ポジショニング、知覚とハロー効果

2009年1月21日 水曜日

早嶋です。



昨日の夜、福岡から仙台に移動。本日は仙台にある富士フィルムさんの工場で終日、企業戦略立案のワークショップでした。参加者の皆様、お疲れ様でした。そして現在、小田原に向けて移動中です。



ボルボ。



volvo皆さん、どのうなイメージを抱きますか?多くの方が、「安全」というキーワードを思い浮かべたことでしょう。そう、ボルボは安全にフォーカスしたブランドです。フォーカスを狭めることで、ブランドに対する信頼性を得ることに成功しています。



マーケティングでは、あるセグメントにおいて自社の特徴付けを行う一連の作業をポジショニングといいます。そして、ボルボはその車の位置付けを安全という印象を提供することによってブランドを確立してきています。



心理学の言葉でハロー効果という概念があります。頭の良い出来杉君(ドラえもんの登場人物)は、運動も顔も、全てにおいて万能です、というイメージがありますね。外見のいい人は、他の好ましい資質がたくさんあるとみなされる傾向があるように、一つの秀でた特徴によって、他の関連のない特徴も際立って良く見える効果です。



ボルボの自動車が安全面で優れているのであれば、きっと信頼できる車に違いない。そして、きっと燃費がいいだろう。安全というポジショニングを確立していることで、消費者にとって好ましい特徴をもつ車だと認知されているのです。実際は、異なるかも知れませんが、それが一般的な消費者の抱く感覚です。



ポジショニングは人間の知覚を考えると、その有用性を説明できます。人は物事の判断の多くを知覚によって行うと考えられています。平均的な人は、人の心の中で形成される印象を全て現実のようにとらえます。もちろん、実際は知覚なのです。



その意味では、ポジショニングは人の知覚を形成するための一つの手法と考えることもできます。みのもんたさんが発言した内容、新聞に記載された内容、マスコミが報道した内容。人はすべてを信じる傾向があります。事実関係とは一切無関係に。



全ては知覚が作用しています。企業が万能の商品を提供できるとしても、人々はそれぞれの商品について強い近くを抱かないかも知れません。しかし、その企業がある商品のスペシャリストであったとしたら、きっと専門の企業だから商品も良いだろう、と思うのです。これって、有利ですよね。アールマイティというよりも何かに特化したポジションの方が有利なのです。



ポジショニングの概念を確立したアル・リース氏は上記の説明を一般開業医と専門医として話しています。



例えば、一般開業医と専門医ではどちらがいいですか?という問いに対して、きっと専門医と答えるでしょう。心臓の専門医は心臓のことについてより多くのことを知っておく必要があります。心臓の専門医として開業した人は、心臓についてより多くの知識と経験を持っている!と考えられるでしょう。そのドクターが初めて開業したとしても。



ポジショニングで重要なことは、消費者のどの部分で知覚を得るか?ということです。ボルボが安全という部分で知覚を得ているように。現実の部分ではない場合もあるのです。米国道路安全保険協会が車のテストを行い、現在入手可能な安全な車10台を選びました。なんと、ボルボはその中に1台も含まれていなかったのです。しかし、この事実は人々の知覚を変えることはありません。ボルボは安全な車だと知覚したままです。



皆さんの会社で主力的に販売している製品・サービスのポジショニングは何で確立していますか?あるいは、確立しようとしてますか?そして、その部分はお客さんの心の中で知覚されていますか?



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