原です。
日本人の多くの方が、交渉は苦手という意識があります。
それは、交渉とは何なのか?交渉の心構えや準備、交渉の技術を学ぶ機会がなかったからです。交渉学は、米国のハーバード大学で生まれた学問ですが、日本では交渉術を学ぶ機会が少ないのが現状です。
一方で、近江商人の「三方良し」という言葉が有名ですが、これは、「自分よし。相手よし。世間よし。」という考え方で交渉術に類似しています。日本人は交渉が苦手と思い込むことはないのです。
交渉術の目的は、交渉とは「勝ち負け」ではなく、双方の価値が最大になる範囲で交渉を成立させることです。つまり、win₋win(お互いの得)の関係を築くことなのです。そのためには、相手が好きか嫌いかなどの感情論ではなく、交渉の目的に集中し、対話の技法と双方の問題を解決していく創造的問題解決思考が必要となります。
交渉術を学ぶことで、交渉は苦手という意識から、交渉が得意という意識に変わり、不安やストレスを和らげながら交渉に望むことができるようになります。
また、交渉は「勝ち負け」から「お互いの価値、共通の利益」が目的であるという考え方に転換できることで継続的な関係を築くことができるようになり、現在だけでなく将来の大きな利益の獲得が可能になります。さらに、営業トークや話術などのテクニックではなく、感情に流されずに客観的かつ冷静な態度で行うことでき、交渉の主導権を保ちながら相手をリードしていくことが可能となります。
私は、現代の日本人に足りないものは、近江商人のような枠を超えた発想力であると考えます。
三方よしは理想論ではなく、過去に実践されたビジネスモデルであり、現代でも通用するビジネス哲学なのです。
2015年10月22日 のアーカイブ
交渉術は、創造的問題解決
失敗の共有とPMIの重要性
早嶋です。
国内企業が成長戦略を掲げる場合、M&Aは必須の戦略の一手です。CFOの直下に専門部隊をおき、社内のM&Aのノウハウを蓄積することがポイントです。
日本は少子高齢化に伴い国内市場が縮小しています。多くの企業が成長戦略を掲げていますが企業の内部リソースでの成長(organic growth)だけでは難しい状況です。従って、業界の再編を進める、あるいは海外進出という選択肢は避けることが出来ません。この場合、自分以外のリソースでの成長(artificial growth)となります。この時に重要になるのがM&Aの知識やノウハウです。
トムソン・ロイターによれば、2015年上半期の日本企業のM&Aは過去最高のスピードで活発になっていることがわかります。「2015年上半期(1~6月期)のM&Aレビューレポートによると、同期間の全世界のM&Aは総額2兆2,402億ドルとなりました。前年同期比で約40%増、引き続き全世界的に企業買収や投資活動で活況を呈しています。また、日本企業による海外企業の買収・投資活動も前年同期比で9.2%増と益々活発化しています。」
参照:http://viewpoint.thomsonreutersjapan.jp/post/123517774629/2015年上半期ma概況日本企業による海外企業の買収投資活動は引き続き活況
業界再編の動きでは、食品や石油、IT業界で大型M&Aが多く起こっています。また、大企業に加えて中堅、中小企業がM&Aを戦略の一手として活用する事例も増加しています。
M&Aを積極的に活用している企業は、小さなM&Aで経験やノウハウを企業内部に蓄積しています。その際、成功事例だけではなく、企業の中で起こった失敗事例を積み重ねることが重要です。しかし実際は失敗したとたん、社内で最もM&Aがわかっていた方がその企業の中でまともに仕事が出来ない状態にするのが典型的な日本企業です。トップはM&Aに理解を示し、成功と失敗を踏まえて柔軟に理解を示す必要があります。
通常、M&Aの譲渡価格は企業価値分に加えてプレミアム分が30%から60%程度ついています。このことを考えるとM&Aを行った時点でマイナスからスタートしていることになります。従って、M&Aをすることで30%から60%以上のシナジーを出して初めて成功といえます。ということは、被買収企業の経営に対してダイナミックに変更を加える必要があります。例えば、購買部門や開発部門を統合するとか、被買収企業の経営人を入れ替えて買収企業の手法で経営の舵取りを行うなのです。
通常、このようなM&A後の活動をPMIと呼びますが、成功している企業の多くはこの活動に対しての準備をM&Aの交渉の途中から初めて、譲渡契約を締結して案件がクロージングして100日以内に実施しています。
このよな特徴から、M&Aに精通している企業は、M&Aの部隊をCFO直下におき専門組織を内製化しています。事業部毎にM&Aの部隊をおくと、事業部毎にノウハウが分散したり、買うことが目的になって契約締結時点で都合が悪い状態になるのを防ぐためです。専門部隊は、各事業部の個別案件の支援や外部アドバイザーの友好的な活用をしながら社内のM&Aをすすめているのです。
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