シニア・コンサルタントの原です。
相手を納得させる考え方では、ロジカルシンキングをベースとしたロジカルプレゼンテーションと交渉学などがあります。
ロジカルプレゼンテーションは、論理的に分かりやすく伝えていくことです。また、ハーバード流の交渉学は、人と交渉内容を分けて感情に流されず客観的・論理的に交渉していくことがベースです。
一方で、ストーリーテリングとは、伝えたい思いやコンセプトを体験談などの物語を引用することによって、聞き手に強く印象づける手法のことです。
相手を納得させ行動につなげるためには、ストーリーテリングの考え方も必要です。
ストーリーテリングの研究では、「ストーリーは長く人の記憶に残る、素早く多くの人に広がる」などのメリットがあり、人や組織を動かす手法として有効であることを検証しています。
私は、研修講師により人前で話す機会が多い立場ですが、私自身の身近な事例を話すと受講者から共感されやすいことを事実として経験し続けています。
つまり、人は、感情のこもった体験談や物語には耳を傾け記憶に残しているのです。
論理学を体系化したアリストテレスは、説得の要素として、「論理・感情・信頼」の3つが必要であり、人は論理ではなく感情で動くと説かれています。
論理的に相手を言い負かし議論に勝っても目的は達成できません。目的を達成するためには、相手を納得させ、さらに相手に実際に動いてもらうことが重要だからです。
皆さんも、是非、論理とストーリーテリングの組み合わせるによるプレゼンテーションや交渉に取り組んで頂きたいです。
2018年2月6日 のアーカイブ
ストーリーテリング
3つの軸で考えるジョブ
早嶋です。
近年多様されるジョブ理論の「ジョブ」。イノベーションの大家、クリステンセンのジョブ理論に出てくるキーワードです。自社商品(製品・サービス)がなぜ売れるのか?を考える際に、顧客は商品を雇って、何か自分が解決したいことを片付ける。と捉え直すことで、モノの見え方が変わるという内容です。
売れている=雇われている。と解釈することで、意味合いが広がって思考が広がります。企業としては、昔から商品軸で物事を考えます。我々の商品が売れている理由は、技術、品質、スピード、卓越した開発力等々です。しかし、顧客は案外と商品の詳細を知らないでも購入します。
そこで思考を顧客軸で考えようとする発想です。顧客思考を言い換えただけですがそこは大家、それをジョブと名付けたのです。顧客軸でなぜ顧客は商品を雇用したのか。どのようなジョブを解決したのかという質問をベースにデータ等を掘り下げて分析します。
マーケティングの概念を理解している人は、それはこれまでのニーズなのでは?と思うでしょう。しかし、ニーズはどちらかと言えば商品軸での欲求で、顧客が主語にくることが少なかったです。こちらのブログでは、顧客軸のことをウォンツとして分けていましたが、ジョブは、私の理解では=ウォンツです。
マーケティングの議論で人はなぜドリルを買うか?というストーリーがあります。商品軸であれば商品そのものを買うことになり、それはドリルマニア意外にありえないです。仮に顧客軸で考えると、ドリルを使って何かを解決したい。と捉えるはずです。すると人によっては穴をあけたいかもしれないし、何かを作りたいかもしれません。それも継続的に造る人もいれば、一回だけで終了する人もいるでしょう。
ジョブとして捉えると、当たり前ですが人によってそれぞれ雇用する理由が異なってくる。ということです。しかし、これまでのマーケティングのSTP理論では、主にデータ分析の要は属性でした。性別、年齢、学歴、出身等々です。確かに一見人にフォーカスしたデータに見えますが、これから推測しても何故買うのか?というジョブにフォーカスすることはできず結果的に多様化した今は、分析結果をなかなかイノベーションに活用できにくいという現象が出ているのです。
例えばスタバの商品はコーヒーです。しかし人はコーヒーを雇っているわけではありません。何かするための間の時間でほっと一息することを目的にスタバを雇っているかもしれません。或いは、なんとなく人が自由に共通の空間で何かをしている空気感を共有することで充実した気分を味わっているかもしれません。だとしたらコーヒーの味はそこそこで、空間や照明、香りや音といった状況を演出する工夫がより重要になってくる。という理屈です。
ジョブ理論を簡単に活用するには、次のように活用してみると良いです。まずは自社商品を1つ選択しましょう、そしてその商品が雇われる理由は何か?と問いかけて見ましょう。顧客はどのようなジョブを片付けたいのか?その商品はどのような価値提供をしているのか?と。
直球過ぎて結構、答えるのが難しいと思います。そこで、次にジョブを考える視点を見出します。これも基本はウォンツを見出す視点と同じで、顧客と状況によって異なります。
まずはベーシックな機能的な軸です。車で例えるとA地点からB地点の移動に相当します。次に感情的な軸です。例えば運転する快楽であったり助手席の乗り心地であったり。そして社会的な軸です。昔ウォンツを考える際は、機能と感情と分け社会を感情に入れていましたがジョブを考える際は分けて考えることが多いようです。つまり自分がどのように見られるか?について考えることです。
このような3軸でジョブを考えると商品軸であるスペックは必要条件にはなり得るけれども決定要因としては感情軸や社会軸が主体になることが近年は多いのです。昔は商品の機能差があまりにも異なっていたので決定要因になっていたのかもしれませんが、近年はその違いが少ない分、感情や社会性が重要になっているのです。
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