会社の評価に関しての考え

2015年8月25日 火曜日

会社の評価に対して、以下のような質問をよく頂く。

「企業の買収金額はCFの8年分と言われていますが、基本的なことをお尋ねして恥ずかしいのですが、この場合のCFは営業CFと考えてよいのでしょうか?」
「企業の買収相場は月の利益の60倍くらいというのは合っているのでしょうか?」
「一般論として、利益7年分というのはそれなりの規模のM&Aの目処になっている?」

どれも詳細な内容は異なりますが、企業の価値をどのようにするか?を考える上では似たような質問として捉えることができます。

1)買収金額は利益の◯年分
この場合の考え方の前提として、ある程度、企業規模が大きいことの想定が前提になります。基本的に、買収金額に決まりはありません
。相対の取引ですので、買手と売手が双方なっとくした価格が正解です。が、互いが交渉をするなど、何かしら基準値が無いと経済活動はうまく回らないので様々な企業価値評価の方法があります。上記の質問もその主の悩みから来ているものですね。

例えば、EBITDAという指標があります。Earnings Before Interest, Tax, Depreciation and Amortizationです。イービットディーエー、イービットダーと呼ばれます。利払い前・税引前・償却前利益です。

大企業は基本はクロスボーダーもありです、税金や金利水準や償却方法は国によって様々です。そのため、多額の設備投資や買収を繰り返す企業は利益水準が小さくなります。そのような企業は、投資が少ない企業と比較しにくいです。そこで国際的な収益力の比較をするときにEBITDAを考えます。

 EBITDA=税引前利益+減価償却費+支払利息+税金

簡便に考えると、キャッシュフローに支払い利息と税金を加えている、つまり営業利益+減価償却費(ここには営業権の償却や引き当て金なども含む)をキャッシュフローとして考えることが多いようです。

証券市場で国際的企業の投資尺として使う場合は、EBITDAレシオ(倍率)を良くみます。

 EBITDAレシオ(倍率)=EV÷EBITDA

ここで言うEVは企業価値で、EV=時価総額+純負債=時価総額+有利子負債-(現預金+短期保有の有価証券)などと計算します。例えば、EBITDA倍率8倍なら買収額を本業のキャッシュフローの8年で回収できる!という意味でつかいます。

今回の質問の数字、60ヶ月とか、7年分とか、8年分はこの数字から来ています。もっと簡単に考えると、営業利益+償却費をEBITDAとして、8年を基準に、企業の価値=EBITDA×8年、として当たりを付けることも経験的に行えるようになります。まさに、買収金額はCFの8年分と言われていますが、という言われに相当する概念ですね。

ざっくりいえば、乱暴さは残るでしょうが、大手企業の場合、成長企業は10倍、一般企業で5倍といった倍率が良く使われます。


2)別の考え方
投資家からすると、企業を買うという事は、その投資によっていくら儲かが重要なテーマになります。例えば、毎年100円の利益が出る会社があるとします。この企業の価値が300円だったら3年で回収できるという発想です。100円の価値を生むための資産はいくら必要かとかんがえると、企業は基本的にゴーイングコンサーンですので、永続的にお金を生み出す仕組みと考えます。そのための資本を投資しながら結局100円の価値が出ていると考えるのが、EBITDA×投資回収年で企業評価を行う考え方です。

3)因みに中小企業の場合
中小企業の場合、株式譲渡であれば、その会社がお金を生み出す資産にも価値があると考えます。性質上、大企業よりも倒産リスクは高く、いつ無くなるか分からない、ということが念頭にあるかもしれません。そのため、実質経常利益×n年+純資産価値で価格を決める場合が殆どです。

実施経常利益とは、例えば社長が過度に役員報酬を得ている場合は、買い手の企業が払っている報酬レベルに置き換えて、利益を調整したものです。節税対策のほとんどが大企業から見るとガバナンスが取れていない扱いになりますから、これらの金額はほぼ利益換算とみなします。純資産価値は、BSの資産の部分を時価に直し、負債の額を引いたモノです。通常は土地の値段や不動産などの簿価は現在からすると小さい数字が記述されています。これはプラスの要因に評価します。一方で在庫や回収できない債権などはマイナスの要因として評価します。このように実際の値に近い資産価値を計算します。

つまり、資産の価値とその企業が過去数年来の活動の実績を基にのれんの価値を判定しようという考えです。ちなみにn年の部分ですが、3年~5年で考える場合が多いです。しかし最近は3年。ただし飲食関連は命が短くうまみが少ないのか2年で考える場合が多いです。

ここにも、何年分に正解があるものではなく、その時折や社会状況、経済状況に応じて異なってきます。景気が良い時は利益を沢山出しやすいので価値が高まり、n年の部分は長くなると考えるとよいと思います。




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