早嶋です。
価格設定を検討するにあたり、消費者アンケートは参考になりますが、一方でバイヤーを説得する内容にならないときもあります。バイヤーの方々は価格設定に対して得意げになりますが、多くが直近の行動と結びつけて考えています。例えば、最後に顧客と厳しい交渉を行い、その価格交渉の印象が頭に残り、全てにおいて当てはめようと考えます。
これは明らかにバイアスです。人は直ぐに思いつく経験や行動をよくある典型的な事例だと思い込みます。この傾向は利用可能性バイアスと称されますが、企業が価格を決めて、バイヤーに相談する場合などによく観察されます。場合によってはコンサルにも当てはまるかもしれません。本来ならば市場を冷静に判断して意思決定をして貰いたいのですが、一筋縄では行きません。
例えば、これまでなかった市場に高級ラインを持って行っても市場は受け入れないとか、コンサルの料金は1日の上限がいくら以上は有り得ないとか。すべてを直近や自分の経験を元にかたる。多くの場合、バイアスがかかっていることを理解しなければいけません。
2013年2月 のアーカイブ
価格設定とバイアス
価格設定とセグメンテーション
早嶋です。
マーケティングにおいて価格設定は企業の売上と利益を確保する重要な戦略のひとつ。しかし、実際に価格をつけるとすると非常に悩ましい意思決定です。安すぎれば、販売数は伸びても利益を失うことになりますし、高すぎると利益はでるけれども販売数が伸びない。しかも一度設定してしまえば、価格は安くすることは出来ても高くいただくことは難しくなる。
そんなとき、顧客は自分の考えを分かっていないし、自分が分かっていることをいわない、しかも言ったとしてもその通りに実行しない。そんなことを考えて見たらどうでしょう。つまり顧客に価格を聞いても、その時の手法や質問の仕方によって、かえってくる答えが全く異なってくるということを理解します。
仮に商品の価値について、重厚な会議室で質問をする時と、街角街頭インタビューで調査したときは、前者が価値が高くなることが推測できます。もちろん質問の仕方ひとつでも話しは変わってきます。ということは、ほとんどの人が実際は何かに強いこだわりがあるわけではなく、いつも買っている商品さえ覚えていない可能性があるのです。そのため質問の仕方や場所を変えることで、答えは簡単に変わってします。極端な話、開発者や提供者が欲しい答えを言わせることだってできるのです。
だったら、そんなに気にしないでランダムに顧客の考えを集めて整理することをおすすめします。顧客の無意識を意識的に分ける作業です。例えば、200人くらいに商品に関するアンケートや調査を取ったとします。その中で、該当する商品に抵抗なくしはらうコストを整理してみます。例えば、30円以下のグループ、100円前後のグループ、150円から200円のグループ、300円から500円のグループと大きな塊にワケられることが多々あります。このような作業をセグメンテーションと言います。そして、わかれた価格帯を答えた顧客の属性を調べて、今度は特徴を見出していきます。
セグメンテーションを行うことで、潜在顧客の価格に対しての感度、ここでは支払っても良いという金額を分析できることができるようになります。通常、このような調査をサンプル数100から200以上で行うと、必ずいくつかの価格グループに分けることができます。出来上がったセグメントを幾つか俯瞰して、まずは利益を割る価格帯を確認します。仮にマイナスになるのであれば、その商品をその価格で半ビアすると確実に利益が確保出来ません。ある程度の利益の確保ラインがその時点で無ければ、商品を安くしたり、別のポジショニングを検討する必要があります。
一方、自分達の商品が他社や他の代替品と比較して特徴がない場合は、セグメントワケした価格帯の中間程度を狙う。特に特徴がある場合はセグメントした上位の価格帯に設定する。など、セグメンテーションの結果を価格設定の参考に使用する手法です。
ビジョナリー
早嶋です。
ビジョナリー・カンパニー1は永続する企業にフォーカスを充てています。2は飛躍する企業。3は1で紹介した企業の中でも衰退する企業が出てきた、そのために衰退しないためには?にフォーカスを充てています。
そして4。こちらは2の飛躍する企業を更に補強する内容になっています。
特に、昨今のコントロール出来ない外部環境の変化に対してどのように立ち向かうのか?が整理されており考え方の一助になる一冊です。不確実な世の中で成功する経営者の特徴を10X型リーダーとして定義し、その特徴を3つあげています。狂言的規律、実証的想像力、建設的パラノイアです。
狂言的規律とは、一言でいえばブレないことです。一貫した価値観、一貫した目標、一貫した評価基準、一貫した方法を徹底する。行動に一貫性を示すのです。そしてその期間も短期間ではなく、一度継続し始めたら永続するのです。その一貫性を保ちながら目標に向かって突き進むことを狂言的規律と表現しています(訳者のニュアンスでしょうが)。
実証的想像力とは、不確実な状況に直面しても、他人や社会通念、権威筋や職場の同僚を見て手がかりを探しません。科学的に実証できる根拠を頼りにするということです。そのために自分から観察して、実験を繰り返す。そして具体的に事実と向き合います。この実証的な基盤があるから、継続するから、大胆かつ創造的な行動ができるのです。
建設的パラノイアとは、決して良い状況であってもガードを崩さないということです。潜在的な脅威や環境変化がないのか?常に監視して、アンテナを張っています。経営状況が良い時ほど警戒心を高めます。そして常に最悪のシナリオを認識して、その打ち手をシミュレーションしています。つまり、絶対失敗しないための行動を常に撮り続けるのです。
上記の3つを説明する話の中で、ビジョナリー・カンパニー4では、南極大陸を征服したアムンゼンを取り上げています。そしてほぼ同時期に南極点を目指しながら失敗したスコットと比較します。
狂言的規律は20マイル行進と比喩しています。アムンゼンは毎日20マイル進むことを決めました。天候が厳しくて、状況が悪くなっても、この行進を続けます。一方、スコットは目標を達成しない日も存在して、その差が達成か否かにつながったと言っています。
マラソンに例えます。フルマラソンでもウルトラマラソンでも完走を目指すならば、毎日のトレーニングを継続しなければ達成が難しいです。今日は辛いからとか、明日また走ろうとなれば、スコットになるかもしれません。20マイル行進を続けるには、狂言的な意思の強さも必要なのです。そして、実際のレースでは2つの難しさがあります。前半は調子が良いのでついついペースを上げてしまう気持ちを抑えること。後半は苦しさのあまりにペースを落とすことに耐える苦しさ。しかし、マラソンで重要なのは、はじめから最後までペースを崩さないで一定の自分が挑戦できる早すぎず緩過ぎないペースで動き続けることです。
20マイル行進を実行する中でも、上記に相当する記述がありました。ひとつは、厳しい状況の中でも断固として高い成果を出さなければならないという苦痛。ひとつは、快適な状況下でも自生しなければならないという苦痛です。これらの2つの苦痛に耐えながら、20マイル行進を継続するのです。
結果的にこの行動を継続すると次の3つの成果が身につきます。ひとつは、逆境に対しても成果を出せる自信が身につきます。そして、大混乱を前にしても大惨事に陥る確率を御させることができます。最後に、不可抗力に対しても自制心を保つことができるようになります。日々の20マイル行進、素晴らしい効果があるのです。
実証的想像力を銃撃戦に続く大砲発射と比喩しています。これもピシャリな表現ですね。いくら科学的であっても、初めはそのデータを手に入れるためには小さな実験が必要です。私はこれをあたりをつけると言っています。前提条件や手がかりが無ければ、それが正しいのか?間違っているのか?の仮説が立ちません。
そこで、まずは低コストで、低リスク、あまり気を使わないで鉄砲を撃ちます。この時点でお金をかけすぎて倒れる経営者。あまりにも無茶な取り組みを初めから導入する経営者。初めの一歩が気になって結局なにもできない経営者がいます。そこで小さく、考えずに、リスクも低く、低コストでまずは実験を繰り返してみるのがポイントです。その後に、反応があったり、仮説が検証できた箇所に、一気に大砲を打ち込むのです。
これを継続しながら、次のようなことを考えて実行します。初期の段階は、大砲の命中率は悪いでしょうが、徐々に鉄砲から大砲の連続攻撃の精度を上げていきます。そのためには、失敗を繰り返したとしても必ず何かを学ぶ姿勢を得ます。そして、全てを教訓として受け入れます。重要なのはその学びを再び実践に活かし、フィードフォワードしていくことです。そして、この繰り返しを実施することで失敗を繰り返さなくなるのです。
3つ目の建設的パラノイアは死線を避けるリーダーシップと比喩しています。これは明快、絶対に死んではいけないのです。経営の世界でも倒産しても、再び再起することは可能です。しかし、死んでしまえば挽回の余地はありません。いかなるときも常に最悪自体に備える。特に成功している時ほど気が緩みます。そのために重要なことは当たり前ですが準備なのです。もし、こうなったら?を常に考え抜き、それに対して準備を施す。その補給品の備えを蓄積しておくことです。一般的に非合理と思われるかも知れませんが、そのような備えによって不確実な世の中を継続して成果をあげていきます。リスクとリターンの関係は誰でも承知ですが、継続するためにはリスクを常に抑えることが大切です。ここでのリスクは、予期できぬことを少なくすることです。
アムンゼンは、南極大陸を目指す際に、前もって突発的な出来事と不運に備えるために、現金などの手元資金を積み上げました。そして、バッファーとしても余分に酸素ボンベを携帯するようにしています。これを行うためには、常に視点を小さくしたり大きくしたりするズームインとズームアウトを繰り返すことが重要です。
ロシアでの隕石落下
早嶋です。
ロシアでの隕石落下。100年に一度の割合とのことですが、ゾッとするニュースです。負傷者は1200名とのことで幸い亡くなられている方はいなとのこと。この地域は、チェルノブイリ方の原発が周辺にあるので、もし、があった時を考えると、やはり怖いですね。
ニュースが報道された当時、現地の気温はマイナス20度。その中でガラスが割れ供給が間に合っていないとの報道でした。現味でも建物の4割り程度の窓ガラスしか復旧していないとのこと。厳冬期のこの時期に、ガラスの供給うが追いつかないことは生死に関する問題だと思います。
100年に一度。東北大震災も同じ頻度で報道がありました。隕石に関してはピンポイントではなく、広い範囲に渡って被害をもたらすと言われています。更に直撃する場合と、そうでない場合、被害規模も異なるでしょう。また隕石の大きさによってそのインパクトも全く異なります。津波や隕石。想定外が起こると想定しないといけない。非常に難しい課題です。
参照:「仮に直径400㎞の巨大隕石が地球に衝突した時、何が起こるか。。。?」
http://www.youtube.com/watch?v=SWQaTOj1H4A
アメリカ含め今の科学記述では、どの国も隕石の存在、落ちる場所の推測が出来なかったこと意外でした。ただ、これは余命告知のように仮に予知することが出来たとしても公表するか否かは政治的な判断などが入り複雑になるでしょう。ってことで予知できないコトにしておこう、なんてなるのかもしれません。完全に私見です。
NASAが発表している100年に一度の隕石。前回の落下は、1908年のツングースカ・イベントだと思います。当日NASAはAsteroid 2012 DA14を追跡していました。その隕石と同等のサイズが地球に激突した際のエネルギーは上記ツングースカで起こった事象に近いのではないかとも述べられていました。 更に、以前も衝突の可能性があった99942 Apophisは、2036年に近接する際の危険性につい、ロシア側とNASAの見解に違いがあります。このような研究は、ひとつの国や地域で閉じて行うのではなく、国際協力で対処できる方法があれば研究投資をすすめて欲しいと思います。
参照:http://en.wikipedia.org/wiki/Tunguska_event
参照:http://www.jpl.nasa.gov/video/index.php?id=1186
しかし、100年に一度。その頻度が頻繁ですね。リーマン・ショックも東北大震災も今回の隕石も。リスクマネジメントのセオリーに次のよな式があります。
(リスク)=(発生確率) × (インパクト)
つまり、リスクを発生確率とインパクトの2軸で評価します。しかし、インパクトが無限大に大きい場合は、発生確率が極めて小さくても何かしらの策を講じる必要がある。
こう考えると、既に人類がコントロール出来ない程の科学や文明の中で生きていることを改めて実感します。実際、これまでだったら有り得ない、知り得ないことを心配しなければならなかったり。
津波もそうでしたが、今回の隕石も多くの素人が映像を残しています。これも文明の発達ですね。因みに、ロシアの場合の映像の殆どが車載カメラ(ドライブレコーダー)によるものです。治安が悪く事故を起こした際に、ふっかけられるということで多くの車が積んでいるそうです。そのため、車を落下地点の近辺で運転していた人が隕石落下の瞬間を数多く記録に残していたということです。
フィリピン紀行⑥ BPO
フィリピンではアウトソージング事業が好調です。BPOに加えてITO(ITのアウトソージング)においてもマニラ3位、セブ8位という順位になっています。インド英語よりも聞き取りやすいという理由もあり、英語圏企業からすると組みやすいのでしょう。これは、日本にもフィリピン英語プログラムが急に増えている様子からも推察できますね。現在でも70を超える英語プログラムが日本でも展開されています。
参考:講師がフィリピン人のスクール
http://eigokoryaku.com/school/school_50_philipteacher.html
ある企業では、世界をタイムゾーンに分けて、時差を利用した24時間業務を取り入れています。具体的には、アジア地域のインドをGMT+5とするとアメリカ地域はGMT+5から8となり時差が生じます。そこでこの時間的なギャップを埋める目的で東アジアに注目しています。時差を考慮して展開する発想は、フラット化する世界の中でも紹介されていました。
フィリピンの経済成長と共に賃金が上がれば、今の賃金格差のみを利用したアウトソージングは難しくなるでしょう。ここはインドの付加価値の付け方を参考にする必要があると思います。例えば、アウトソージングの発注側が日本の場合、日本語を求める傾向が強くなります。そのためインドや中国では日本語を話すことが雇用に繋がるということで、多くの方が日本語の修得に力をいれています。実際に中国で日本語が堪能なアウトソーズ先は沢山あります。中国では日本語をジョブセキュリティ(知らないと仕事にならない)の1つとして捉えているのでしょう。言葉の傾向を考えると、フィリピンでITOが増えているのは、ITのアウトソージングは言語に囚われにくいという側面があるという理由があるのでしょう。
フィリピンを含め東南アジアに対して、下請けイメージを持っている人が多いと思います。ただ下請け=垂直統合的な考え方に限定すると危険です。インドなりフィリピンなりのアウトソーシング先は、業務範囲の多様化や提供内容の高付加価値化をものすごい勢いで進めているからです。実際、インドの今後の方向性は量から質への転換がキーワードです。
アウトソージングを必要とする日経企業の規模が国内のビジネスで稼げていた時代。ある意味下請けという狭い発想にとどまっていた事は仕方のないことかもしれません。しかし、グローバルというキーワードが出てきた昨今、日本語だけの仕事は全てを限定することになります。翻訳機や翻訳サービスの出現もまだ数年かかるとおもいます。その間はまだまだ共通語となる英語での仕事がどんどん増えて行くでしょう。
アウトソージングによる規模の経済、業務の効率化、コストメリットを追求すると国境の考え方が無くなります。すると、インドやフィリピンなどの選択肢が出てきます。このような国は初めは簡単な作業的な仕事しか出来ませんでしたが、徐々に業務範囲を広げていき、提供するサービスの付加価値を高めていきました。これは自分達も他のアウトソーズ企業と競争をする必要があるからです。結果、中国やインドやフィリピンなど以前からアウトソージングを行なってきた企業には、専門的な知識や能力を持つ人材が育ちます。そのような人材を活用して、徐々に業務フロー全体の見直し、提案、改善などを請け負う企業も増えていきます。
この企業の人達は、昔は下請けをする人、だったかもしれませんが、今では日本語や英語や他の言語を話しながら、多くのクライアントに対して仕事の標準化や上流工程の見直しを含めたアウトソージングを提案する人になっています。1つの言語にとどまって仕事をすることは、仕事の範囲をどんどん狭くすることになるのかも知れません。
クライアントの社員にシンガポール籍の方が数名います。彼ら曰く、最低2か国語、普通でも3ヶ国語、多い人は5ヶ国語を話すといいます。それでも人件費は月に2000ドル程度。言葉を複数話すことは基本で、その上に専門的な仕事を行う能力がある。こう考えると日本人の人件費はやはり世界標準から見ると高すぎますね。
日本は未だに日本語の障壁で守られている部分があります。従って他国の参入による競争が少なくなります。競争が起こりにくくなれば、グローバルでの自分達の能力を伸ばす可能性がすくなるなることも意味します。日本語の壁は、諸刃の刃ということですよね。
既にグローバル化が始まって、位置についてよーいどん!と世界中の競争が始まっています。
参照:
IT関連アウトソーシング、フィリピンがインドのライバルに
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130128-00000000-indonews-nb
【フィリピン】BPO拠点ランク、マニラが世界3位に上昇
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130201-00000008-nna_kyodo-nb
2012年の最低賃金改定、マニラ首都圏は7.04%上昇?生産性賃金制度を導入へ? (フィリピン)
http://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/biznews/50ef7c31e34b8
各国の日本語学習者数
http://kyoan.u-biq.org/enq_gakushuusha.html
江副さん逝去
早嶋です。
江副さん著のリクルートのDNA、働き方に刺激を受けたのを思い出します。中でも成功する企業家の20ヶ条は記憶に残ります。
リクルートの魂でもある「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」はリクルート事件があってからは、表立って対外的に言われることは少なくなりました。ただ、リクルートの黄金時代に入社して、今、各々に起業している経営者に話を聞くと、その精神は今でも脈々と社員に継がれているそうです。
マッキンゼーの企業戦略における7つのSの中にソフトがあります。強制的に、短時間で変更することが難しい要素です。この根幹をなすShared Valueは、リクルートでは江副さんの言葉と理念がそのまま社員の行動レベルにまで浸透している。素晴らしいことだと思います。
フィリピン紀行⑤ 出稼ぎ経済
フィリピンは世界一の出稼ぎ国家と称されます。新しい機会を求めて中国からフィリピンに移住して経済の中枢をささえるチノイ。これと反対に海外からフィリピン経済を支えるフィリピンの人をピノイと言うようです。国民の10人に1人が出稼ぎのため国外で働いているとも言われています。このピノイのフィリピンへの送金は家族だけでなく国家にとっても貴重な収入源になっています。
出稼ぎというと、なんだか肉体バリバリの労働をイメージしてしまいます。もちろん、そのようなハードワーカーも多数いるでしょう。しかし、英語と専門職を武器にホワイトカラーの分野で仕事をしている人が海外に数百万の単位で働いているようです。その彼らが現在、財力と専門スキルを有して徐々に本国に戻ってきているようです。マニラでは、専門職への投資機会が増えているので、同時に海外からフィリピンへの投資も増加しています。
上記のような現象は中国大連でも観察されました。主に海外の大手ITメーカーで長年勤務していた中国人が、活躍の場を本国に求めて帰国してきたのが数年前の大連です。いまでは、香港、マレーシア、シンガポールの華人が中国本土に戻ってきて事業を多数行っています。彼らが内需をさらに活性化させ経済の牽引に尽力していることは周知の事実でしょう。
この繰り返しがフィリピンでまさに起きているのです。考えてみれば、フィリピンの優秀な人は日本には来ないでしょう。それは言語の問題で英語が話せても日本では活躍する仕事にありつけません。そのため、始めから英語圏に行くことが当たり前になっているのです。従って、日本国内のフィリピンのイメージはいつまでたっても能力が劣る国との認識があるのだと思います。能力の高い人が活躍しにくい場になっていたからです。このギャップは実に危ういですね。島国日本は、世の中の動きが見えているようで、やっぱり井の中の蛙になっている部分もあるのですね。
参照:http://www.jitco.or.jp/send/situation/philippines/index.html
フィリピン紀行 ④都市計画
リーマンショック後、一時は経済成長がストップしていますが、再び経済が伸びています。実際に体験すると想像以上です。近くで見ればバラックと高層ビル群。遠くから見渡すとLAのような雰囲気です。北からケソン市、オルティガス、マカティ、フォート・ボニフォシオ、マニラ沿岸地区、アラバン地区。マニラの中で地理的な広がりがあり、都心と副都心地区が連立しています。
現在でも超高層オフィスビルや超高層住宅の建設が至る所で進んでいます。50階建ては当たり前、中には70階を超えるものなど、驚くばかりです。マカティ地区等は六本木ヒルズや東京ミッドタウンのような都市とビルが一体化した施設が数多く計画されています。豪華さも日本のそれと比較して遜色なしです。
この経済成長の背景には、フィリピンが他の国のバックオフィスになっていることがあるでしょう。実際、インドとその座を争っています。BPOの分野ではインドとフィリピンは今や必ず選択肢にあげられます。フィリピンは特にIT関連に強みを持ち、英語を皆が遜色なく話すという特徴も後押しとなっていると思います。
滞在中はマカティで打ち合わせを繰り返しています。打ち合わせをしては、通りを車で巡ります。マカティはフィリピンのメトロマニラと呼ばれるマニラ首都圏に属する都市で、首都マニラの東南に位置します。元々基地だった広大な敷地を利用して再開発された最新の街です。空港からも車で15分から20分程度なので、福岡空港と博多・天神の距離感です。
街並は高級コンドミニアム、ショッピングモール、大規模な創業病院、多くの大使館やインターナショナルスクールなどから構成され、ゴミ一つ落ちていないきれいな街並です。
アクセンチュア、HSBC、ドイツ銀行、JPモルガン・チュースなどの外資系企業も拠点をおいています。また、マイクロソフトやインテル、ネスレなどのIT企業から食品等、グローバルを代表する企業の拠点もこの地区にありました。現在、マカティのフォート・ボニフォシオ地区は脈々とビル群が建設されています。まさにバブルまっただ中。
この地区一帯、1995年にラモス元大統領が国有地転用計画の一環として基地内の土地214ヘクタールを民間企業に売却したことからはじまりました。フィリピンの庶民の足であるジープニーの立ち入りは制限され、電線は地下に埋められ、至ところに監視カメラを設置してセキュリティーが保たれています。まさに先端都市といったところです。
フィリピンにおける都市計画について調べてみました。行政の階層構造が1)州及び行動都市化、2)市及び、3)バランガイという最小行政単位の三層構造になっています。都市計画は、複数の州を束ねた広域な計画から地方レベルまでの計画が存在しています。その体系が空間計画と社会経済計画の2種類です。
例えば、国地方レベルの社会経済計画です。中期フィリピン開発計画(MTPDP)は大統領の任期に対応する6年間の計画です。1986年から各大統領が任期中に実現をめざす施策を記した国家計画として始まっています。それ以前も4カ年計画や5カ年計画といった感じで開発は策定されていたようです。MTPDPには、主要な政策方針、社会経済戦略、国家に関する主要なプログラムからなり、地方計画には国家計画を支援する戦略、プログラム、プロジェクトが含まれます。いずれにせよ、コンセプトは全体の指針をツリー状に細分化した取り組みとなっているようです。部分最適ではなく、全体最適となって計画の在り方としては非常によいですね。
上記を実現するにあたり、空間計画はさらに長期的な視点で考える判断基準になっているようです。30年計画の国家空間フレームワーク計画(1993から2022)が存在しています。これはNPFPと呼ばれ、現在は2期目に入り、2011年から2030年のNFPPと名称が変更されています。NFPPが前の計画を8年で引きついたように、NFPPも10年をメドに計画の見直しがされ、30年のビジョンを10年程度のスパンで修正しながら開発やその方針を決めているようです。
NFPPの内部は、土地やその他の建設資源等の配分、活用、管理、開発に関する一切の政策や方針を定めています。このような取り組みを行えば、一定の辻褄が合い、スピード感もでることも納得です。これらを基に地方レベルでは地方空間フレームワークプランが策定されてブレークだうんしていく。仕組みの在り方としてはよくできていますね。
フィリピン紀行③ 食事
フィリピンの食事は各国の料理が混じり合っています。スペイン料理を始め、米国の影響を受けたファストフード、中華系などもフィリピン料理になっています。他にもコリアン、インディアン、和食と多種多様な食べ物屋さんが乱立していて、当面食べ物には困らない印象。中に入っていないので味のほどは分りませんが。
フィリピンのファストフードで外せないのがジョリビー。実にフィリピンの人が食べるハンバーガーの2つに1つがジョリビーと言われています(現地の人談)。隣にはマクドナルドやKFCが出店していてもジョリビーは人気です。
ジョリビーとマクドナルドを食べ比べてみましたが、何となくフィリピンの味?と思うのがジョリビー。ハンバーガーの味付けはマクドナルドよりも甘い。この甘さはフィリピン料理の特徴だそうです。ソースとして使われているケチャップにバナナを材料にしたものがよく使われていてパスタやソーセージなど、とにかく何でもかけて甘くするようです。
マクドナルドが世界標準の味付けを展開しているのに対して徹底的にローカルテイストになったハンバーガー。この戦いは興味深いです。更にジョリビーのメニューには、ご飯ものを中心とした廉価なバリューミールがあります。ご飯とフライドチキンにソフトドリンクで50ペソ程度。他にもソースが付いたハンバーガーとご飯とソフトドリンクのセットと外国人の発想からは出てこないバリューミールを皆さんよく食べていました。
飲食店の人に何人か聞いてみるとそれっぽい答えが返ってきました。曰く、ジョリビーのポジショニングは食事だとか。一方、マクドナルドは軽食です。フィリピンの人は食事の際に米を食べる習慣があり、朝、昼、夜と必ずご飯を食べるそうです。従って、ファストフードといっても食事のポジショニングであればご飯ものは外せないという考え方。なるほどです。因に、ジョリビーはハンバーガーが30ペソくらいからで、ポテトとドリンクのセットで100ペソくらいからです。
フィリピンの人が欠かせないという米の値段を調べにスーパーへ。安いもので1kgあたり40ペソくらいから70ペソくらいです。ジャポニカ米は少し高く80ペソくらいでした。
フィリピン紀行② 経済と交通
2011年の実質GDP成長率が3.9%なのでOECD平均3.5%よりも若干高いスピードで成長しています。通貨単位はペソ。100ペソで200円より少し高いくらいのレートです。一人あたりの名目GDPが2400ドル程度ですので、日本と比較するとまだまだ貧しい国であることが分ります。
ILOの調べでは、2011年のフィリピンの平均年収は約48万円、24万8千ペソです。クライアントのお抱え運転手の月収が2万ペソ(別途随時チップやお小遣いで1割から2割は貰っているかな?)で、フィリピンでは高い方。
平均なので実際の平均年収の中央値はもっと低いと思います。そこで、根掘り葉掘り色々な方に聞いてみました。すると高級取りは大学教授でが平均1.5万ペソから2万ペソ。学校教師で1.2万ペソ前後。バスの運転手で5,000ペソ前後。ホテルの受付とかで4,000ペソ前後です。ということは、給与格差がかなりあるということですね。
月に9万ペソ以上とっている人々が人口の15%程度、6万ペソから9万ペソが10%程度、3万ペソから6万ペソで3割程度。ということは、平均的な給料以上取っている人が半分くらい。後は、それ以下ということで貧富の格差が激しいことが想像できます。
アジア圏どこに行ってもそうでしょうが、通りを歩けばベンツ、BMなどの高級車の脇に、ぼろぼろのタクシーやトライシクルと言った現地独特の乗り物が混在しています。庶民の足となっているジプニーという乗り物のは10ペソ前後でだいたい目的地まで行けます。トライシクルは、現地の人であれば最低6ペソくらいからで、4人から6人くらいが詰め手乗っている風景をよくみます。
バスだと20ペソ前後でマニラ市内なら何処でもいけるでしょう。これがタクシーだと初乗り40ペソから70ペソで500メートル前後を過ぎると以降300メートル毎に3.5ペソから4ペソが課金されます。急に割高感たっぷりの価格帯になります。因にガソリンの値段が1ℓで55ペソくらいなので、日本とあまり変わらない価格です。
マニラの都市を周回する高架鉄道は、大体1回で15ペソくらいを渡すとおつりがきます。電車は6分から8分くらいにくるので、大まかな移動を高架鉄道で動き、タクシーという手は環境客に取っては便利でしょう。ややこしい場合はプリペイドのカードがあって60ペソくらいからチャージできるようです。
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