早嶋です。
ビジョナリー・カンパニー1は永続する企業にフォーカスを充てています。2は飛躍する企業。3は1で紹介した企業の中でも衰退する企業が出てきた、そのために衰退しないためには?にフォーカスを充てています。
そして4。こちらは2の飛躍する企業を更に補強する内容になっています。
特に、昨今のコントロール出来ない外部環境の変化に対してどのように立ち向かうのか?が整理されており考え方の一助になる一冊です。不確実な世の中で成功する経営者の特徴を10X型リーダーとして定義し、その特徴を3つあげています。狂言的規律、実証的想像力、建設的パラノイアです。
狂言的規律とは、一言でいえばブレないことです。一貫した価値観、一貫した目標、一貫した評価基準、一貫した方法を徹底する。行動に一貫性を示すのです。そしてその期間も短期間ではなく、一度継続し始めたら永続するのです。その一貫性を保ちながら目標に向かって突き進むことを狂言的規律と表現しています(訳者のニュアンスでしょうが)。
実証的想像力とは、不確実な状況に直面しても、他人や社会通念、権威筋や職場の同僚を見て手がかりを探しません。科学的に実証できる根拠を頼りにするということです。そのために自分から観察して、実験を繰り返す。そして具体的に事実と向き合います。この実証的な基盤があるから、継続するから、大胆かつ創造的な行動ができるのです。
建設的パラノイアとは、決して良い状況であってもガードを崩さないということです。潜在的な脅威や環境変化がないのか?常に監視して、アンテナを張っています。経営状況が良い時ほど警戒心を高めます。そして常に最悪のシナリオを認識して、その打ち手をシミュレーションしています。つまり、絶対失敗しないための行動を常に撮り続けるのです。
上記の3つを説明する話の中で、ビジョナリー・カンパニー4では、南極大陸を征服したアムンゼンを取り上げています。そしてほぼ同時期に南極点を目指しながら失敗したスコットと比較します。
狂言的規律は20マイル行進と比喩しています。アムンゼンは毎日20マイル進むことを決めました。天候が厳しくて、状況が悪くなっても、この行進を続けます。一方、スコットは目標を達成しない日も存在して、その差が達成か否かにつながったと言っています。
マラソンに例えます。フルマラソンでもウルトラマラソンでも完走を目指すならば、毎日のトレーニングを継続しなければ達成が難しいです。今日は辛いからとか、明日また走ろうとなれば、スコットになるかもしれません。20マイル行進を続けるには、狂言的な意思の強さも必要なのです。そして、実際のレースでは2つの難しさがあります。前半は調子が良いのでついついペースを上げてしまう気持ちを抑えること。後半は苦しさのあまりにペースを落とすことに耐える苦しさ。しかし、マラソンで重要なのは、はじめから最後までペースを崩さないで一定の自分が挑戦できる早すぎず緩過ぎないペースで動き続けることです。
20マイル行進を実行する中でも、上記に相当する記述がありました。ひとつは、厳しい状況の中でも断固として高い成果を出さなければならないという苦痛。ひとつは、快適な状況下でも自生しなければならないという苦痛です。これらの2つの苦痛に耐えながら、20マイル行進を継続するのです。
結果的にこの行動を継続すると次の3つの成果が身につきます。ひとつは、逆境に対しても成果を出せる自信が身につきます。そして、大混乱を前にしても大惨事に陥る確率を御させることができます。最後に、不可抗力に対しても自制心を保つことができるようになります。日々の20マイル行進、素晴らしい効果があるのです。
実証的想像力を銃撃戦に続く大砲発射と比喩しています。これもピシャリな表現ですね。いくら科学的であっても、初めはそのデータを手に入れるためには小さな実験が必要です。私はこれをあたりをつけると言っています。前提条件や手がかりが無ければ、それが正しいのか?間違っているのか?の仮説が立ちません。
そこで、まずは低コストで、低リスク、あまり気を使わないで鉄砲を撃ちます。この時点でお金をかけすぎて倒れる経営者。あまりにも無茶な取り組みを初めから導入する経営者。初めの一歩が気になって結局なにもできない経営者がいます。そこで小さく、考えずに、リスクも低く、低コストでまずは実験を繰り返してみるのがポイントです。その後に、反応があったり、仮説が検証できた箇所に、一気に大砲を打ち込むのです。
これを継続しながら、次のようなことを考えて実行します。初期の段階は、大砲の命中率は悪いでしょうが、徐々に鉄砲から大砲の連続攻撃の精度を上げていきます。そのためには、失敗を繰り返したとしても必ず何かを学ぶ姿勢を得ます。そして、全てを教訓として受け入れます。重要なのはその学びを再び実践に活かし、フィードフォワードしていくことです。そして、この繰り返しを実施することで失敗を繰り返さなくなるのです。
3つ目の建設的パラノイアは死線を避けるリーダーシップと比喩しています。これは明快、絶対に死んではいけないのです。経営の世界でも倒産しても、再び再起することは可能です。しかし、死んでしまえば挽回の余地はありません。いかなるときも常に最悪自体に備える。特に成功している時ほど気が緩みます。そのために重要なことは当たり前ですが準備なのです。もし、こうなったら?を常に考え抜き、それに対して準備を施す。その補給品の備えを蓄積しておくことです。一般的に非合理と思われるかも知れませんが、そのような備えによって不確実な世の中を継続して成果をあげていきます。リスクとリターンの関係は誰でも承知ですが、継続するためにはリスクを常に抑えることが大切です。ここでのリスクは、予期できぬことを少なくすることです。
アムンゼンは、南極大陸を目指す際に、前もって突発的な出来事と不運に備えるために、現金などの手元資金を積み上げました。そして、バッファーとしても余分に酸素ボンベを携帯するようにしています。これを行うためには、常に視点を小さくしたり大きくしたりするズームインとズームアウトを繰り返すことが重要です。
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