早嶋です。
低成長なら国債発行。財務省は18年度の予算をもとに21年度までの財政見通しをまとめています。経済成長が1.5%の場合、新たに国債を発行して21年度までに35.4兆円まで増やす。3%成長を達成すれば国債発行は増えないと。
うーん。成長率で国債発行をシミュレートするのは重要だが、そもそもプライマリバランスをゼロにするための政府の戦略が乏しい。経済成長は政府がコントロールできると考えると財務省の1.5%と3%のオプションでの国債発行をシミュレートすることは参考になる。
で、どうだろう。2000年から、1.5%を超えている年は2000年、2003年、2004年、2005年、2007年、2010年、2012年、2013年、2017年。3%超えは2010年のみ。
今年に入って、海運3社の業績、経済界の報道とうとう、明るいニュースは確かにあるが、足元として日本と他の国は異なっている。となると1.5%を超えても3%を超える成長を21年まで行うとは考えにくい。ということは国債を発行する方向性は規制路線として考えて良いと思う。
2000年:2.78%
2001年:0.415
2002年:0.12%
2003年:1.53%
2004年:2.21%
2005年:1.66%
2006年:1.42%
2007年:1.65%
2008年:-1.09%
2009年:-5.42%
2010年:4.19%
2011年:-0.12%
2012年:1.50%
2013年:2.00%
2014年:0.34%
2015年:1.11%
2016年:1.03%
2017年:1.51%
※IMF World Economic Outlook Database
2018年1月 のアーカイブ
国債
アーリーステージの資金調達
早嶋です。
アントレプレナーと会うことが多いです。その中で感じることがあります。アーリーステージの段階で資金調達に恵まれ比較的余裕がある組織とブートストラップで自前で資金を調達してかなりギリギリの感じで取り組んでいる組織。
もちろんどちらも一生懸命にビジネスの立ち上げに取り組んでいます。しかし前者はちょっと経費の使い方に疑問があります。なんというか体裁を繕い過ぎているというか、費用の使い方が荒いというか。結果、常に資金調達をしているのですが、使途がビジネスのために消えているのではなく、自分たちの給与や家賃に消えているのです。
もちろんそれらをヘッジするために株式という発想があります。しかしギリギリで行っている企業は、インキュベート施設をうまく活用したり、自宅兼事務所の発想で、資金ショートに備えて目一杯に経費を抑えて、必要な開発にもメリハリをつけてお金を使っています。
この差ってなんでしょう。うん、どちらも成果を出して、株主に還元すると良いのですが、その株主がアーリーステージの場合お友達が多いです。とすると、その資金はひょっとして使い方がルーズでも良いと考えているかもしれません。もし、その資金の使い方が個人保証をした上でのデットだったらどうでしょうか。元本返済と利息を支払えなくなると最悪住んでいるところや全ての資産を金融に抑えられます。きっと、かなりギリギリに金銭をつかうのではないでしょうか。
アーリーステージの資金調達には様々な考え方があると思いますが、テストマーケティングのフェーズでは、少なくともデットの緊張感もあっても良いのかな。と思っている次第です。
人手が余っている組織こそ、人手が不足していると表明する
早嶋です。
『人手が余っている組織こそ、人手が不足していると表明する』。ある経営者と話しをしていた時の我々の大胆な結論です。人手が不足している組織は、10年前の仕事の進め方と今の仕事の進め方が変わっていないのです。
○紙での申請業務等々
○3つ以上の判子の連打
○複数事業部でそれぞれ別のシステムが混在している
○週報、月報などを部長がコピペして事業部長に提出
○PCの持ち帰り制限が過度に強すぎて結局リモート出来ない
○上司の航空券等のチケットアレンジを未だに部下が行う
○議事録の提出に終了後3日以上もかけている
○「あの資料どこだっけ?」が必ず何処かで聞こえてくる
一方、人手が不足している組織は、業務の流れや仕組みそのものをゼロベースで見直さなければ、そもそも顧客対応が出来ません。従って、業務の合理化、効率化、IT化をせざるを得ない状況にあります。また、本来自分たちが行う必要がない仕事は、どんどん外に出すか、標準化して人手がそもそもかからない仕組みに変えています。
が、これは1日で出来る作業ではありません。IT元年の2000年頃から、徐々に構想をはじめ、2007年のスマート革命頃から中小企業でも投資が追いつく金額で合理化が進められるようになりました。それでも、お金が無いのでITゼネコンに丸投げすることなく、自分たちの業務を自分たちで棚卸しし、標準化をあれこれ考える中で組織の意識が徐々に変わっていくのです。10年程度かかった今、たしかに少ない人数でも10年前の数倍以上の仕事効率が出来上がっているのです。
大企業や人手が余っている企業は、なんかあれば丸投げか、余っている人が普段仕事をしていないので、切羽詰まれば普通にこなす。ということで、10年たっても20年たっても何も変わらないままなのです。
そう、人材不足を富めたければ、人を雇うのをストップする。或いは極端に人数を減らすと良いのです。マレーシアに住んでいる学友が昔から言っています。金持ちは考えない。貧乏だから考える。結果的にぬくぬくした環境では、打ち手を知っていても行使しないのです。
なぜ、新卒集団採用を続けるか?
早嶋です。
クライアントの中で急激に成長している会社の人事の方針が素晴らしいです。まず、新入社員の採用を止めました。理由は世の中の大企業が取り組むイノベーションを真剣に実現したいことです。
仮説レベルですが、新入社員でクライアントの企業の門扉を叩く方々は、平均的に見てなんとか雇用の範囲内で可も無く不可もなく仕事をする(結構言いすぎですが)というニュアンスの人材が多く集まります。クライアントはいわゆる大企業なので新人でそのようなポテンシャルを持つ方々が応募する可能性はごくごく少ないからです。更に、教育精度を充実して彼ら彼女らを磨き上げる取り組みをするも、やはりマインドが不足しているのでその投資効果が見込めません。折角力を入れて接していても、合わないということで数年もしない内に退職します。
そこでそもそもなんで新入社員を同時期に雇用して、教育して配属を決めるのか。という問を投げかけを社員同士で徹底的に議論してもらいました。が、結果的に合理的な理由が出ませんでした(皆あたりまえだから、やっている的な)。そこで廃止に。当然、雇用は継続しなければ成長は無いという理解が強いので、代わりに必要な部門が必要なスペックを数年計画で提示して採用する方向に変えました。その際は、新入社員でも中途でもOKです。ただ、時期がバラバラなので結果的に今は中途が多いです。
履歴書は多数送られてきますが、それらを判断する基準を多く設けています。経歴が『右肩上がりか』『右肩さがりか』です。つまり、中途であっても多数ジョブホッピングして、落ち目の傾向がある履歴書は、スルーします。これによって全体の90%の履歴書は本人に理由を示した上で返却します。これを聞いて、90%の人にも可能性があるのでは?と思うかも知れませんが、その判断をしているのは、採用したい、一緒に働くチームのスタッフや社員たちです。
次に、10%に残った方々に対して面接をします。その前に、その会社が大切にしている70項目に渡る心情や哲学を事前に読んでもらい、会社の方針や考え方を知ってもらいます。その時点でも半数がNGを言ってきます。従って100枚の応募に対して5枚の対象者と面談をするというイメージです。
そしてその面談は、その方々を雇用して一緒に働くチームやスタッフが行います。採用に現場が関わることで、本当に必要か否かを考えてもらいます。人材が必要でも中途半端な人が交じるよりは、自分たちの結束を固めて取り組んだほうが効率が上がるし、成果も高い。そのような判断や文化が生まれてきました。また、人手不足だから採用して!と会社に求めることもなくなりました。必要な人材は、社員が長期間のスパンで声をかけるようになっているからです。
一方で、面白い取り組みもしています。人材は不足してから雇用するのでは後手に回ります。通年中途採用でも将来的に必要な人材枠を設けています。この枠に合致するメンバがいれば、現場やスタッフ、或いは担当者からトップや経営陣に通知が行き、面談するか否かの意思決定が行われます。
この仕組によって、現場やスタッフは会社の戦略に応じて、なぜそのような人材を欲するのかを肌で感じるようになり、組織としての連携が生まれている部分があると思っています。
どうでしょう。新入社員という採用の仕方、集団採用というやり方、人事の採用の仕事を現場で兼任するというやり方。自社の人事のあり方を考える切っ掛けになれば幸いです。
同僚、ワトソン君
早嶋です。
AIが出来ることは、様々にあると思いますが、その特徴は1)理解する、2)推論する、そして3)学習することです。
これらの特徴をビジネスで活用する場合、正確な情報を求められる問い合わせに対して、確度が高い答えを根拠とともに答える照会応答が考えられます。電話やメールでの問い合わせなどに対してAIを活用することです。次に、膨大なデータを基に、正解が必ずしも存在しない問に対して答えの候補をリスト化する、或いはその答えのサポートをするような探索や発見が考えられます。医薬の研究などはこれに相当します。そして、特定のケースが規約やガイドポリシーに適合しているかの判断である意思決定支援です。保険の支払いをするか否か、するのであれば満額か一部かの判断やローンの審査などが相当します。
上記のようなビジネス活用をIBMのワトソンは2年間で世界の45カ国、20種類以上の業種に対して導入しています。ワトソンは現在10カ国の言語を理解し、2018年はビジネスの活用が更に本格化されると考えられます。
現在、AIでビジネスの活用が見出しやすい分野は、上述の通り照会応答、意思決定支援、探求発見です。ここに対して、IBMは顧客接点を活用した業務、業務プロセスに関わる業務、新サービスや製品を開発する業務において今後積極的な活用を進めています。
例えば、コールセンタ。音声で記録されているデータをワトソンに取り込み、今後の質問に対してアドバイスを提示する。データを活用してチャットボットを動かし、電話の受付そのものを減少させ、深夜はチャットボットで対応出来るようにする。業務プロセスを分析して人が行わなくてもすむ非効率的な部分をワトソンで置き換える。等々です。
保険の支払いは、保険商品の主目的でもありますが、実際その判断をするのはその道のプロに頼ったサービスでした。何かあって入院、退院した際、患者さんは保険会社に書類を提出します。その書類をベースにこれまで8割り程度は自動で判定が出来ていましたが、残りの2割は判定が困難で専門職に頼っていました。それは、該当する項目が保険の規約に当てはまるかの判断で、適切に行うには保険商材の知識はもちろんのこと、医療、医薬、薬学等々の知識が綜合的に必要です。仮に人間で対応が可能だったとしても今後、そのような高度な判定が出来る人材を育成する時間とコストが議論の対象でした。
みずほ銀行の取り組み事例です。2015年2月にコールセンタのリアルタイム支援に導入されました。顧客から受ける問い合わせに対してリアルタイムでオペレーターに質問の回答に必要な情報を提示するシステムです。導入時は正答率は高くなかったものの、フィードバックループを回して都度学習させ制度を高めていきます。結果的に正答率はあがり、オペレーターの通話対応時間を短縮(平均9分を8分に)、サポートを通じた育成期間の短縮と効果を発揮しています。今後はこの取組を資産運用や相続のサポートへと展開します。当初10席からの導入が今では300席に対してワトソンが使用されています。
ネスレはネスカフェアンバサダの問い合わせや注文にワトソンを活用しています。27万人のコーヒーアンバサダ、450万人の会員から年間100万件に近い問い合わせがありました。問い合わせの殆どが商品に関する質問と機械の使い方や状態に対してです。現在では、その履歴情報をワトソンが学習して殆どの質問に答えるレベルになっているそうです。
フォーラムエンジニアリングは、人材派遣の会社で、エンジニアの仕事のマッチングをワトソンで実現しました。エンジニアの情報をかなり細かい階層までカテゴリ分けして、そこに特徴などを入力。仕事の問い合わせに対して瞬時に候補者を絞り出すのです。
金沢工業大学は学生の自己成長支援に活用しています。過去10年間の学生のデータ、卒業論文、サポート情報など100万件にのぼるデータを連携して、学生の夢や目標を実現させるために活用しています。進級時に将来の職種や夢に対して履修する科目をアドバイスしたり、将来の職種に応じた提案をしたりします。また、ゼミの選択等にも対応しているようです。
現在、ワトソンを活用するためにはネットに繋がったPCがあれば可能な状態までになっています。クラウドを使ったサービスなので自分たちでサーバを準備する必要は無いのです。既にIBMの過去の事例で取り扱っている比較的にAIが活用し易い領域(スイートスポット)に対しては最速で3週間での導入が実現します。企業が準備するデータが問題なければ、システム構築にかかります。スイートスポットの開発はほぼ不要で進める案件もあります。データがない場合や、アセスメントが必要な場合はIBMが関わってコンサルするサービスもあります。準備が整ったらデータをワトソンに読み込みトレーニングを開始します。入出力の正解例を作成していくのです。そして、ある程度出来上がったらテストを繰り返し、間違っている場合は適切な答えを教え込む取り組みを繰り返します。これを要求レベルに満たすまで繰り返すと本番稼働となります。
高値の野菜はしばらく続く
早嶋です。
年末年始は、野菜が高いと思っていましたが盆暮れ正月の影響ではなく天候からくる高値ですね。都内の大田市場の卸値は前年比と比較してレタスが3倍、大根や白菜は3割から5割程度高くなっています。11月以降、農産地(静岡や香川)での少雨と低温が続き育成が遅れているのが理由のようです。
JA静岡経済連のWebを見ると出荷量は例年に比べて3割り程度少ないようです。今年の冬はラニーニャ現象の影響をもろに受ける予測です。福岡でも今朝は雪がチラツキ、木曜はドカブリとの予測もありました。寒さが厳しければ、継続的に出荷量が少なくなるでしょうから、野菜の高値はしばらく続きそうです。
若者のモチベーション
安藤です。
最近、リーダーになりたがらない、地元から離れたくないという若者の傾向があるように感じています。
飲食業、美容師等以前は、自分の店を持つことが夢であり、独立するために早く一人前になるために頑張る
という傾向がありました。しかし、今はリーダーでなくアシスタントのままでいいという若者が増えています。
店舗以外の組織では「管理職になりたくない、一般社員のままでいい」ということです。
理由を聞いてみると、リーダーは嫌わるし、責任も重くなるから面倒だという答えが返ってきます。
アシスタントの方が自分で考えなくて指示を受けていたらいいので楽であるという発想です。また、一人暮らしするより地元志向が増加しているように感じています。要は、地元にいて実家から通うほうが自分で使えるお金が貯まるし、地元の友達、親と離れなくていいという理由からです。
その現象として、仕事の在り方にも影響がでています。例えば、長距離トラックの運転手不足です。若者が「あまり遠くへ行って頑張れない」ということで、国土交通省はトラック運送における「中継輸送」の普及・実用化に向けて、中継輸送実証実験モデル事業を発表しています。
詳細はこちらを→https://autos.goo.ne.jp/news/291470/image.html?news_image_id=1296470
若者の基本的な志向は、自分の時間を大切にしたいという働き方が主流になってきています。
一見、“若者のモチベーションが下がっている”と思われる反面、自分のやりたいことに対しては、時間を惜しまないという側面もあります。ということは、自分のやりたいことと会社から言われていることが一致していれば、モチベーションを持って仕事を成し遂げるということです。
そんな中、スポーツ業界では野球で言えば「チームの優勝をゴールにせずに、選手個人の最高の成長をゴールに考える」とうアプローチに変えているそうです。要は、「みんなのため」で頑張れではなく、「自分のため」に頑張れという指導です。
「若者の個人主義化」を踏まえ、彼らの本当のモチベーションの源は何なのかを理解するために、マネジメントの在り方として、会議も1対1の対話から始めることが必要かもしれません。
お困りのことがありましたら弊社にご相談ください。
原因論ではなくワクワクする目的論
シニア・コンサルタントの原です。
皆さんは、「アドラー心理学」という学問を知っていますか?
アドラー心理学とは、フロイト、ユングと並んで「心理学の三大巨頭」と称されており、アルフレッド・アドラー博士の創始した心理学です。
アドラー心理学をシンプルに説明すれば、「原因論」ではなく、「目的論」を考え、実行する心理学です。「原因が特定されたところで、必ずしも行動できるようにならない。どうすれば今よりも上手くいくのか?」に意識を向けています。
ある人がたずねました。「人生の意味は何ですか?」
アドラーは答えました。
「一般的な人生の意味はない。人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ。」
アドラーのメッセージには、下記の意味が込められています。
他人からどう思われているかを気にかけ、「嫌われたくない」という思いで生きるのは不自由なことであること。
「分からない」、「できない」を恐れる必要はないこと。
人間関係は優劣のある「縦の関係」ではなく、対等な「横の関係」であること。
私は、自分で決めて行動するためには、自分の「欲望」に向きあう勇気が必要だと考えます。
脳科学の世界では、「欲望」を「ワクワク」と表現することが多いです。
行動したいなら、感情と行動を司る「ワクワクする脳」にアプローチする必要があります。
だからこそ、まずは「自分の欲望」が何なのかを知ることから始めるべきなのです。
2018年からは、「自分が本当にやりたいこと」を1分でも良いので、毎朝または就寝前に考えてみるという第一歩をお勧めします。
森のワクワク塾「まつば」便り(No1)
森のワクワク塾「まつば」便り(No1)
シニア・コンサルタントの原です。
私の専門領域の1つは、問題解決(課題解決含む)です。問題解決は、学校教育の科目では理科の考え方に似ていると言われています。
なぜならば、問題解決はテーマとなる問題を定義し、現状の事実を把握し、問題の原因と解決策となる仮説を考えます。そして、解決策の実験(検証)を行い成功すれば本格実行、失敗すれば再度の仮説を考えることの繰り返しだからです。つまり、理科の実験なのです。
私は、数年前に大分県耶馬溪町の古民家、山林、田畑を親戚から譲り受けました。昔から地域の由来名として「まつば」と呼ばれていたので、そのまま「まつば」と呼ぶことにしました。
「まつば」を売ってほしいという意見もありましたが、私は、せっかく譲り受けた想いのある資産を売ることは全く考えませんでした。それよりも、ビジネスや地域に役に立つ「場」として活用できないかと構想を考えはじめました。
昨年は、古民家の床下や屋根のリノベーションにより、問題解決の合宿の場、宿泊の機能を改善しました。
古民家以外では、庭木、池、田畑、山林、近くには川も流れ、自然豊かな環境が整っています。
更に、地域クラウドファンディングFAAVOを活用して、資金と仲間を募り実験的に体験イベントを実施しました。
2018年からは、問題解決力、仮説検証力の向上を目的に「まつば」の資産を有効活用し実験を繰り返します。
都度、森の中の実験に興味のある仲間を募集していきますので、ご参加を宜しくお願いします。
・地域クラウドファンディングFAAVOの活用事例
https://faavo.jp/oita/project/1797
■2018年「森のワクワク塾」スケジュール(予定)
3月:自然と調和した庭の池づくり、苔(コケ)の植栽
4月:高品質蜂蜜に必要な果樹の植樹
5月:山菜刈りと山菜料理
6月:蛍、昆虫の観察と実験
7月:川に生きる生物の観察と実験
8月:森の音についての実験1
9月:森の音についての実験2
10月:お米の加工と実験
11月:野生動物の生態と実験
※毎月1回、休日に実施します。内容は変更になる場合がございます。
世界経済の回復、日本はどうか?
早嶋です。
2018年の初投稿は辛口な考察です。
世界経済は緩やかに回復に向かっています。世界の株式市場も好調で富裕層や中間層の増加と共に資産運用も膨れ上がっています。日本を除く主要な各国の金融政策も正常化に進む兆しが見えてきました。一方で、日本のように企業と家計があまりお金を使わない現象が観察されはじめ物価や景気が刺激されにくい世界となっています。
国際金融基金の「World Economic Outlook Database October 2017」によると、世界経済は緩やかに回復していることが分かります。新進国や地域のGDPの成長率は2016年実績値と比較して2017年の見通しは成長を遂げています。これは新興国や地域、BRICsで見ても同じ傾向を観察できます。
一方で世界経済における新興国の存在感が高まり、世の中の経済は北米、EU、中国の三極体制になりつつあります。2015年実績で世界のGDPに占める先進国と新興国の割合は61:39で1980年代の80:20から比較すると新興国のGDPが進捗していることが分かります。
その大きな要因はやはり中国経済です。2015年実績で世界のGDPに占める割合は、米国24、EU22、中国15、日本6、その他33となっています。1980年代の中国は一桁の前半でしたので中国の近年の急成長がみてとれます。
PWCの調査レポート「Asset & Wealth Management revolution:Embracing Exponential Change」によると世界的に株式市場が好調です。先進国の高齢化や新興国における中間層の台頭によって、世界の運用資産は2025年に145兆ドルと現在の世界の国内総生産の約2倍に達する見通しです。
各種調査資料を見てみると、米国、英国、EU、中国、日本の金融政策で日本を除く他の主要国の金融政策は正常化に向かうことが推定できます。米国は正常化へ向かい、2017年10月のインフレ率が2.0%です。政策金利も1.00%から1.25%で2018年は3回程度の利上げを実施する見込みです。財政問題を挙げるとすると自動車、学生、クレジットの残高が高まっていることが懸念事項です。
英国は金融緩和政策の縮小を開始しました。2017年10月のインフレ率は3.0%で政策金利は0.50%です。昨年の11月に金融危機後はじめてのとなる政策金利の引き上げを実施しています。英国の財政問題としてはポンド安によって物価高と景気への悪影響があることです。
EUは2018年以降の量的金融緩和政策の縮小を決定しています。2017年10月のインフレ率は1.4%で政策金利は0.00%です。超低金利政策は維持で2018年9月以降の緩和延長を検討する方針が示されていました。
中国は金融緩和から中立の状態に移行しています。2017年10月のインフレ率は1.9%で政策金利は4.35%です。政策金利は短期市場の金利を高めに誘導して金融監督を強化しています。懸念事項としては地方債務残高が2016年末時点で260兆円規模まで増加していることです。こうして眺めてみると、日本は金融緩和を継続する方向を示し、他の主要国は金融政策を正常化に向けて進めていることが分かります。
世界銀行が出している資料を見ると2008年のリーマンショックを皮切りに世界の通貨供給量が世界のGDPを上回っていることが分かります。2015年時点の世界の通貨供給量は約88兆ドルに対して、世界のGDPは約75兆円でした。
超マクロ的な考察をすると世界の中央銀行はお金の供給を増やし続けましたが、企業や家計は内側に貯め込むばかりで外の経済に刺激を与えませんでした。これはこれまでの常識と異なり、お金が余っている状態を作っても人々が消費行動に走らなくなっているのです。
背景としては、やや粗い考察になりますが企業と家計で次のように考えることができます。企業や産業は、一昔に代表される重厚長大産業のように大規模な設備投資をせずにデジタル化、或はデジタル関連の産業が増えてきました。また、資産を所有する発想から、シェアすることで、複数で資産を共有するエコシステムが確立しつつあるのです。
同様に、家計や消費では、長寿社会に向け社会全体が老後に向けた貯蓄に励む思考が高まっているのです。また、若年層の失業率は高止まりをしており消費意欲の抑制になっているのです。
結果的に世界的に見ても企業も家計もあまりお金を使わない状況が続き、通貨供給が高まった状態であっても物価や景気が刺激されにくい状態になっているのです。
さて、そのようなマクロ環境下において日本はどのような状態になるでしょうか。仮に、現在の政府が進めている経済政策が続くと私は経済が悪化するのではと考えます。
現在の働き方改革において、政府は同一労働、同一賃金を打ち出しています。仮にこれが実現できれば、その賃金のベースは何と比較するでしょうか。世の中がスマフォ1つでつながってしまった世界では、賃金のベースは世界で比較することになります。もしそうなると、例えば、1時間当たりのタイピングの仕事は800円とか1,000円とかが正しいのではなく、世界の基準になった場合は、日本の料金が高すぎるとなり、結果、そのような仕事は海外にどんどん流出する結果を招くでしょう。
現在の生産性革命に対してです。基本的に日本国内の仕事はブルーカラーのように時間で仕事を確認できる内容と、ホワイトカラーの仕事に2分することができます。ブルーカラーの仕事に対しては機械化の導入が早くから進められているため生産性は比較的に高い状態になっています。従って、意図的に生産性革命の白羽の矢はホワイトカラーにフォーカスされます。
このように考えるとホワイトカラーの仕事も実は2種類あることが見えてきます。いわゆるマニュアルに落とせ、ある程度再現性が高い仕事です。極端な話、コールセンターや事務処理のような仕事です。そしてもう一つはその対極の企画やアイデア出し、戦略立案のように創造的に進めなければならない仕事です。
仮に生産性革命が進めば、後者の仕事は効率化や標準化が難しいことから前者の仕事に対して少ないインプットで同等、もしくはそれ以上の成果を出す取り組みがはじまります。これはホワイトカラーの仕事が大量になくなることを意味するのです。
更に、大企業を中心にホワイトカラーの創造的な仕事の区切りを全くなしに残業制限がかかっています。創造的な仕事は時間をかけたからといって良い成果が出る類の仕事ではありません。しかし、この区分けなく一律残業カットをすると大企業は創造的な仕事を外注してグループ会社か協力会社に投げる方向性になります。
仮に残業時間60時間の上限が定着したとすると、これまで支払っていた残業代が8.5兆円規模で経済からでていくことになります。この学区は日本のGDP比率で1.5%程度です。多くの家計調査が示す通りこれまで日本の家計は残業とボーナスが基本給のように捉えられてきたので、結果給与全体の原資が現象する方向になるのです。
そのために国は人づくり革命を両輪として挙げていますが、教育費の無償化が前面にあるだけで、どのような人材像を作る必要があるかの議論が薄いと思っています。総合して考えると、生産性革命によりホワイトカラーの失業が増えます。更に残業規制でベースとしての給与も減少します。結果、家計の所得が減るため、日本はデフレ脱却どころか更なる経済悪化を招く懸念があるのです。
世界経済は緩やかに回復していると言って、日本も明るいと考えない方が良いのです。これはマクロ環境と日本の現在の経済政策を見て総合的に考えた結果ですので、全て上記のとおり進むわけではありません。従って各自としては、自ら創造的に事業をつくる側にいて、定型業務として何かに置き換わられることがないような能力や知恵を常に身に付けアップデートし続けることが大切です。
参考資料: 各種資料、統計データ
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