早嶋です。
連休と連休の間をつなげてロングバケーションを楽しんでいる方もいらっしゃると思いますが、皆様はいかがお過ごしですか?
ブログ「ペルソナ」「ペルソナとイメージング」では、ペルソナを使ったマーケティングを少し紹介しました。今回は、Q&A方式でペルソナに対して更に深く考えて見ます。
●そもそもペルソナって何?
想像上の人物描写で、その商品(製品、サービスを含む、以下商品)のユーザー像やその商品のユーザに関わるデータなどを関係各社が共通して持つ認識を具現化したもの。詳細は、上記のペルソナを参照下さい。
●どうしてペルソナを作るの?ユーザーのことを話合うのではダメなの?
もちろん、ユーザーのことを話し合うことは重要なことです。しかし、ユーザー自体、商品を使う人を適切に表現している言葉ではありません。ペルソナは、ユーザーと違って、個々の人物描写を行ったモノです。例えば、開発プロセスにおいてペルソナを作成、使用する事で、ユーザーの姿が明確になり、提供する価値の焦点(ポジショニング)が明確になります。話合っただけでは、イメージとして残りにくいですよね。
とある小売業での話です。そこでは、常にお客様第一!というスローガンがあり、全社員に浸透していました。そこで、「お客様ってどのような方ですか?」と質問しました。唐突な質問でしたので、「・・・」。
様々な社員の方、役職の方に同じ質問をしました。かえってきたお客様像は、皆ばらばらです。お客様という言葉は非常に便利ですが、姿が見えません、姿が見えない人に対して、何を提供すると良いのか?これはとてもタフなことですね。ペルソナは、お客様と流されている部分をまさに、見える化するツールでもあるのです。
●ペルソナは全てのユーザーの代表となりえるの?
No!、ペルソナは全ての顧客やユーザの代表にはなりません、また、なるべきでもありません。ペルソナはあくまで、商品やビジネスを成功に導くために重要と位置付けられたユーザーセグメントやマーケットセグメントの中に存在する人物の代表だからです。
つまり、マーケティング活動のセグメンテーションやターゲティングという作業が行われた上で、よりターゲットを明確にするためのツールとして考えた方が良いのです。
●じゃ、実在の人物を選んで、その人に合わせて商品を提供したほうが良いのでは?
ペルソナを作って商品を開発・提供する事と、実在の1人に対して開発・提供する事はまったく別次元のことです。実在の人物はその人の癖を持っていますが、ペルソナはファクト(データ)から導きだされた特徴のみを持っているからです。
これは商品開発やプロモーションの方法を決定するときに重要な意味を持ちます。ペルソナによって、実在の人物の個人的な好みや経験などに影響されずに、多くのユーザーが持つ重要な特徴に焦点を当てることが可能になるからです。
ペルソナは、事実に基づいたデータセットの中から抽出した情報を元に、名前や顔、行動特性などの傾向を明らかにするためのツールなのです。
●商品が多岐にわたって使用される場合は、全てのユーザーを網羅するようなペルソナを作るべきでは?たった一人のペルソナでは筋が通らないよ!
Yes!、その通りです。
ただし。1人の好みに合わせて商品化することも現実的ではなければ、万人にとって好ましい商品を作るのも現実的ではありません。ここでもやはり、マーケティングのポジショニングの作業が重要になってきます。つまり、特定のユーザーに対して自社が提供できる価値を最大にするためにどのような位置付けを行うか?です。
そして、その提供するターゲット層が複数ある場合は、その層に対してペルソナを作成していけばよいのです。その意味でのYesです。
2008年4月 のアーカイブ
ペルソナQ&A
クリティカルシンキング(how)
早嶋です。
クリティカルシンキングに関して、What、Whyとそれぞれについてコメントしたので、今回は、Howについてです。
クリティカルシンキングの基本は、ずばり3つです。1)目的は何かを常に意識する、2)論点や考えるべきこと(イシュー)を踏まえたうえでフレームワーク(考える枠組み)を考える、そして3)おかれた状況で考える、です。
1)目的は何かを常に意識する
簡単なようで、意識しなければ抜けてしまう視点です。特に、分けが分からない状況になれば、「何が目的だっけ?」となることが多いと思います。そこで、「目的は何か?」を常に意識するように心がけるのです。
目的が不明確であったり曖昧であったりすると、本来の目的を見失うだけではなく、せっかく達成したゴールもあまり意味の無いものになってしまいます。
例えば、顧客満足度を調べて商品にフィードバックしよう!という目的で、満足度に関するアンケートを行うとします。どのようにアンケートを取るべきか?とあれやこれや議論しているうちに、アンケートを取ること自体が目的になる事が良くあります。「何のためのアンケートだっけ?」ゴールが明確であれば、全体を俯瞰した考えが出来るようになります。
会議が多い会社では、会議の中で何かを解決する事よりも、会議をした事実に満足して仕事をした気分に浸ることもあるかもしれません。大企業病と言われる背景も、各人が目的を明確に持っていないことが要因だと感じます。
2)イシューを踏まえたうえで考える枠組みを考える
目的を明確にした後、そのための細部を考えるフェーズです。目的が明確であれば方向性が明確になります、そして更にポイントを絞るために、どのような項目について考えればよいかの枠組み(フレーム)を考えます。
身近な例では、5W2Hがあります。何かのプロジェクトを実行しようと目的が定まったとします。では、何を明確にすると良いか?というときに、5W2Hを考えると思います。
Why(目的:なんのために行うのか?)
What(課題:何をどの程度するのか?)
Where(対象範囲:どこを対象範に行うのか?)
When(実現時期:いつからいつまでに行うのか?)
Who(実現体制:誰がどのような体制で行うのか?)
How(実現手段:どのような手段で行うのか?)
How much(必要費用:実現するためにはどの程度の費用が必要なのか?)
考える要素がマーケティングの項目であれば、有名なマーケティング・ミックス(4P)を考えると良いですし、市場分析を行うときは“>3Cを考えると良いかも知れません。状況に応じて、適切なフレームワークを探し出すと、非常にパワフルな思考が行えます。
もちろん、フレームワークは知っている事に越したことはありませんが、知らなくても作ることが出来ます。例えば、車を購入するとします。車を比較するときに、自分の中で比較する視点を作るのです。ブランド、価格、車幅や車高などのサイズ、色、排気量、などです。一度視点を設定したら、候補の車に関して、それぞれ視点を比較sるうだけでも随分と短時間で深い検討をする事が出来るでしょう。
闇雲にフレームを使うより、目的に応じてどのような視点で考えるのが良いか?と枠組みから考えていくのがポイントです。
3)おかれた状況で考える
最後は、自分の思考の癖を意識したり、相手の思考の癖を意識したりすることです。Whatの部分で記述しましたが、人は思考に関して何らかの癖を持っています。それは、過去の経験や学習、価値観によって形成されているものです。人間の進化の中で、毎回、論理的な思考をするよりも、自分の中にパターンを持って要領よく考えるためショートカットする癖かも知れません。この状況を見極めるのです。
例えば、ある人が、「円が安くなるからホンダの株を買おう!」と話しました。この発言を聞いた人は、頭の中で次のような展開を行いました。
1)円安⇒輸出品の価格競争力が向上⇒売上が上昇する
2)円安⇒自動車の売上も上昇する
3)ホンダ⇒自動車メーカー⇒ホンダの売上も上昇する
4)売上増⇒株価に反映して株価が上がる
5)ホンダも株価も上昇する⇒ホンダの株を買おう!
仮に、経済や株といった背景に知識が乏しい人と話をする場合、上記の内容をショートカットして「円が安くなるからホンダの株を買おう!」と話しても理解してもらえないですが、逆にある程度の知識のある人であれば、すぐ理解するでしょう。
自分と相手の置かれた状況に応じて柔軟に対応するとは、上記のようなミス・リーディングを減少することにもつながります。「自分の判断に影響を与えている価値観や環境、嗜好はどのようなモノがあるか?」自分に問いかけたり、他人に聞いて見たりして自分の癖を知ることで訓練する事が出来ると思います。
クリティカルシンキングのような思考は、これまでの日本の教育では皆無です。しかしながら、ビジネスシーンでは強力に力を発揮するツールです。是非、日ごろから意識して実につけて見てはいかがでしょうか?
シフト
早嶋です。
中国とドイツを風刺した画像です、実に面白いので紹介します。1970年代のドイツ。モータリゼーションの到来で皆が自動車を買い求めました。一方、当時の中国では自転車が盛んでした。
2006年。ドイツでは、環境問題からエコブームになり、自動車から自転車への転換が盛り上がっています。一方、中国ではモータリゼーションがやってきて皆が自動車に夢中です。
ドイツと中国、全く逆転していますね。先進国と発展途上国。環境問題を背景に先進国では、自然の力を利用した乗り物が再び注目を集めています。
例えば、馬の活用。これまで警察が馬に乗って町をパトロールしたり、大きなイベントのときに治安部隊に騎馬体が参加する姿はヨーロッパでもメジャーでした。近年、この広がりは幅が出てきています。フランス、ノルマンディー地方のトゥルービル市では、分別ごみの収集に馬車が活用されています。走っては止まり、ごみを回収して、再び走ってすぐ止まる。ごみを収集する活動はどうしても空気や音の公害を撒き散らします。そこで、市長の英断によって馬車を活用したのです。
日本でも、観光地や平地の多い主要都市では、タクシーの代わりに三輪自転車のタクシーが増えています。環境問題によって、自然に優しい動力源が再び注目を集めているのです。
クリティカルシンキング(why)
早嶋です。
クリティカルシンキング(what)では、クリティカルシンキングって何だろう?ということについてコメントしました。ここでは、Why?なぜ、重要になってきているのだろうか?について書いてみます。
クリティカルシンキングは、物事を正しい方法で正しいレベルまで考える事でしたね。その重要性、Why?について2つの側面、1)時代の変化、2)コミュニケーション効率、について考えました。
1)時代の変化
例えば、15年前の1年間の変化と、今の1年間の変化ではスピードが違うと思います。同じ時間ですが、現在は変化のスピードが速く、過去の情報を参照して未来を考えたりする事が難しくなっています。昨日の成功体験はもはや通用しない時代なのです。
もし、何も考えずに従来通り、型にはまった考え方で進めたり、前例に従った行動を取ったり、情報の受け売りで物事を判断したとしたら?何も付加価値を提供できずに競合に食われるかもしれません。そこで、トヨタの5 times why(なぜなぜ5回)、のように「なぜ、そのように考えるのか?」あるいは、「それは、どのような意味を持つのか?」「そもそも、必要なのか?」などと自分の頭の中に問いかけることによって型から抜け出すことが重要な役割を果たすかも知れません。
クリティカルシンキングは、変化を機会に捉えるのに適しているかもしれません。「例えば、アメリカでの成功事例を見て、日本では成功するだろうか?」とか、「他の業界での成功事例を自分たちの業界で行って見たら?」「もし出来ないとしたら、その理由は何か?」「出来ない理由をクリアするためには、何が必要なのか?」このような問いかけを自問して考え抜く事によって成功の可能性が高まるかも知れませんね。
2)コミュニケーション効率
例えば、15年前の雇用の流動性と、今の雇用の流動性でも変化が生じています。日本企業であっても現在では人材の流動性が高くなり、これまでと違って、立場や発想の違う人とコミュニケーションをとる機会が増えています。阿吽の呼吸で良かった時代と違い、あえて形式化して伝える必要が多くなりました。
暗黙の前提をあえて推し量りながら相互理解を深めるのですから、従来、必要なかったテクニックが求められます。ここにクリティカルシンキングが活用できるのです。もちろん、最終的には、相手を説得したり、何か行動変容を起こしもらわなければならないので、相手の論理や思考回路を理解しなければビジネスにはなりません。
ポール・ポッツ
早嶋です。
久々に全身鳥肌ものの感動を覚えました。ポール・ポッツ。熊本と東京を拠点に仕事をしている友人のファシリテーターから教えていただきました。早速、YouTubeで検索して、そのままCDショップへ。
イギリスのオーディション番組、Britain’s Got Talentで、同番組の審査員兼プロデューサーのサイモン・コーウェル氏に認められ一夜にして大スター。携帯電話のセールスから世界的なオペラ歌手の誕生の瞬間は、まるで映画のようです。
ポッツがステージに立ったとき、3人の審査員は「何しに来てるんだ、お前?」とかなり小ばかにしたイメージ。質問も、今日は何をするの?とそっけない。
その前のインタビューでは、ポッツは次のようなとこを話しています。これがまた素晴らしい。「夢は生きがいと感じることを仕事にすること。いつも歌を仕事に出来たらと願ってました。僕はいつも自身が持てづにつばづいている、完全に自分に自身がもてない・・・。」この印象とポッツの不安な表情にエールを送りたくなるでしょう。
しかし、歌いだすと全てがかわります。全身がしびれるような感覚を覚え、誰もが感動するでしょう。歌い終わった後の審査員のコメントが最高です。「君は携帯電話会社に勤めていて、それであれを歌ったの?全く期待していなかったよ、君を本当に素晴らしいと思うよ。」「これはダイアモンドになる原石の塊というケースよ。」
素晴らしい!
クリティカルシンキング(what)
早嶋です。
クリティカルシンキングって言葉を耳にしたことありますか?聞き慣れないことばかも知れませんね。クリティカル(critical)は次のような意味を持ちます。
批評{ひひょう}の、酷評的{こくひょう てき}な、批判的{ひはんてき}な、非難{ひなん}の、危機的{きき てき}な、危機{きき}の、重大{じゅうだい}な
(参照:英辞郎 on the web)
と言うことで、クリティカルシンキングの直訳は、「批判的な思考」であったり、「酷評的な思考」であったりします。ただ、クリティカルシンキングのクリティカル、つまり批判の対象は自分自身の考えです。もう少し言えば、自分が正しく論理的に、そして構造的に考えているかどうかを批判しながら思考を深めて行くことがクリティカルシンキングです。
思考をスポーツで置き換えて考えると、少し分かりやすくなります。例えば、ランニング。自分が走っている姿を映像化して確認する事によってフォームを修正する事ができます。フォームを修正してより理想的なフォームを作ることで楽に早く走る事が出来るでしょう。
スポーツ全般に言えることですが、素人が思うままに始めて上達する事は可能ですが、科学的に裏つけたトレーニングカリキュラムに従って、良いコーチについて訓練を受けることが出来たとしたら?自分でフォームを矯正するよりも高い次元で身に付くことでしょう。
クリティカルシンキングは、自分の思想・思考のクセを矯正するツールのようなイメージです。スポーツの例と同様に、日々の思考の繰り返しによって高いレベルの思考機能を得ることが出来るでしょう。しかし、更に高いレベルにしたり、自身の思考のクセを矯正する事によってより物事を正しい方法で正しいレベルで考えていこう!というものなのです。
コンバース100年
早嶋です。
大小、個人企業を含めて約600万社の会社があり、その中の法人企業は250万。そして30年以上続いている会社は10%もないといいます。その環境の中で100年続く企業はやはり素晴らしい企業だと断言できるでしょう。
100年企業、花王や三菱鉛筆、森永キャラメルなどが相当しますが、今回は、コンバースについてコメントします。
今年100周年を迎えたコンバースでは、「コンバース広告会社」の宣伝部を募集するというユニークなウェブキャンペーンを実施しています。このキャンペーンの題目は「Thank you! Want you!」。ウェブ内に架空会社「コンバース広告会社」を設立し、新入社員という肩書きで社員登録をしたユーザーが、コンバースの宣伝パーソンとして100周年記念を様々な手法を使って宣伝するというプロモーションです。
宣伝パーソンは、宣伝活動の内容に応じてポイントが付与されます。そしてそのポイントに応じて、「課長」や「部長」などと出世する事が出き、さらにポイントを使って毎月発表される付加価値と希少性の高いプレゼントに応募する権利が与えられるのです。そして、最終的に最も宣伝貢献度が高かった社員、つまり、最も多くポイントを貯めたユーザーに対して「社長」の肩書きが与えられ、世界で1足しかない社長専用オールスター(コンバースの主力製品)が贈られます。
因みに社長に認定されたユーザーは静岡支店のTakechi-7社員(ユーザー名?)。社長に就任されたTakechi-7社員にはコンバースより社長専用オールスターがちゃんと贈られたようです。
実にユニークなプロモーション手法ですね。
同質化
早嶋です。
先日、某地方テレビ局で新規事業の可能性について会議をしたときの話です。休憩中の話の展開が人事採用の話になりました。皆がそろえて口にする言葉は、「今年の新入社員は特徴が無く、皆同じなんです。」です。
どうしてかと聞いてみたところ、就職希望者の志望動機は皆「地元密着の番組を作成して・・・」という内容になっており、面接でその具体的な内容について質問しても、「・・・」という状況だそうです。
エントリーシートの中身も、会社のホームページの言葉をちりばめた内容でオリジナル感が無いというか、自分で考えた形跡が見られないそうです。担当者の1人は、「まるで、地方テレビ局の就職マニュアルがあるのではないでしょうか?」と。
近年、情報はGoogleを代表する検索サイトで容易に手に入れることが出来るようになりました。そして、調べたい検索キーワードを入力すると、知りたい情報に即した内容が出てきます。そして、簡単に知りたい情報を手に入れることが出来ます。
検索で情報が入手できることはとても素晴らしいことです。しかし、そのマイナス面が最近の新入社員に影響しているのではないでしょうか?プロジェクションに近い発想かも知れませんが、次のようなイメージです。
検索して情報が手に入る。そして、そこに書かれている内容は、どれも同じようなことが書いてある。例えば、論文を書くときに、例えば、作文を書くときに、頭を使わないでコピペする。文章はすぐに出来てしまうが、考えた形跡がないというか、似たり寄ったりの文章が出来てしまう。
このような繰り返しによって、同質化が起きているのでは?と思います。ちょっと無謀な展開ですかね。
多角化経営
早嶋です。
みなさん、ヤマハ(YAMAHA)って聞いて何を思い浮かべますか?
音楽教室、ピアノ、楽器、ボート、バイク、ゴルフ、エンジン、自動車部品、高級家具、システムキッチン、ネットワーク機器・・・・。音楽やバイクのイメージが強いと思いますが、様々なことを考えたかと思います。多角化しすぎ?と思われたかも知れません。しかし、これ、全てにおいてつながっていると言うか、考えられたと言うか、辻褄が合っているのです。
ヤマハは、もともとピアノメーカーとして産声を上げています。1897年に日本楽器製造株式会社の名のもと、山葉寅楠氏によって創業。以来、ピアノメーカーとして技と経験を積んでいます。では、上記の分野に展開したつながりは何か?それぞれに見てみましょう。
まず、発動機。ヤマハ発動機は、ヤマハのグループ会社ですが05年にはヤマハの売上の2倍以上を稼いでいます。(近年は、買収対策のために株式の譲渡を調整しています。)
さて、ピアノと発動機、どのようなつながりがあったのか?これは、戦争が影響しています。ピアノの製作過程において木工加工が必要でした。実際、ヤマハには木工加工の高い技術が集積し、そこに目を付けた軍が当時、木製のプロペラを作成するように命じます。やがて木製のプロペラは金属性に変わり、その技術が発動機の母体となったのです。
木工加工の技術は、プロペラのみに留まらず、そのまま家具を作る技術にも活かされました。これは今日の高級システムキッチンや、車のダッシュボードなど高級自動車の木工パネルの事業の原点になります。
時代が前後しますが、半導体のつながりを見て見ましょう。これも楽器が大きく関係しています。1960年代当時、ピアノの需要は大きくなり始めますが、大きなピアノを家庭におけるスペースがありません。そこで、エレクトーンやシンセサイザーの原点となる電子ピアノの開発が進められたのです。これらの楽器は場所をとらないので爆発的な売上につながります。そうです、ここで電子技術やトランジスタといった技術力が蓄積され、今日の半導体技術の事業に結びついているのです。
携帯の音源に使われているMIDI規格もヤマハが規格制定企業と言うことで納得ですね。因みにこの半導体技術は、現在、ネットワーク機器(ルーターなど)、オーディオ機器といったAV・IT事業の礎になっています。
ここまで読んで、でも何となくじゃない?と思われたかも知れません。しかし、上記の分野が意図的に展開されている事実が現在の多角化を作り上げたヤマハの4代目の言葉にあります。戦後すぐにアメリカを訪問した4代目、川上源一氏は次のように発言しています、「日本にエビキュロスを!」
エビキュロス、快楽主義VS禁欲主義でも似た言葉を書きましたが快楽主義者を意味します。4代目の源一氏は戦後の日本にレジャー産業が必ず必要になる!と感じたのです。そこで、既にあった技術を応用して、積極的にレジャー産業に乗り出したのです。つまり、ヤマハの事業ドメインが明確に音楽でも、バイクでもなく、レジャー産業となり多角化経営に乗り出した瞬間です。
ヤマハ発動機でエンジンを作るときの技術でFRPの技術がありました。レジャーという展開から、これを応用してアーチェリーを作ります。そして、同じ素材で適応できるスキー板などの製造も始めます。これも納得。
ボートや船外機も、発動機の技術を応用しているのは言うまでも無いですね。特に、スノーモービルやジェットスキーのようなマシンはまさにレジャーを代表する商品、他にもゴルフやゴルフそのものを楽しめる施設の運営やリゾート施設の運営もドメイン内の事業として展開されています。
こうして見ると、多角化されている事業全てにおいてレジャーという色があり、そしてヤマハの技術を上手く活用していることが分かります。多角化経営を成功するポイントがヤマハには沢山ちりばめられていますね。
BPS開催予告
早嶋です。
BPS(ビジネスプロフェッショナルスクール)情報です。テーマ別コース、BPS基礎コース第4期の開催日時が決定しました。
■テーマ別強化コース
5月17日(土) 13:00-18:00 マーケティング
顧客視点で製品・サービスをデザインしよう!「ペルソナマーケティング入門」
6月28日(土) 13:00-18:00 営業
確実に業績向上につながる「科学的営業の考え方・活かし方」
8月30日(土) 13:00-18:00 コーチング(部下とのコミュニケーション)
継続的に成果を挙げる「ハイ・パフォーマーの育て方・磨き方」
詳細はこちら。
■BPS4期基礎コース
7月2日(水)から8月27日(水)の19時から2時間の日程で開催します。
概要は、以下の4つのテーマを予定しています。
・ビジネス・コミュニケーション ~オーラル編・リテラル編~
・問題発見・解決基礎
・ビジネス統計
・ビジネス・マインド
詳細は、連休明けにWebに掲載いたしますのでお楽しみに。
以上、宣伝でした。
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