解決の前に真の問題を考える

2019年5月9日 木曜日

原です。

成果を出すコンサルタントとは問題解決が上手なコンサルタントではなく、顧客が何に悩んでいるかが分かるコンサルタントです。

ビジネスにおいて本当に大事なことは、やることとやらないことを決めることです。企業は多くの問題を抱えていて、その全ての問題を解決しようと思っても、時間や人が足りません。そのような中で解決すべき問題を設定し、それに取り組み、成果をあげなければならないのです。
成果をあげるには、真の問題を選びとることが必要です。真の問題を設定することにより、考えるべきことが絞られ、問題解決のスピードは上がり、解決策を実行したときの効果も高くなります。

ビジネス・コンサルタントの創始者ピーター・ドラッカーは、次のように述べています。「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えを出すことでなく、間違った問いに答えることだ」。

問題解決の大きな流れは、「問題設定→解決策の立案・意思決定→実行・検証→問題解決」となります。もしも、最初の問題設定段階で間違えたら、間違った問題に取り組むことになるので、その後の問題解決の作業を正しくやったところで意味のある結果は出ません。時間と労力だけを大きく消費することになります。
したがって、短期間で答えを出すためには最初の問題設定がとても重要になります。

例えば、既存商品の販売不振を理由に、新製品開発に取り組むことが解決につながるでしょうか。もちろん、解決につながることもあるでしょう。
しかし、既存商品が売れていない真の問題を考えれば、商品以外に販売不振の理由があるのかもしれません。「商品は良いのに接客態度が悪い。商品も接客も良いのに、広告宣伝の仕方が悪く顧客に正しく伝わっていない。」などの多様な理由が考えられます。

調味料販売店の改善事例です。
販売者は、既存調味料の販売不振を理由に新製品(調味料)の開発を考えていました。そして、筆者に新製品開発の相談依頼がありました。
筆者は、新製品開発に取り組む前に、既存商品の何が問題なのかを調査しました。調味料の原材料、味、多様な料理に活用できる用途は顧客から好評でした。一方、顧客の悩みは、多忙な中での料理時間であり、料理時間の短縮が期待されていました。つまり、商品の中身には問題はなく、この調味料を使用すれば料理時間が短縮できる言語がパッケージで明確に伝わっていなかったのです。
販売者は、商品に問題があると思い込んでいたのです。売れるはずの商品が売れていない。もったいないですよね。
筆者は、販売者の思い込みを取り除き、販売不振は商品の中身が問題ではなく、商品の伝え方(商品の外側部分:パッケージ)に問題があることを設定しました。
後の解決策は簡単です。顧客が期待している「料理時間の短縮」を明確に伝えるパッケージ内容に言語を少しだけ改良しました。パッケージ改良後の直近販売数は、対前年比399%の成果が出たのです。今でも販売好調です。
販売者と筆者は、「当たり前のこと」を問題解決に取り入れただけです。

商品が売れないのは問題です。しかし、「顧客が悩んでいることは何なのか。お客の期待をどのように考えるか」により「真の問題」を設定することが必要です。
企業が目指すべき商品の姿は、いかに顧客と問題設定を共有できるかが企業発展の鍵となります。






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