早嶋です。
東芝、富士通、VAIOの3社、やはり統合の交渉が白紙に。そりゃそうだ、というのが感想だ。日経によれば、「東芝、富士通両社のパソコン事業とソニーから独立したVAIOを統合する交渉の合意が難しくなり、構想を白紙に戻す見通しとなった。(2016年4月15日:日本経済新聞)」
従来の計画では、東芝、富士通、VIOのPC事業を持ち株会社の下に統合してシナジーを出そうというもの。しかし、3つのブランドは維持する。東芝は中国工場を売却して生産から撤退する。富士通はドイツ工場を撤退する。VAIOの長野工場は富士通の島根工場に生産拠点を集約化する。という構想だった。そしてそれぞれのブランドは個別に継続するのだ。
国内のノートPCの満足度、日経パソコンなどの資料を参考にすれば、常にパナソニックが首位に来て、次いでVAIO。東芝や富士通は一定の評価を受けているが、中身が同じになってしまえば、そのブランドコントロールなど非常に難しくなる。むしろPCなんて中身に大きな差がないので、基本設計や調達が一緒になれば、更にブランドのコンフリクトが強くなり、シナジーどころか共食いを招くおそれすら考えられる。
これらの絵図を描いたのは、3社の9割以上の株式を持つ日本産業パートナーズ。3社を統合すると事業のシナジーと効率化がなされ世界で競争力を持つだろうとの考えだった。が、これがそもそも甘いと思う。パソコンだから一緒にしたら効果が出る的な発想が甘い。一緒になっても世界ではとても戦えない、そして市場自体が急激に減少しているからだ。
企業がガッチャンコして2個いちになるには、それなりの理由がある。その背景や合理性を確かめた上で議論しなければ見た目上は一緒になるが、シナジーなんてでやしない。それが3社になるとその複雑さはマックスだ。
そもそも富士通のPC事業は2007年をピークに減少。東芝も2009年をピークに減少。そして一連の本社の不正会計の煽りを受けている。またVAIOも2009年をピークに減少している。世の中はキーボードを打って入力するスタイルからスマートデバイスに移行している、みな親指一本に頼っているのだ。この大きな変化の中で3つが募っても所詮は縮小するビジネス。
確かに、数字の上では3社がガッチャンコすれば国内の出荷台数では1位になる。DICJAPANの資料によると、NECレノボが現在26%のシェア、富士通が16%、東芝が12%、VAIOが2%なので合計すれば確かに30%台のシェアになりNECレノボよりも首位になる、見た目ではトップを獲得する。
しかし世界に目を向けた時、レノボの世界シェアは20%で仮に今回の3社が合計した所で、4%にしか過ぎない。国内でこれだけ低迷しているビジネスで仮に1位になっても、世界の市場で力がなければ意味のないことになる。
参照:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ14I95_U6A410C1MM8000/
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