価格低下という選択肢

2009年10月3日 土曜日

price down




ビジネスモデルが大きく変化しています。プライベートブランド(PB)やネットの普及によって企業の利益構造が大きく変化しコストリーダーシップ戦略を追求した価格の覇者が次々に後を絶ちません。



例えば、缶飲料は価格競争がとても激しいジャンルのひとつです。今年の夏にはイオンが大手ディスカウントストア(DS)に対抗する形で29円の350ml飲料を発売しています。するとDS大手のトライアルは一部店舗で即25円まで価格がを下げるなど、規模の経済を手にした企業しか太刀打ちできない規模での競争が広がっています。



食品や日常品を含むPBの市場規模は2007年度で1.8兆円、現在では2兆円規模まで拡大していると言われます。



PBの普及は食品だけにとどまりません。ユニクロの更に廉価ブランドであるジーユーは990円でジーンズを展開しました。ジーユーの価格コンセプトはユニクロの2/3程度でしたが、今後は展開する商品の8割を半値まで下げる価格戦略を打ち出し実現しています。



ジーユーの価格に引っ張られるようにダイエーなどの量販店でもジーンズの価格が低下し、880円~980円の価格帯の商品が投入されるようになりました。



大分が本拠地のジョイフル。業界最安値の299円のハンバーグを発表して競合を同業者のファミレスからコンビニやスーパーの中食を意識した価格戦略を展開しています。



DVDのレンタルもワンコインの100円レンタルが徐々に普及しつつあります。TUTAYAが大きなシェアを持ち、旧作の1週間の相場が200円~300円程度だったのが、業界2位のゲオが期間限定で値下げを試みたところ利用客が急増し、期間を延長する意思決定を行っています。



さて、この価格の異常なまでの競争、ネットの影響は無視できないでしょう。例えば家電やパソコンを買う場合、まず、どのような行動をとりますか?多くの方は価格コムなどの比較サイトであらかじめ価格を帯を把握するのではないでしょうか?



この消費者行動の変化が瞬時に全国の価格を低下する方向に引っ張っているのです。更にこの行動は店頭で欲しい品物を見つけた時、スマートフォンを使ってその場で価格比較を行う消費者も出現するほどです。



差別化が取りにくい商品。評価基準は価格のみの選択となってしまいます。しかし、そこまでして価格を下げ続けても最後に生き残るのは体力のある企業のみ。価格が安い事は悪いことではありませんが、この影響は固定費を下げる活動につながりますので、結果的に海外に雇用を求めるようになり、1円でも安い価格を求めているその本人にしわ寄せが来る日がやってくるかもしれません。



早嶋 聡史(はやしま さとし)





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