航空業界の多様と一様

2009年10月9日 金曜日

airplane



航空会社のサービスグレードは、ファーストクラスか、ビジネスクラスか、エコノミークラスに分かれています。そして、近年その分け方が更に細分化されていますが、そろそろ見直す必要はないでしょうか?



殆どの航空会社が二兎を追っています、というか沢山の兎を追っています。実際多くの航空会社は様々なグレードのサービスを提供しています。例えば良く利用しているJALは、国内線では普通席、クラスJ、ファーストクラスがあります。そして国際線では、エコノミークラス、プレミアムエコノミークラス、エグゼクティブクラス、ファーストクラスがあります。



クラスJは普通運賃に1000円を追加するだけで広めのシート、茶菓が付いてきます。1000円ぽっきりでちょいと良いシートに乗れるというのは一般客には受けており、空席待ちになるほどの人気ぶりです。しかし一方では、JALから政治家や芸能人や著名人や経営者や会社役員が減ったというのも事実です。このような顧客は間違いなくJALにとっては優良顧客であったはず、しかしその殆どはANAにシフトしました。理由は、私たちの乗る飛行機じゃないよね、と思ったのです。



一方、ANAはJALのクラスJに対抗することなく、よりセレブ感を演出したスーパーシートプレミアムで勝負しています。こちらはプラス5000円で豪華弁当と高級茶菓、それにビールやワインなどのアルコールとゆったり専用シート。更に専用セキュリティーや優先搭乗などの空港サービスが付帯します。



JALは、あらゆる方にサービスを提供するスタイルを取った結果、比較的富裕クラスから拒絶されてしまいました。クラスJは中長期的に見ると中途半端なポジショニングだと感じます。座席面積が30%増でわずか1000円アップ。経営再建中のJALに取って自らの首を絞めているようなプライシングにも疑問です。



またクラスJ導入による座席減少を補うためにB777の普通席の快適性を落とすなどのマイナス面もあるため、クラスJが満席であってもJALに取っては好調とは言えないのでは?と感じます。そして経営者は更にB737-400やMD90にもクラスJを展開使用としています。



うーん、クラスJは誰に向けてのサービス向上を狙っているのでしょうか?



富裕層という言葉が数年前からはやっていますが、もし富裕層にターゲットを充てているのであれば大きな過ちと言えるでしょう。



クラスJのサービスに響いた顧客は、わずか1000円で快適に過ごせるなら、といったこれまで普通席を利用していた顧客層です。上述のようにJALから、優良顧客(富裕層の可能性高い)が逃げて行った理由も、同じ席には座りたくないのよ!なんて心理的な作用が働いているのでしょう。



アメリカのサウスウェスト航空はターゲットをビジネス客に絞っています。従って航路もビジネスに重要な路線で観光地には飛びません。座席は全てエコノミーでファーストクラスやビジネスクラスもありません。航路も国内線に限り、国際線は飛ばしていません。



そしてターゲットを絞っているので機内食無し、あってもピーナッツだけ、ペットは不可、予約時の座席予約も無し、他社便に対しての荷物の移動サービスもしない、割引チケットの発売も無し、と徹底しています。



更に、オペレーションを効率的にするために1タイプの機種を使用し全便を運航できるようにしています。他の航空会社は機種が数種類あるために、メンテナンスの方法や機種の柔軟な入れ替えが出来ません。一兎を追うことで業務の質を高めているのです。



経営者として全てを追う選択は昨今、多くの過ちとして結果を残しているのも事実です。しかし、多くの経営者はその選択の過ちではなくその選択を行っているオペレーションの過ちだと言っています。



それでも沢山の兎を追い続けますか?



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