新奇恐怖症

2007年6月22日 金曜日

早嶋です。



「私は最近、消費者が有名ブランドを選択し、そうでないブランドを避ける行動は、動物行動学者が呼ぶところのネオフォビア(新奇恐怖症:未知なるものをさけること)に近いのではないかと思っている。」こちらは、ロンドン・ビジネススクール助教授でマーケティング担当のDaniel G Goldstein氏の発言です(Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2007年 07月号 )。



本紙では、消費者理解のマーケテインングがテーマで、消費者の「新奇恐怖症」について面白い記事でしたので紹介します。



消費者が新奇恐怖症に近い行動を取る例を、次の2つで説明しています。1)航空会社の例、2)ピーナッツ・バターの例。



1)航空会社の例

最近、消費者は自分が知っている航空会社を、聞いたことがない航空会社よりも安全だと信じている事が分かったそうです。ここで注目すべき点は、知っている航空会社が例え評判が悪く、安全記録に問題があり、発展途上国に本社があるという事実を知らされたとしても、ほとんどの方が考えを変えなかった事です。

つまり、「認知度はリスクよりも強力な判断要因」となっている事がいえるのです。



2)ピーナッツ・バターの例

あるピーナッツ・バターの試食テストで、無名のブランドのラベルを貼ったものと有名ブランドのラベルを貼ったものを試食して味の評価を試みました。どちらも中身は同じ味のピーナッツ・バター。

結果、無名ブランドを「おいしい」と評価したのは20%程度、一方、有名ブランドを「おいしい」と評価したのは73%もいたそうです。



上記の事例からも分かるとおり、消費者の行動は単純で、「知っているものと知らないものを選ぶとき、たとえ問題があったとしても、知っている方を選ぶ」となります。そこで、本原則を前提として無名ブランドを消費者に認知させるためにはどのようにしたらよいのか?という事を結論つけています。その方法とは、1)買い手に時間を与える、2)比較対照を示す、3)カテゴリーを変える。です。



1)買い手に時間を与える

新奇恐怖症が起こりやすい状況は、短い時間の中で選択を迫られるときです。つまり、無名なブランドであれば、即決して購買する状況を意図的に避けさせる工夫をすると良いということです。消費者行動論でも、評価・選択のフェーズは重要視されているので理解しやすいと思います。

商店などで応用する場合は、消費者がのんびりと比較検討できるように落ち着いた場所に陳列するなどです。また、B2Bでも、営業活動の早い段階から見込み客のスケジュールを押えて購買部門に顔を売っておくことで知らないといって無視されることが少なくなるでしょう。



2)比較対照を示す

無名であっても有名ブランドとの違いや特徴を一覧できる工夫をすると、認知に頼らない選択をしてもらうことができます。逆に考えれば、比較対照できない場合は、無名ブランドの場合、ブランドの認知度によって購買されなくなるのです。



3)カテゴリーを変える

こちらはマーケティングで言うターゲットを絞ることにもつながります。例えば、大手が乱立するハウスメーカーの中で無名で戦うのではなく、「うちは注文住宅専門です」とカテゴリを絞り込む例です。

正当な理由があればクライアントにとって無名はマイナス要因でなくなるのです。つまり専門化してる事によって、無名でもハードルが低くなります。また、専門化していれば、ライバルも無名が多いので認知度が差別化要因にならないと考える事も出来ます。



旧来の考えでは、ブランドの認知度を高めるために、広告とPRに注力するのが定石でしたが、コストがかかることは否めません。そこで、上記の3つの方法を検討して見たらいかがでしょうか?と結論づけています。こちらの方法は、コストがかからず、営業の段階から実施する事ができるのです。



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