職場に活かせる心理学「感情」

2020年11月5日 木曜日

安藤です。

私たちの感情は、生活の中の危険を回避したり克服したりするための生理的準備態勢を整える、環境適応システムといわれています。例えば“恐れ”といった感情は、私たちに不快感をもたらす感情ではありますが、恐れがあるからこと、危険を回避したらい慎重に行動を選択したりします。そのことが危険を克服できる可能性を高めることになります。このような感情の機能は、人間が環境に適応するために進化の過程で獲得し、種として組み込まれたものと考えられています。

一方で、“過剰な恐れ”は、理性的な精神活動を阻害し、心身の健康を害するものになります。例えば、抑うつ的な人は過去の出来事を何度も想起し、その思いに捉われやすくなっています。このことをネガティブな反すうといいます。このような感情には負の側面が存在し、適切な感情の制御が求められます。

恐れの感情だけでなく、怒りや喜びといった感情も同様です。怒りを制御できない場合は、周囲に混乱を与えたり、パワーハラスメントにもなる可能性があります。喜びもまた、自分の幸せにしてくれるものではありますが、制御できない喜びは無鉄砲さや周囲を不快にさせる行為にもつながってしまう場合もあります。

構成主義理論では、感情は、感情経験そのものの理解や、感情を感じる場面の文化によって構成されるといわれています。また、次元論では、感情を2次元または3次元の空間に布置し、「快―不快」と「覚醒―睡眠」の2次元の組み合わせで、全ての感情を説明します。

基本感情論では、エクマンが6つ(喜び、恐れ、驚き、嫌悪、怒り、悲しみ)を基本感情と呼んでいます。
基本感情はそれぞれの感情が、他と明確に区別できる特異的な整理的反応や表情のパターンを持っています。
例えば、悲しみの感情は、主に左扁桃体と右側頭葉の活動があり、涙を流して顔をしかめるなどの表情の表出がみられます。また、基本感情により生じる表出や認知は、各民族・各文化を超えて普遍なものであると考えらえています。

感情は、その強さや持続時間によって“情動”と“気分”に分類できます。急激に強く発生し、持続時間が短い感情のことを“情動”と呼びます。対して、弱いが持続的に続く感情の事を“気分”と呼びます。

感情と動機付けでは、例えば“不安”は危険を回避する行動の動機づけを、“恐れ”は逃走への動機づけを高めます。このように、感情がさまざまな行動や体験と関連づけられていることを「感情ネットワークモデル」といいます。感情が喚起されると、その感情に関連づいた行動や体験が活性化することで、判断や記憶などの処理が促進されます。

「感情ネットワークモデル」を活用しマネジメントに活かしていただけたら幸いです。

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