PTS

2006年7月17日 月曜日

早嶋です。



カブドットコム証券(カブコム)は、金融庁からPTSの運営業務の許可を取得しました。この認可は国内ではじめてです。



PTSとは、私設取引システム(Proprietary Trading System)の略称で、証券取引所ではなく、証券会社が開設したコンピューター・ネットワーク上の市場での取引のことです。



日本版金融ビッグバンの98年12月の法令改正により、市場間競争おいて、投資家の利便性を向上する目的で、「取引所集中義務の撤廃」等の規制緩和が実施されました。これにより、証券会社による取引所外取引を電子的に行う「私設取引システム(PTS)」業務が認められたのです。(ちなみに、金融先進国である米国では、PTSは1960年代に立ち上がっています。)



04年には、金融庁で個人投資家の証券市場への参加を促す証券市場の構造改革が推進されました。取引上と同等のオークションによる価格決定方式を認める法律改正案が国会に提出、成立されます。05年4月にこの法改正が施行され、PTSのインフラが整備されたのです。



PTS第1号のカブコムの売買開始は8月以降で、取引時間を19時30分から23時とするようです。現時点で確定してる対象銘柄は未定ですが、カブコムの取り扱い銘柄上位300銘柄が対象となるでしょう。東証以外でも上位銘柄であれば、取り扱い銘柄の対象と考え、注文や約定、決算だどは通常の取引と行え、株価はリアルタイム配信を行います。



これに対して、ネット専業証券のSBIイー・トレード証券、楽天証券、SBI証券(イー・トレードと同じSBIホールディングスグループ)の3社は、PTSの運営会社を共同で設立し、夜間取引サービスの事業化準備を進める発表をしています。3社は、それぞれPTSの認可を金融庁に申請する方針で、認可が下りればカブコムの対抗勢力となります。



カブコムにとって、イートレードと楽天証券の連合は脅威です。2社をあわせての既存取引所の個人投資家の売買代金は49%(イー・トレード33%、楽天15.5%)と圧倒的なシェアを持つからです。今回の3社共同のPTSは、夜間取引のマジョリティーを握れる可能性が高いです。



電子証券会社がPTSに参入する背景に東証のシステムがあります。世界標準の取引所は、取引時間が9時から17時が当たり前なのに対して、いまだに午後3時まで。しかも、きっちり、お昼休みを取っています。09年に東証のシステムが一新されますが、これまた世界標準で見ると2世代も前のシステム構成です。このようなシステムに対して、電子証券会社は、自前のPTSを開始する方向に進んだのでしょう。このまま、PTSの機能が上手く機能していけば、東証の機能は意味が無くなるものになるかも知れませんね。



—ただ今、ブログマーケティング実験中。—



実験の詳細は、『ブログマーケティング実験』『ブログマーケティング結果報告』をご覧ください。



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