Winner’s Curse

2007年12月1日 土曜日

早嶋です。



本日は、1日中、パソコン画面とニラメッコをして、産業廃棄物である廃石膏ボードの最終処分量(埋立)を全国津々浦々の施設を検索して調べていました。



さて、皆さんは石油会社のオーナーだとします。以下のような状況のとき、どのような判断を下しますか?



『どうやら、1つ石油会社が倒産したという情報が入ってきました。そのため、探査開発用に取得してあった土地の一部を手放す可能性が高そうです。皆さんは、前々からその土地に目を付けていて、まさに今がチャンス!』



これまで、その土地に目を付けていたのは皆さんを含め3社でした。そこで、今回の入札も3社程度になるだろうと予想をし、入札価格を10億円と決めていました。ところが、実際はその他に7社が名乗りを上げて、合計10社で競争する事になったのです。



さて、皆さんは入札価格を10億円より上げるか、そのまま出すか、下げるか、どのような判断をされますか?





ここで、直感的に「上げる!」と判断された方が多かったのではないかと思います。入札する人が増えたのだから、入札額を上げなければ土地は手に入らない!と考えたからでしょう。



コレはネットオークションの例を考えると、無視されている大切な考え方があります。それは、誰しもが自分が欲しい入札額よりも少しだけ低い値段で競り落としたいという考えです。



今回の土地は、あくまで探査開発用です。従ってこの土地にいくら石油が埋蔵されているか、誰にも分かりません。当然、多めに見積もる人もいれば、少なめに見積もる人もいるでしょう。



しかし、もし仮に、全員が正しい予測が出来ていたと仮定したら。この場合、誰が競り落とすか?というと、地下の石油埋蔵量を最も多めに見積もった人になります。つまり、競り落とした人は、その土地に対して実際の価格以上の価値を付けた可能性が高いのです。



上記の一連の流れは、Winner’s curse(勝者の呪い)と呼ばれています。今回の土地の例もそうですが、多数の入札者を集めたオークションでも、このように勝者が実は敗者と成り果てることがあるのです。



では、回避するポイントは?それは、競争相手の数が増えた場合には、より控えめに値を付けるということです。これは直感に反しますが、この価値付けは実に合理的なのです。



この手の研究で有名なのは、ノーベル賞にも輝いたRichard H.Thaler氏の著書、The Winner’s Curse, Paradox and Anomalies of Economic Lifeです。



興味を持った方は是非!



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