鍵があるところで探して見よう!

2021年2月9日 火曜日

早嶋です。

街灯の下で鍵を探す男の話です。とある公園、夜中、街灯の下。男が何かを探しています。通りかかりの人が訪ねます。何をしているのか?と。男、鍵を探していると。気の毒に思い、一緒に探すことに。そしてしばらくして、どこらへんでなくしたの?と。すると、男は平然と暗いところで鍵をなくしたのだが暗くて見えないから街灯の下で探している。と話したのでした。

有名な寓話ですが、企業の中でも散見されます。とあるコールセンタ。本来は顧客からの問合せをベースに短期的にはクレームに対応し、コンプレインに感情対応する。長期的には、同じようなことが起きないように開発にフィードバックして商品そのものの仕様を見直す等に活用する。というのがセオリーでしょうが、コールセンター業務のマネジメントは数字で管理される余り、現場のマネジメントはおかしなKPIを設定します。電話を受けて切るまでの時間を短くすることでたくさんの数をさばけるからということで平均処理時間などがまさにそうです。明るいところで鍵を探す男と同じ発想ですが、盲目に仕事をしているとわからなくなるのでしょう。

若手社員や中堅社員の提言をブラッシュアップするワークショップを弊社では良く行います。対象とする企業はグループ会社で社会に大きなインパクトを与える企業です。若手や中堅社員は入社して7年から10年程度のまさに油がのった社員でバリバリ活躍する年代です。

が、提案が甘いのです。理由はいくつかありますが、1つは、与えられたバリューチェーンの一部を一生懸命にこなした結果の弊害です。「自分の仕事の上流工程や下流工程で何が起きているのか?」などを考えていないのです。常にマネジメントや先輩の具体的かつ的確な指示をこなすことを仕事と思い頑張ってきたので悪意は当然ありません。しかし次のステップにいくための大きな壁が視野を広げることなのです。ましてや企業や業界や業種、世の中がどのような状況になっているのかを自分の脳ミソを使って自分で考えていないため、「今の仕事に対しての課題や属している部門の課題、しいては企業や業界の課題とは?」と突っついても何もでてきません。すかすかです。普段の仕事をこなすことに精一杯で、数年でこなれて思考停止に陥っています。はじめから街灯の下で仕事を行い、暗い環境があることを知ってか知らまいか、井のなかの蛙よりも更に細分化したミクロの世界で生きていことに気づく必要があるのです。

2つ目は、なんとなく全てをよそ事、他人事として捉えている点です。たいてい提案が出来ない人は、「提案する、自分で考える前から何をしたら良いのか?」と答えを探します。当然、こちらとしては「知らんがな。」です。でも同様の経験が私にもあるのでよく理解できます。言われた内容をこなすことで評価されてきた人生の中で急に、「自由にしたいこと、新しいこと、何かの改善をして!」と言われても手が動きませんでした。私の場合は新入社員で配属された基礎研究所で、「テーマは自分で見つけて半年後に報告してね。」という洗礼を受けて脳死しています。ただその半年の間、はじめは意味がわかりませんでしたが徐々に自分でテーマを持って、「組織にインパクトを出すためにはどうすると良いのか?」と考えるようになりました。その中で最も役に立った質問は「自分だったらどうするか?」です。他の先輩研究者の研究を過去10年さかのぼり、その結果、今の事業や将来の事業にどのようなインパクトを出すのかを徹底的に洗い出しました。私が企業の立ち位置で、私が研究所のトップだったらどのような研究に最も予算を出したいかを考えるためでした。この経験は研究という分野ではNGでしたが、かっこ相手の立場になるとはすなわち自分ごととして捉えることだ。」と気づけたことでおおきな自分の糧になりました。もちろん研究者としては当時の仲間や上司や先輩のお荷物だったと思いましたが。。

3つ目は、大きな組織にいると営業やカスタマーサービスに属していても実際の顧客の使用状況や使徒を案外としらないと言うことです。マーケティングの顧客の発想はエンドユーザーではなく、自分の仕事を提供しているその人やその組織も対象です。つまり仕事の下流工程です。ここを顧客と捉え、顧客のニーズや分析をしなければ、自分の仕事の価値があるのか無いのかがわかりません。提供相手が価値を感じてくれれば自分の仕事の対価を得られるようになります。商売の基本的な発想はスタッフ部門でも営業でも同じです。自分の仕事が下流に渡った後に、どのように活用されているのかを理解することで、その方々の価値をさらに高めるアイデアが沸いてくるのです。そして提案する際の大きな過ちの一つに、自分にとって都合の良い提案になっていることが多いことも散見できます。提案は、あくまで相手に価値があり、相手のペインを解決し、更に提案者にとってもメリットが有る時に成立すると私は思います。そのために、自分の提案相手やその方々や組織の仕事を理解することがスタートで継続することが大切なのです。

4つ目は、インパクトです。提案は何でも良いのでやってね。ということを真に受けてはいけません。通常の企業であれば、やはりスケベ根性があります。そう、その提案によってどの程度のリターンがその部署や事業や会社にもたらされるかを期待しているのです。マーケティングでいう市場規模の推定が重要なのです。「困っている相手が、世の中一人だけなのか?」「同じようなことを思う方々が組織にどの程度いるのか?」「同じような現象が同業の組織の中でどの程度いるのか?」この発想を持つことが重要です。提案を掘り下げる前に、その提案を行うか、否かを判断できるからです。もちろん、規模が小さいからと言って、その時点では仮説に過ぎないのでリジェクトするのは早いと思うかも知れません。しかし、「提案を詰めた段階でどの程度の人が受け入れるか?」と考えて、意外としょぼいよね。とならないように予め考えておくという趣旨の話です。

そして最も驚くのが提案内容はいくつかあるのですが、最終的には時間的に楽なもの、できそうなものを選択する症候群です。まさに、鍵は暗いとこにあるのを知っていて、明るいところで探し始める発想に陥ってしまうのです。



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