あたりをつける情報を得て「仮説」を考える

2019年5月13日 月曜日

原です。

今回は、前回ブログ(素直に顧客の声を聞く大切さ)で述べてきた顧客の声を聞くためのインタビュー調査は、いったい何のために行うのかを整理してみます。

なぜ、顧客の声を聞くのかについては、問題解決となる「仮説の抽出」を主な目的としています。
仮説とは、「仮の答え」です。「はっきりと分かっていないことについての自分なりの答え」です。
こうした仮説を持つことは重要です。それは、顧客がある商品に対して満足していること、不満足なこと、期待していることなどについて、「おそらくこういう意識や実態があるのだろう」と仮説を持つことで課題が絞られるので、分析や問題解決策立案がスムーズになります。
あるいは、答えが分からないから調査をするのに、「どうして仮説が必要なの」と思われる方がいるかもしれません。それは、できるだけ多くの情報を集めて、それらを分析してから、真の問題を発見し解決策を出そうとします。そうした場合、実際に起こることは時間切れです。
筆者も若い頃、事業計画を立案する時に、とにかく情報収集して分析すれば解決策が立案できると思っていました。結果的には、情報の氾濫で期限が近づき、過去の計画に少し修正を加えた程度で終わる恥ずかしい結果となりました。
仮説がないと、根拠もなくただ何となくインターネット検索、アンケート作成、顧客への質問などの情報収集や分析だけで時間が過ぎます。

一方、まったく何も情報がないなかでは仮説も立てられません。ざっくりと「あたり」をつけるための情報が必要になります。
そこで、インタビュー調査での仮説抽出が役立つのです。すでにある情報や知識の範囲で仮説を立てることも可能ですが、顧客の声を参考にすることで、予想もしていない仮説が導き出せることがあります。

また、人は誰でも思い込みがあります。「我が社の問題は他人に言われなくても分かっている。理由はこれしかない。解決策はこれしかない。」など「これしかない」と言われる人がいます。しかし、仕事の失敗の多くは、この「思い込み」があるからだと筆者は考えます。
だから、仮説を抽出するためには、生産者や販売者、コンサルタントの先入観にとらわれない顧客の自由な発言が役に立ちます。つまり、対面で顧客に聞くインタビューが有効です。

このように、仮説思考を使えば、手元にある少ない情報だけで、最初にストーリーの全体構成をつくることができます。事実が不十分でも、「真の問題はここにあり、その答えはこういうことだ」と全体的なストーリーを考えることができます。自分が作った仮説ストーリーを検証するために必要な事実だけ集めればいいので、無駄な分析や情報収集の必要がなくなり、非常に効率が良くなります。




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