、自分から動くこともなく、経営者である義理の父も継承するタイミングが分からずにズルズルです。

上記の事例の悪は経営者でしょうね。自分が10年年取ったときのことを創造出来なかったので、婿殿の提言をアタマから否定した結果、the従業員婿殿に成り果てたのですから。

別の事例もあります。そこそこ安定した企業でやはり息子はいなく、娘さんが会社を継げばよいのですが、その能力はなく婿殿にフォーカスがいきます。ただ、婿殿もあまり経営に興味がなく、なんとなく経営陣という居心地の良いテーブルに座っています。経営者である父親は娘の機嫌がよいので特に問題視していませんでしたが、急な病が襲いかかります。そこで娘さんが経営を引き継ごうとしますが10年以上ぽけーっとしていましたので何らわかりません。同様に婿殿もです。

経営者が優秀でも自分が行ってきた取組を言語化して標準化している事例は皆無です。特に中小企業においては。自分の企業の状況も分からないのでM&Aで売却する際にも条件をつけることができない。あるいは、そのようなナレッジや視点も無いのでそもそもどうにもならないという状況です。

この事例の悪は経営者と従業員の両方になりそうですが、やはり私は経営者だと思います。やはり何かあったときの想像力が不足していて準備が出来ていないのですから責任は経営者でしょうね。

これが息子であれば、当然に息子は小さい頃から一定の意識が父の経営に向いています。一度は親元を離れてサラリーマンか別事業を始めますが、そこそこの企業規模であればしばらく社会経験を積んで家業を継ぎ切り盛りをはじめます。息子の場合は経営者というニュアンスが強く、婿の場合は従業員というニュアンスで仕事を始めているのです。

もし、息子さんがいなくて、娘さんになんとなく将来の経営を任せようと思っている。でも直接そのような話を過去10年以上行っていない場合は、明日は我が身です。是非、経緯状況を理解できるパートナーや相談相手を見つけて、自社の出口対策を早めに検討することをお勧めます。清算、親族内承継、従業員にM&A(バイアウト)、社外にM&Aの4つしか選択肢は無いのです。



コメントをどうぞ

CAPTCHA