オービック

2019年10月1日 火曜日

早嶋です。

システムインテグレーターのオービック。夜な夜なテレビを付けていると昔から変わらないゴルフシーンとオービックの音声が流れています。そのオービックはご承知の通り素晴らしい戦略を持っています。

システムインテグレーターとして大企業や大規模のシステム開発を狙わずに、中堅企業に特価した基幹システムを提供します。開発は外注を活用せずに、全て社内で手掛けています。営業は代理を使うことなく、自社でしかもダイレクト販売です。IT業界は人材の流動が高いですが、オービックは社員の殆どを新卒で賄っています。そしてSEを専門職と捉えないで、営業とSEを分けることなく両方を経験させることによって営業と開発の双方の効率を高める取組を実施しています。

そんなオービックの成績は19年3月の営業利益率は51.2%。主力基幹システムはオービック7です。1997年の発表から従業人規模で100〜1,000人程度の中堅企業に特化したシステムを提供しています。営業とSEの両方の経験を持つ社員が中堅企業の要望を抽出して足し算ではない無駄な機能を省いた基幹システムの設計と提供と開発が人気を得ているのです。

IT調査会社のIDCの調べでは18年度の国内ERP市場の占有率がSAP、富士通に次ぐ3位で、中堅企業に特化したシェアでは1位を誇っています。

システムの内製化、SEと営業の一元化、オービック7に特化した資源リソースの投入。結果、社内にノウハウが蓄積され、それらをベースに開発をするために効率とスピードはともにあがり、結果50%を超える営業利益を叩き出す企業になったのです。

昨今のIT企業の大手は、どうしても売上を確保する必要性から、大型のシステム開発案件を取りにいくようになっています。しかし、自社のリソースだけでは人数が足らず外注を活用するようになります。ここが麻薬で、外注や下請けは自社のコストよりも安く、受ける企業が比較的に多かったことから多様してきました。

その結果、自社で通して開発できる人材が減少して、システム開発のノウハウは下請けや外注業者に蓄積されるようになります。また、昨今ソリューション営業と言われていますが、開発の全体を知らない人間が急に顧客のことを理解して提案してね。と言われても難しいはなし。1,000人単位のエンジニアを抱えるも、上述の事情で経験と知識が乏しい給与の高いエンジニアを育ててしまった。という状況になっているのです。

いつの世も、今すぐ取り掛からなければならない重要なことに資源と時間と労力を割き、重要だけで時間がかかる教育や内製化は後手に回した結果が露呈しているのです。そこに対してオービックは着実に大手とは違った正攻法で現在の業績を保っている。と考えれば、やはり正しい手法を、着実に、当たり前にこなす難しさと大切さを改めて考えることができる事例だと感じました。

オービックは、今回取った戦略に対しては、2000年頃のITバブルの影響がありました。過去、中堅企業から大手企業に販路を伸ばす意思決定をしていました。大型案件では売上は期待できたのですが、都度特殊開発になる難しい案件が続きますので、多数のエンジニアが必要になり外注を始める結果になりました。

大企業の受注はシステムに対しての要求や要望が高く、システム会社はそれに対応する必要がでてきます。一方、従来の中堅では出てくる要望は事前に予測がつくし、ある程度対応するノウハウも見についています。結果としてトップである売上は高まりますが、実益としての利益が目減りしていくという苦い経験を教訓にしたのです。

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参照:日経新聞 ビジネス欄 2019年9月



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