ものづくり白書2011の中に、日本企業が他の競合する企業と比較して、自分たちが劣ると認識している調査がありました。それは企画・マーケティングと販売です。どちらも約4割の企業が認識しています。一方で、研究開発や設計、調達や生産と言った他のバリューチェーンの部分は自信があるようです。
近年、フォロワーの企業のマーケティング部門を見ていて気がつくことがあります。それは顧客を見ていないことです。かなり衝撃が走るくらい誰が顧客か?の定義や議論がなされていません。しかし、企業としては成り立っている。
過去、ある程度素晴らしい品質や価格を提供することが出来れば、市場がそれに反応して購買してくれました。この時は、各部門が部分最適になっていても、問題はなかったとおもいます。しかし、昨今のように市場が成熟してしまってからは、品質のこだわりに反応する顧客は少なくなりました。
これは、品質を考えないわけではありません。どのメーカーも最高の品質を提供することが当たり前になってしまったので、差別化の対象になっていないのです。そのよな中でも市場が反応する商品があります。他の競合する商品と比較して品質レベルが相当に高いか?と考えたら同等レベル、場合によっては低いときもあります。
では何故、消費者が指名買いをするのか?そこには物語があったり、商品にブランドがあったり。つまり、顧客が知覚できる見た目の部分や感情の部分を訴求する企業や商品が指示されているのです。これはマーケティングの領域ですね。
と、このようなことは2000年前後より言われていました。しかし、白書が示すように、相変わらず日本のメーカーは造るのは上手だけど見せ方や販売の仕方が下手くそ。と来ています。これでは本当に取り残される存在になると思います。
おとなりの韓国が勢いがあるのは、1997年のIMF危機を堺に、日本を追従する戦略を辞めたことだと思います。これまでは日本のモノマネをしていましたが、それでは何時まで経っても超えることは出来ない。そこに気がついたのです。そこで取った策は、日本や他の欧米企業など、先進企業がまだ目を付けていない新興国市場でした。そこでシェアを獲得し、次にブランドの認知を高めて行きました。
韓国企業の多くは、ブランディングやマーケティングに多額の投資を行い、新興国のイメージを一気に高めることに成功しました。そして品質の部分は、徐々に改善され、今では一般人から見ると全く遜色のないレベルにまでなりました。この戦略は参考にすべき点がいくつもありますね。
2012年6月 のアーカイブ
顧客を見ない不思議
アウディ
早嶋です。
自動車メーカーのアウディ。株式の殆どをフォルクスワーゲンが保有し、本社はドイツ・バイエルン。主に中級から上級の価格帯をカバーするブランド。クワトロと称す四輪駆動システムを持ち、アルミボディなどに先駆的な技術を持つ。
昔昔はお父さんがベンツ、お母さんがアウディでしたが、今は全くそのイメージはありませんね。ターゲット層も若者層をメインとしてデザインもBMWやメルセデスにひけを取らない、押しの強いデザイン。
なんと言ってもポジショニングが絶妙です。後発ではないものの一昔はBMWより若干マイナーなメーカーでした。そこをBMWを意識して、価格的には少し安いけれども走りはそれ以上。とあたかも比較広告をするようにブランドのイメージを構築してきました。BMWをベンチマークすることでアウディをポジショニングしたのです。
このポジショニング成功ですね。リーマンショック後、大手の自動車メーカーは急激な売上減少。しかしアウディはリーマンショック後も販売台数を伸ばしています。他の自動車メーカーがハイブリットや電気自動車を中核に据えて消費者に訴求するなか、アウディは従来のガソリンエンジンで徹底的にブラッシュアップしています。
同時に、ディーラー網の整備にも力を入れています。全国に100(直営は15程度)あまりあるディーラーについても、建物の雰囲気など、アウディーのブランドイメージを彷彿とさせる雰囲気といいかんじの接客、そしてアフターサービス。ディーラーを併設する本社ビルも安藤忠雄氏の設計でそのこだわりを感じることができます。
通りを歩いてドイツ車の勢いに変化を感じます。BMやベンツに加えて、アウディが勢いを付けている。実際、アウディの新規顧客の7割はベンツやBMを中心とした他のプレミアムブランドからの乗り換えです。現在、国内のアウディーユーザーは15万台程度。ベンツやBMがその3倍程度です。つまり、乗り換え促進はアウディにとっての伸びしろとなるのです。
アウディの商品戦略、流通戦略。中の上、高級を目指す企業にとっては非常に良いベンチマーク企業だと思います。
なぜ?なんのために?
早嶋です。
企業の存在意義。why?に対するこたえ。何故、その企業なのか?これはマネジメントする側にも、そこに従事している側にも共通の認識を持つべきテーマだと思います。全ては存在意義に基づいて、その意義を達成したいから組織が同じ方向を持つ。同じマインドでいるから集合知を生み出す。理念が無い会社は魂の無い仏様のような感じですね。
先日、IKEAに行って来ました、新しく福岡に出来たお店です。対象はヤングビジネスパーソンでしょうか。自分で選んで、運んで、組み立てます。家具のデザインはとても良いですが、そんなに耐久性はありません。徹底的にスカンジナビアを感じる店舗空間からデザインの統一。素晴らしいですね。
IKEAのビジョンです。「より快適な毎日を、より多くの方々に」。より多くの、という時点でいわゆる富裕層を向いていないことが分かります。向いている方向は庶民です。しかし、そこに少しだけでもオシャレに、快適に暮らしたい方々を顧客として定義しています。商品はどれも優れたデザインと機能性を兼ねています。住宅関連の商品を幅広く揃え、多くの方々が気軽に購入できる手頃な価格帯。徹底しています。
上記を達成するためには、1円を惜しむことも重要です。電気をこまめに消し、徹底的なローコストを意識する。しかし、ここに想いが無ければ、そもそもケチ臭い、もっと気持ちよく仕事がしたい。と考えてしまうことでしょう。しかし、より多くの方々のより快適な暮らしの提供のために、日頃の活動がある。と感じている人は、本気で取り組んでいくことでしょう。
これはある意味考え方の部分でしょうか。理窟ではなく本人がどのように感じるのかの部分です。最近、興味深い研究データを読みました。幸せな人は生まれつき幸せだとか。これはDNAレベルの話です。そもそも快楽を物質的なとみに求めると、上限がありません。脳みそからドーパミンが出て快楽を味わうと、次は更なる欲求を求めます。新しい刺激はきりがなく、どんどん追い求める。これを追いかけることを幸せと定義すると、永延に幸せになれない。物質的な富では満たされないからです。
従って、幸せは内面的なものにある。何がおきても気にしない性格。大丈夫大丈夫と自分をポジティブに捉える人。常に、happu go luckという態度を取っている人。これは生まれつきの性格で、50%は人間のDNAによると言うのです。残りの半分は、10%が生活環境や社会のコミュニティーに起因し、40%は本人のコントロール次第。
確かにそうかも。これは宗教を見ても重なります。そもそもどの宗教も基本は他利を言っています。人のために、相手のために、顧客のために。基本は人に与えています。何かして、ありがとう、良かった!ということに喜びを感じるのです。
面白い調査があります。人がいやがることを進んで行う人の年収は平均で2割高いとこ。誰かのために行っているつもりは無いのでしょうが、無意識のうちに高いアウトプットを出す。感謝されるのです。
自分がやっている行動に意義を持ち、その反応に喜びを得る。すると、当たり前だけれども前よりも高い取り組みレベルの仕事になる。結果的に仕事が常にブラッシュアップする。それが存在意義でしょうか。そのために常に切磋琢磨する。そもそも嬉しいから継続する。その姿勢、習慣。それが自身のハッピーにもつながるの。
なぜ?なんのために?とても重要な問いかけですね。
小さい組織に追い風
早嶋です。
世の中が成熟し消費者の購買意欲の傾向も成長期のそれと随分と異なります。
一昔前は全国的な商品に注目が集まりましたが、今では地域の商品に注目されるようになっています。地域とのつながり。地元の愛着。多くの方々が地元での消費という傾向の消費者も増えています。地域密着です。
一昔前は全てが揃う品揃えに注目が集まりましたが、今では専門店が注目されています。総合の代表である百貨店は不信。一方で、セレクトショップ、家具専門店、自転車専門店など、極度に特化したお店が順調です。ラーメンも、オムライスも、カツ丼も食べられる食堂よりは、鯛茶漬けしか食べられないお店にフォーカスがあたる。専門化です。
一昔前は皆が同じ曲を聞き、同じ車に乗り、同じファッションを愛していました。しかし今では画一的な方向性は個性にシフトしています。様々なものが出ているのも多様化に合わせた結果でしょう。多様化、個性化。はマーケティングの枕詞としても良く目にします。
一昔前は大量消費が注目されていましたが、今では質へシフトしています。シンプルな生活スタイルが尊重され、断捨離が定着して量から質へ転換しています。人口も増加せず、一人あたりの消費支出も増えない。自然と量を追求するモデルから質を追求するモデルへシフトしているのでしょう。量の競争では規模の経済や経験曲線の理由から、大企業が一人勝ちでした。しかし脱同質化が進むことで質的な成長の可能性が見いだされています。
一昔前までは可もなく不可もない商品はそこそこ市場に出回っていました。しかし今では両極端。安くてそこそこ良いか、高いけど本物である。です。平均的。普通。月並み。そこそこ。そのような言葉がまだ許容されていましたが、最近ではNGワードになっています。消費者は企業のこだわりや本物になびくようになっています。
一昔前までは1カ所で全て揃うワンストップに価値がありました。しかし最近は、態々足を運んで産地で消費したり、生産者と語りながら品物を定めたり。消費者の感性をくすぐる商材が人気を集めています。機能的な価値から、デザイン、物語、センス、スタイルなど感情的な価値にシフトしています。
上記のようなトレンドは、小さな組織にとってもまさに追い風では無いでしょうか?例えば、1位の企業と勝負することをそもそもあきらめ、徹底的に地域と密着し、徹底的に特定の分野に商品を絞りこむ。そしきその企業独自の個性を製品やサービスに吹き込み、量よりも質を強化する。真似ができないようなめんどくさい仕事や一見無駄と思われるくらいすごいこだわりがある。わざわざ何かしないと手に入らない。それでいて消費者の心をくすぐる何かがある。
これって小企業に追い風ですね!
売ることVS買うこと
売ることの反対は?買うこと。
提供側の反対は?消費者。
普段の生活では、顧客として感じることが殆どなのに、立場が提供者になると急に、売る発想になる。従って、パーフェクトと思えるようなマーケティングのシナリオがかなりの部分で提供者側の都合になっていることが多い。
これを防ぐ方法は、定期的な棚卸しと、まったくの素人、つまり消費者側に聞いてみることではないでしょうか?良く、素人のコメントなんてって聞くことがありますが、消費される方は素人です。彼彼女の感覚に響かなければ購入されることは無いでしょう。提供者が得意になって提供している価値の違いが分からなければ意味がありません。
売るという発想になれば、発想は商品からスタートします。しかし、買って頂くという発想になれば、スタートは顧客からです。ここまで正反対だから楽しいのでしょうね。
牛丼競争
牛丼市場。現在は、すき屋、なか卵、吉野家、松屋の4社がほぼ市場を席巻していあす。年間の国内売上で、すき屋が1000億、なか卯が290億(ゼンショー合計1290億)、吉野家が900億、松屋が630億の規模です。これを見るとゼンショーグループが飛び抜けているものの、吉野屋、松屋の3社の戦いがよく判ります。
ゼンショーは2009年末になか卯を完全小会社化。そしてなか卯の位置づけを牛丼店ではなく、和風のファーストフードとして、牛丼の値段を350円に設定しました。一方で、ゼンショーのメインであるすき屋、2009年4月に牛丼並を350円から330円に値下げ。さらに、その年の12月には280円に、徹底した低価格路線を貫いています。松屋を展開する松屋フーズもこれに追随。牛丼並250円キャンペーンを実施しながら、同ブランドの強みでもあるカレーや定食などのサイドメニューへの誘導を実現しています。すき屋、松屋は牛丼の価格で顧客を呼び寄せ、他のメニューで利益をあげているのです。
吉野屋。牛丼の老舗ですが、実際は一番苦戦を強いられています。牛丼並380円は他のチェーンと比較すると割高。値下げ競争の牛丼市場では後塵を排しています。吉野家は安い、早い、旨いの三拍子を唄いながら、味にはこだわりを見せています。そのため他のチェーンがオーストラリア産等の牛肉を使っているのに対して、アメリカ産に拘ります。これが、思うような値下げに踏み切れない理由です。また牛丼に絞っているため、他のチェーンのように別メニューでの下げ止まりを狙う作戦も出来ません。
味に拘ったことで、他社の牛丼値下げ集中攻撃に対応できず、地位を守りきるのに必死です。考えてみると、味の違いに拘っているけれど、顧客はあっさり裏切ってしまいました。安い、早い、旨いというポジショニングは機能的な価値を提供しています。これはモノサシがあるので、簡単に他社と比較でき、かつその優劣は一目瞭然です。特に安さにおいては、多少の味も違いがあっても、一番目立ち易い部分ではないでしょうか。
機能的な面でのブランディングはよいけれど、それだけではすぐに他社に模倣さる。一方で、この部分が不足していたら顧客の集客は難しい。吉野屋が更に成長するのであれば、牛丼はこのポジションのままにして、海外で成長する。加えて、京樽、はなまる、どんでは、感情的な価値の構築を実現する。これまでの吉野家のような合理的な要因での集客のみでは、大きな成長は難しいでしょう。
成熟しているビジネス、市場全体の力関係、規模。様々な要因を考えると、これまでのアプローチの限界が900億円。他の分野のポートフォリオと海外でも地域を絞った牛丼の進出が次の成長の鍵だと思います。
ベネフィット
マーケティングで価値についての議論は絶えません。顧客は価値の代償として対価を企業に支払うからです。その価値、例えば数式で表すと次のようになるでしょう。
(価値) = (ベネフィット)−(コスト)
ベネフィットは顧客にとってなんかいいことで機能的な面と感情的な面があります。
機能的な面は、合理的か?とか、品質や価格、利便性等です。多くの中小企業はこの部分で勝負をしますが、こちらは比較する対象があったり、優越を完璧に付けることが出来ますので表現することはある程度容易です。一方、ある範囲を超えた部分の機能的な面でのベネフィットは、提供側がその違いを理解したとしても、顧客は既に理解不能になります。マーケティングのことばに知覚品質があります。ある一定レベルの機能を超えた場合、その差がわからなくなる。知覚品質を超えた場合です。
感情的な面は、高級感や癒し、安心感等があります。これは比較対象がありますが、その基準は顧客の心の中の判断です。従って、機能的な面が商品に偏る一方、感情的な面は顧客による部分が多くなります。
コストは、単純に購入金額に加えて、購入するまでにかかる時間。購入にいたるまでに費やす労働。また別の視点でリスクという考えもあります。もちろん金銭的なリスクや物理的なリスク。場合によっては、本当にこれを買ってよかったのかな?というような心理的なリスク、他の目から見ていいのかな?という社会的なリスク、様々です。
ベネフィットを提供する場合、最も大切なことの一つが提供している人が一番その商品のファンであること。一番売っているひと本人が本当によい商品だと信じていることです。これは中小企業や大企業でも当てはまります。自分がよいと信じているから顧客に伝わる。沢山あるとおもいます。逆に絶対NGなのは、自分がその商品に疑問を持っている場合。これは明らかに顧客に伝わりますよね。
マーケタィングはサイエンスだけれども、サイエンスでは無い部分も沢山あります。上記の信じるということなんて、堂考えても情熱の問題です。熱意の話です。しかし一緒に船に乗る人はやっぱり船長の思いを大事にしたいはず。そのためにマーケティングでは組織の文化や哲学を徹底的に考えて共有化していく取り組みも忘れてはいけません。
アウディのポジショニング
自動車メーカーのアウディ。株式の殆どをフォルクスワーゲンが保有し、本社はドイツ・バイエルン。主に中級から上級の価格帯をカバーするブランド。クワトロと称す四輪駆動システムを持ち、アルミボディなどに先駆的な技術を持つ。
昔昔はお父さんがベンツ、お母さんがアウディでしたが、今は全くそのイメージはありません。ターゲット層も若者層をメインとしてデザインもBMWやメルセデスにひけを取らない、押しの強いデザイン。
なんと言ってもポジショニングが絶妙。後発ではないものの一昔はBMWより若干マイナーなメーカーでした。そこをBMWを意識して、価格的には少し安いけれども走りはそれ以上。とあたかも比較広告をするようにブランドのイメージを構築してきました。BMWをベンチマークすることでアウディをポジショニングしたのです。
顧客視点に立ったサービス
旅行先でブッキングしていたはずのホテルの予約が無い。ラスベガスのホテルを3泊。幸い、別の部屋が空いていたので、宿無しになることはありませんでした。
予約した際のバウチャーを印刷していたので、そのサイトに問い合わせるも反応が遅い。そして、連絡があったかと思えば、私どもの連絡はホテルにいっています。って。それはそうでしょう。私もそう思っているよ。でも、ホテルで予約が入っていないというのは事実。そのことを問い合わせて、事前の予約条件の通りに泊まることができるように交渉するとか、何かその顧客のために出来ることがあるでしょう。それでもできなかったら仕方ないけど。いきなり自分たちはミスはない!というのはどうかと思う。
次にクレジットカード会社に連絡。予約した金額が落ちていないか?を確認するため。すると、その履歴は無いという。カスタマーサービスから質問を受けて気がつきました。別のカードで予約を取っていた。クレジットカード2枚保有のうち、別のカードで予約をしていたのです。私の勘違いで、全く関係の無いトラブルにもかかわらず、その場で、別のカードの番号や連絡先を調べてくれ、そしてカード会社に電話をつないでくれました。今回のホテルの予約の件は全く関係がないのに。アメックス。
これまでフライトのマイルを貯めるために、別のカードを使っていましたが、何かあったときの対応がアメックスが断然いいと思い、それからシフトしました。飛行機の予約を取る意外は、アメックスを使う機会が増えました。
マーケティングで提供するものは、製品やサービスも重要だけど。それらを使ったり、サービスを体験する過程の感動がとても重要だと思います。その体験は双方に取って価値になります。その体験は他でも共有され、ブランドの価値を上げることにつながるでしょう。何よりも、そのような商品を提供してくれる人は、本当にその顧客の立場に立って考えているんだなって思います。
カスタマータッチポイント
カスタマータッチポイントという概念、非常に重要なのに近年、どんどん無視されています。
マーケティングは、顧客の立場に立って、自分が行ってもらいたいことを行う。結果、その行為が感動をおこし、その体験が顧客の中、組織の中で共通の体験として語り継がれます。これが更にその企業の価値、ブランドの価値、商品の価値を高めます。
近くで利用しているクリーニング店があります。クリーニング店が提供するサービスは、汚れた衣服をきれいにすることでしょう。しかし、そのサービス以上に店舗での接客は目につきます。店に入ると愛想が無い店員がいつものように作業をします。決して接客とは言えません。無言で衣服を引き取り、無言で処理を進める。何か言っているのでしょうが、声が小さく、声がこもって良く聞こえない。表情も全くのポーカーフェス。大量に持っていくと不機嫌な顔。でも、沢山、出しているってことは、お店にとってもハッピーなはず。ニコニコ対応してくれるだけで、顧客の気持ちもよくなるのにな。
セレクトショップが提供している価値は、その人にあったファッションを提供することでしょう。しかし、試着をする部屋の隅にたまっているホコリを見て、テンションが下がります。結局、見えるところだけの接客で、中身は何を考えているのかな?って。本当に顧客目線で考えているのであれば、顧客の目線になって汚れているところは、何も言われなくてもきれいにするはず。ディスプレイや展示がきれいなのはあたり前。繁盛しているお店との違いは、こんなところに出てくるのだと思います。
先日、アウトレットに行き、仕事用のポロシャツを3枚購入。全てに30%オフの値札がついているのに、何故か、黒だけ新作で20%オフという。だから、これは20%オフになると言う。何を言っているの?展示している商品、全てに30%オフと書いているし、値札にも明らかに30%の表記。間違っているとしても、そんなのは顧客は全く関係のないこと。10%の違いは双方に取って、大きいか?と言われるとそんなに大きな額ではない。しかし、その瞬間、楽しく買い物をしていた感情が全てぱー。そんな時は、顧客には何も言わずに、展示している正札を書き直すべき。そもそものミスは企業なのだから。アウトレットはそもそも安いから、それを覚悟して買うべきだ。という考えもあるでしょう。しかし、ハイエンドの商品を安価で提供している。そのコンフリクトをマネジメント出来ないのであれば、初めから出店すべきではないと思います。
同じアウトレットでお皿を買いました。6枚買って、しばらくして取りにいく。お店が忙しいようで、まだ包んでいない。でも、店員さんが真摯に対応してくれたので、また、回ってくるからゆっくりでいいですよ。店員さんの一言で顧客の心も全く変わる。こちらの店員さんは、アウトレットの商品の理由を一枚一枚丁寧に説明。商品の絵付けは全てが手書きであるので、展示している商品の中で一番よいものを選択してくれる。結局はアウトレットなので、どこかに不備があるのでしょうが、その丁寧な対応が嬉しい。価格は安く提供しているけれど、そのブランドの価値が相対的に下がることは無いと感じる。
大切なことは顧客の気持ちになって考えること。近年、コストが厳しいから人件費を削り、商品開発とか重要な部分にのみ資金をまわす。しかし、カスタマータッチポイントを忘れてはいけない。どんなに最高の商品であっても、それをエンドで提供する店員の対応が悪かったり、サービスが悪ければ、全てが台無し。従って、重要な部分であるカスタマータッチポイントは、定期的に見直しが必要。
提供している商品。提供している人が自信を持って進めるべき。その人がその商品の一番の理解者であり、一番のファンになる。そんな気持ちがある人は、なんか不具合がおきても、その心は顧客に伝わるはず。完璧で無くてもよいと思います。しかし、完璧が出来ない時の対応がそつなくされるか、不安定にされるか。この違いは後の消費行動に大きな影響を与えるでしょう。
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