リバースイノベーション

2012年10月25日 木曜日

早嶋です。

リバースイノベーションとは、途上国で最初に生まれたイノベーションを先進国に逆流させるというコンセプトです。従来の流れと全く逆なのでリバース。この概念は、昨今大きな破壊力を生んでいます。

日本の経済が成熟している。これは米国、ヨーロッパも同様です。このような状況の中、企業が更に利益を求めると、必然と海外の市場に目が行きます。互いに先進国同士が市場を進出しても、そこには激しい戦いがある。そこで、どの国の企業にとっても途上国は魅力に感じる。世の中の前提として、このようなことがあります。加えて途上国の経済は破竹の勢いで成長しています。誰もがビジネスチャンスを感じるのはごく当たり前の発想です。

途上国の可能性はIMF(国債通貨基金)の経済指標を見ると明らかです。直近の指標で、人口は中国が1位、インドが2位。世界の人口の85%の58億人が貧困国で生活しています。GDP(国内総生産)は中国が2位、インドが4位。貧困国のGDPは世界のGDPの約半分をの35兆ドルです。また、貧困国の経済成長率の平均は軒並みここ数年連続で富裕国のそれを常に上回っています。多くの専門家の予測では、今後数十年で、世界のGDP成長の2/3を貧困国が占めると予測しています。

リバースイノベーションを成功させるためには、大きな落とし穴を解消することが必要です。それは、新興国市場で勝つためには、単に事業を地理的に展開するだけではいけないということです。途上国のニーズは明らかに富裕国と異なります。従って、そのニーズがまずはどれだけ異なるのか?を明らかにして、そのニーズにフィットしたゼロベースのビジネスを展開する必要があります。

これは一人あたりのGDPを見ると明らかです。先ほど出た中国、インドは直近の数字で94位。この位置は、ボスニアヘルツェゴビナとエルサルバドルの間です。インドは128位でカーボヴェルデとベトナムの間です。そう、その違いとは消費する一人あたりのお財布事情です。この違いが天と地の差を生み出しています。

富裕国では毎日大金を費やす人が少数いますが、貧困国は毎日少額のを費やす人が大勢いるということです。つまり国ごとの総額でみれば同じなのですが、貧困国は、マイクロ消費者がいるメガ市場なのです。従ってビジネスで解決する課題が異なってきます。

1000円使う人が一人いる場合と、100円使う人が10人いる場合。ウォンツやニーズは全く異なるでしょう。従って、富裕国の製品やサービスをそのまま貧困国に持っていっても大きな効果を得ることが出来ないのです。多くの先進国企業が高度成長を続ける貧困国で成功を目指すのであれば、売上、流通、生産を増やす以上に、現地にフィットしたイノベーションが求められる。それがリバースイノベーションなのです。

参照:リバースイノベーション



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